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メメントでび

■ミニマルな配信内容がよかった    

改めて考えてみると、やっぱり最高だなということがあって、でびる様のまったりタイピング配信はバーチャルライバーとしてミニマルに頂点を極めた配信だったなと思う

これは、でびる様が雨音などの環境音を流しながら、タイピング音を配信するというもの。たまにため息とかは聞こえるけどね。

おそらく最初はタイピング音を流すだけの配信だったが、スパチャをする契約者が続々現れ、スパチャの返信を画面上に映すものへと移行したように思う。

この配信では、でびる様とただ単に時間を共有する。こちらのチャットに、でびる様が応える。

これは衝撃だった。でびる様の2020年文化祭ボイスと同じくらいの衝撃だった。

ライバーの配信は見るものだと思っていた。ライバーたちは自分が楽しいことをし、リスナーがそれを見て楽しむ。あるいはライバーが企画を考え、リスナーを楽しませてくれる。

でびる様はリスナーとただ時間を共有した。

まあ。これも厳密には後者に当てはまるんだろうが、楽しかったのは企画というより、でびる様とチャットをすることだった。

雑談配信だって、ライバーがあらかじめどんな話するか考えると思うが、これは完全なる無軌道で、別になにもなければ雨音+タイピング音の配信だった。

たとえばリスナーが「生きてる?」と問いかけたら、でびる様は「ここにいるよ」みたいなことを入力して見せてくれたはずだ。(こんなスパチャはなかったが)

その文字を見て、リスナーは「ああ、いるんだ……」と思う。なんと上品で繊細で慎ましやかな時間だろうか。(バーチャルだけどいるよといえば、レンチさんの作ったVitalって曲マジでよかったなあ)

こんな配信、他にはない……と思ったが、同じくらいミニマルな配信を思い出した。早瀬のフリーチャットだ。

これは早瀬がフリーチャットにしていた枠の配信時期が来たときの配信だ。

なんやかんやあって普段はそこそこ過疎だった早瀬のフリーチャットだったが、枠開始の1時間前くらいかららんナーが集まり始め、どうせはじまらないんだろうなーとガヤガヤ話していたら、まさかの枠が開始する。

らんナーは動揺しつつも、完全に無音だけど早瀬が30分間くらいチャットしてくれるという嬉しい配信だった。

「枠始まるし、どうせならフリーチャットしたるか!」という早瀬のやさしさで始まった配信(だとおもう)けど、これもミニマルに時間を共有できていたなあ。

こうした配信に似た、奥ゆかしい配信がさらに極まると、しゃべらずに心音ASMRのみとか、ただ息遣いをお届けするだけの配信とかになってくるのかな……。

全然関係ないけど、ルイス・キャミーのキャミラジが本当にラジオみたいでめっちゃいいよね。ああいうのもなんかスタイリッシュで美しいな。

■類似する配信

でびる様は永い時間を生きる悪魔だが、長くてもたった120年を生きる人間に合わせ、風流な配信をしてくれる。これらもまた、もののあはれを感じさせる。

以下、とりあえずそれっぽいのを並べてみた。

最新は、スーパームーンの皆既月食に合わせて、でびる様がその様子を実況してくれるというもの。

まあこれは実際の月ではなく、でびる様の瞳の美しさを観賞したり、ゲーミングムーンになったりして楽しいヤツ。

とても好きなのが言葉をなくしていく配信。

原初のコミュニケーションって、おはようとかおやすみとかもなくて、きっと「楽しい」とか「嫌だ」とか、そういう感情表現のみなんだよねって感動した。

絵文字や顔文字、ラインスタンプのコミュニケーション手段と似ている。こういうプリミティブな感覚を共有できるのは、文脈よりも視覚優位なのかもしれない。と、考えるというとなんだか文脈的な楽しみ方だなあ。


■まとめ

でびる様の楽しみ方として、わかりすく「でび虐」というコンテンツが広まっており、ボケからツッコミまでこなせる上、声もかわいいため「にぎやかなライバー」として思われるが、もともとでびる様はとても知的な存在だ。

こうした静的な配信も刺激的で美しく、幽玄でとても面白い。

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