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最低最悪は最強なの?

ときどき「私ってサイアクな女でさ」と自分のことを露悪的に言いたがる女性も居たりするけど、それはそれで可愛いもんさ。
と、これまた「俺ってサイテーな男じゃん?」と武勇伝をぶちたがる昭和枯れススキ的な男性も、それはそれでボクちゃんさね。

なんて書いているボク自身は退学処分を喰らうほどの不良にもなれず、在学中ぶっちぎりでトップだった優等生にもなれずのド中流階級の人間。

電車で老人に席を譲らなかった自分に「ボクって最悪な人間だ」と反省したフリをして自己嫌悪になったつもりでいたりもする。あくまでも「フリ」をして「つもりでいる」という時点で実は本当の最悪かもしれない、ということには気づかないフリ。

この映画の女性主人公は自分自身に対しての正直な言動が、結果的に自分を最悪な状態にしているのか、または相手を最悪な状態にしているのか分かっていない。
いや、そもそも「最悪」って何?というのが主題なんだろうな。

「わたしは最悪。」試写状

ヨアキム・トリアー監督「わたしは最悪。」という映画を観た。
ノルウェーのオスロを舞台にした「ダーク・ロマンティック・コメディドラマ」という、なんだかよく分からないジャンルに括られているようだけど、要するに大人の男女の本音の恋愛劇ってことかしら?
別にリアリティがあるから本音の恋愛劇というわけでもないし、自由奔放な恋愛をすればドラマティックというわけでもない。

人生にドラマティックな事件もなく、めちゃくちゃ刹那的な恋愛に身も心も溺れるという破滅的な展開もない人が大半だと思うから、そういう意味でのリアリティはあるのかもしれない。

いや、映画にリアリティがあるかないかなんて、そもそもどうでもいい。面白ければ、それが映画においてのリアリティでしょ。

主演の女優さんは全く知らなかった。
それもそのはず、調べたらこの作品が初めての出演だったらしい。

オスロの街がとにかくいい感じだった。コペンハーゲンに次いで行ってみたくなった。
作中に出てくる部屋もボクの趣味嗜好に合っていて、というかボクの部屋みたいだった。要するにシャレている。センスいい。

この映画はトリアー監督の「オスロ三部作」と呼ばれる作品の三作目に当たるそうだけども、残念ながら先の二作品を観ていないので、その辺はどう評価していいのか分からない。
分からないけど、この映画だけ観ても別に問題ないんでしょうね。
実際にボクはこれしか観ていないけど、それでも面白かった。

面白い、というのは、、、う〜ん、、、ストーリーがとか、映像の作り方がとか、特筆すべき点の何かというよりも総合的に、という意味で。
映画って総合芸術だから、結局は総合的に面白いかどうかだから、これ褒め言葉ですよ、もちろん。

さすが北欧、という点が一点。いわゆる「性描写」に関しては開放的。
開放的?先駆的?つまり、日本の映倫的な過度の性描写制限は一切ない、ということ。
大人の男女が恋愛すれば当然セックスするシーンも必要で、それを「そりゃ当たり前だよ、キミ」という感じでフツーに撮っているだけの話。

さすが北欧、という点がもう一点。さっきも書いたように建物やインテリア、当たり前だけど「ザ・北欧」というモノばかり。
日本のオシャレインテリア雑誌に出てくる「ザ・オシャレ北欧」ではなく、平熱というか、日常生活というか、それこそリアリティでしかない北欧(オスロ)での暮らしが出てくる点。
そんなこと、この映画のウリでもなんでもない、ボク個人の好みの話ですけども。

ストーリーの結末が「最悪なの?いや、もしかして最高かも?」というような、観る人それぞれの解釈で「最悪にも最高にも受け止められます」的なニュアンスを、きっと配給会社的には推したいんだろうな、とは思う。
正直、ボクはそんなことどうでもいい。

オスロに行ってみたくなったのと、主人公の無責任さと責任感のバランスが「あぁ、それ分かるわぁ」って感じたのが、この映画を観て良かったことかな。

7月1日から公開です。


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