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乙一『死にぞこないの青』


主人公のマサオは、とてもこわがりな小学五年生。
その春、大学を卒業したばかりの羽田が担任の先生となった。羽田は評判のいい先生だったが、生徒を叱ると評判が落ちた。

そこで羽田はマサオを叱った。
マサオだけを叱っていれば、生徒からの評判は上向き、すべてが順調だった。他の生徒も少しずつ、マサオのことを、低く、下に見るような雰囲気になっていった。

羽田は、マサオをスケープゴートにしているのだ、とマサオ自身、少しずつ気がついてゆく。

そんなある日、マサオは、青くて小柄な子供の幻影を見るようになる。
その姿はおぞましく、皮膚は真っ青で、口は耳元まで裂けて、靴紐のようなもので綴じられており、拘束衣を着ている。マサオは彼がこわかった。マサオは彼をアオと呼んだ。
羽田や生徒から叱られ、笑われ、ひどい仕打ちを受けるたび、アオは現れた。

そのうちにアオは喋るようになる。アオは凶暴で、残酷で、先生や生徒を口汚く罵った。

マサオはある日、男子生徒2名からいじめを受けた。

羽田はマサオを呼び出し、男子生徒2名にひどいことをした、とマサオをきつく叱った。それでマサオは、あの日、アオが彼らに反撃したのだと気づいた。

マサオが反論すると、羽田はマサオを暴行した。
「おまえが黙っていればクラスは平和なんだよ!」


アオが囁いた。
「あいつを殺す決心はついたか?」

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