でもこの映画を友達には薦めていない、という話

『ミッドサマー』2回目は白いワンピースを着て行ってきました。正装ですから。

初めて観たときは、映画のサウンド、映像、ストーリーに呑まれて勢いのままに考察を読み漁り、ディレクターズカットを見て、トリビアも頑張って読んでと、連休後半をどっぷり余韻に浸るために使いました。仕事お休みでよかったと思います。あんな気持ちで仕事できないです。

で、いろいろと読んでいるうちに「いやこれもう一回観て確認したいな」と思い、お休みを取って2回目を観に行きました。その前に友達に「お休み何するの?」と言われたりしましたが、私はこの映画を観に行くことが言えませんでした。

2回目も観賞後の観客席はお通夜状態。個人的には考察サイトで読んだ背景の人の動きや表情に注目できた点、2回目なので字幕を追わずに人物を追いかけられた点がよかったです。初回のようなトリップ感はなかったけれど、よく見たらあの人はここにもいたのか、こんな表情をしていたのか、と怖さが増しました。序盤、マジックマッシュルームをキメてマシューが「くそ、また新しい人間だ。新しい人間は嫌だ!」と喚いているのに対し、ペレが「新しい人は良いよ。」(英文忘れました。誰か教えてください。)と静かに返したシーンがとても怖かったです。

初回観賞後は、「本当に映画館でこの映画を観てほしい!ちょっとショッキングだけど楽しい!」という気持ちで一杯だったのですが、連休中や連休明けに友達と話していて気づいたことがあります。

私は、この映画を友達や家族にはお勧めできない、ということです。

ちょっと興味があるけど悩んでいる、というなら、私は全力で背中を押します。行け行けドンドン、チケットぽちぽち、なんなら一緒に観に行ってもいいです。でも、「最近おもしろい映画ない?」みたいに漠然と聞かれたら、きっとこの映画のことは話しません。

なぜかと言うと、私がこの映画に良くも悪くも気持ちを引っ張られすぎたからです。

もちろんショッキングな映像も大きな要因のひとつです。少しずつアップになるというようなものではなく、人の顔を見てたら次の瞬間に潰れた死体(ドアップ)が出てくるような演出なので、避けたかったら映画のほとんどを目を閉じていないといけません。ほとんどずっと不穏なので、油断ができないのです。

それに加えて、宗教的な歌や行事、それにジワジワと馴染んで、最終的に冠をもらう主人公。もう情緒がすごい。これを観て「スッキリする」と言う人も多いんだそうです。私は残念ながら、その感情にはなりませんでしたが、それでも頭の片隅にずっと映画の一場面があります。たぶん、いわゆる「影響を受けやすいひと」には、この映画は感情を揺さぶりすぎるんではないかと思います。

この映画の広告はとても個性的で、特にTwitterは連日花が咲き乱れた情報がたくさん流れてきます。公式Twitterはあくまでホルガ(夏至祭を行うコミュニティ)の立場で「楽しいですよ、いらっしゃい」ということを広める形になっているんだと思います。どうしても、ショッキングな部分は物語の核心に触れてしまうので、あまり情報として出てきません。外見と物語のギャップが結構大きい作品だなと思いました。(ただ、連日の満席やパンフレット完売の状態を見ても、このTwitterをはじめとした広告は大成功だと思います。私もこれに引っかかって鑑賞して満足してます。あっぱれ!)

私はこの映画が大好きです。きっとあと何回か観に行きますしDVDも買います。ディレクターズカット版の上映に、仕事の都合で行くことができないので本気で泣きそうです。

ただ、私はリアルの知人に直接、この映画を薦めることはないと思います。大っぴらに広めるより、自分だけの宝箱に入れておきたいような、そんな気持ちもあるかもしれません。


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