明日、実家に帰るという友達と。
一年ほど前にアルバイトしていたお店で仲の良かった友達から実家に帰るという連絡をもらった。
今、ムリして帰らなくてもいいんじゃないか?と止めてはみたが今しかないと言う。
明日、部屋を出るのだけれど少し手伝ってもらえたらうれしいと言われた。「不要不急」という言葉がよぎったが、明日はもういないのだからと手伝いに行くことにした。
久々にバイクに乗り、友達の家に向かった。道すがら、思っていた以上に人が歩いていることに驚いた。満席の喫茶店もあった。そういえば2週間ほど近くのスーパーへの買い出し以外に外に出ていない。もしかしたら状況は思っていたより良くなってきているのかな。テレビやネットで流れているニュースを見ている限り、状況は芳しくないと感じていたのだけれど。
友達の家に着いた。明日引っ越すとは思えないほど散らかっていた。よほど急に決めた引っ越しだったんだろう。照れくさそうに「片付いてなくてごめん」と笑う友達もそこにいた。
朝までかかって、荷造りを終え掃除をしてなんとか引っ越せるような形になった。荷造り中はずっと馬鹿な話を続けた。ほとんど無言で作業する時間はなかったと思う。
「その話と関係ないんだけど・・・」とお互い言いながらずっと話を続けていた。ほとんど片付けが終わってもなんだか帰りづらかった。
「これで寝るスペースができた」とどう見ても一人分ではない範囲に敷布団を友達がひき出したけれど、「朝だしそろそろ帰る」と伝えた。
「またね」と言って家を出た。
帰ってきてとても悲しくなった。
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