『ホワイト・クリスマス』観た話(BLACK MIRROR)

感情移入する人を間違えて2週間くらい引きずっているエピソードの話をするね。

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NetflixオリジナルドラマのBLACK MIRRORから『ホワイト・クリスマス』。

BLACK MIRRORは、近未来の社会で起きるミステリーや事件を描いたオムニバスドラマ。各話が完全に独立しているのでどの話を観ても面白い。話の中では未来のテクノロジーや、それに基く価値観が描かれていて、「もしかしたら自分が生きているうちにこの時代が来るかもしれない」と身近に感じるから笑えない。一時間前後のエピソードで、最後に伏線が気持ちよく回収されたり、「そういうことか!」と見直したくなる話が多い。

その中でたまたま観たのが『ホワイト・クリスマス』というエピソード。主人公うはイケイケおじさんマシュー(画像右)と、気弱そうなおじさんジョー(画像左)。

雪原の中の小屋で、ある日ジョーが目を覚ますと、別の部屋から大音量のクリスマスソングが聞こえてくる。行くと、マシューが「今日はクリスマスだ。こんな場所だが、たまにはゆっくり語ろう」とワインと料理をすすめてくる。普段はろくに会話もしないが、こんな日くらいお互いの話をしようと。ジョーが訝しんでいると、マシューは自分がここに来る前の話を始める。

このエピソード、マシューに感情移入するか、ジョーに共感するかで話だいぶん変わってくる。マシューに共感できた人の話をぜひ聞きたい。

というのも、話が進むにつれて私は(そしてきっと多くの視聴者が)ジョーにめちゃくちゃ共感してしまうからだ。たとえば、感情を持った機械に対して虐待のような仕打ちで「メンテナンス」を行うこと。機械の表情や 泣き声を聞いた私は「これは酷い」と思ったが、それと同じタイミングでジョーが「酷い」「まるで奴隷だ」と言ってくれる。マジ代弁者。すっかりジョーと同じ立場に立ってしまう。

話が進むと、そんな優しいジョーも、ある罪を犯してここに来たことがわかる。

犯罪は犯罪だし、これによって人生をめっちゃくちゃにされた人もいる(はっきりその描写もある)けれど、「それでも」「いやでもさぁ」とジョーを庇う気持ちになる。犯罪を犯すまでの描写も「いや絶対ジョーより悪いやつ沢山いるやん!!!こいつらのせいやん!!!」となる。

結果、めっちゃ嫌な気持ちで終わる。

イヤミスが好きな人にはとてもおすすすめします。

主人公が「犯罪を犯し、裁かれるべきである」という事実は理解できても、その刑罰が(妥当かは置いておいて)重すぎると感じたり、主人公を庇ってしまう気持ちがあったり、「共感する立場」によってより「しんどい」と重たくなるお話だった。イヤミスと言われるものでも文章だと自分のペースで読めるから(それでもめちゃくちゃ引きずるけど)少しは楽だけど、映像は振り回される感じで余計に「落とされた」と感じるな。こういうことを2週間引きずっています。

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