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「おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい」

色々な事がうまくいかなかった時、辛くなった時、悲しい時、自分がどうにかなってしまいそうな時、会いたいのに会えない時、この言葉を必ず思い出す。

2週間前まではすごく元気で「ばあちゃんばいばーい!次また来るまで元気でね!」といつものように別れを告げた。「こんなまだまだ可愛い子おいて旅立てませんよぉ」と冗談混じりの返事といつものくしゃっとした笑顔。安心と祈り。

笑顔で別れた。

それから1週間

突然だった。あっという間だった。信じられなかった。信じたくなかった。

真夏の暑い日だった。

ひぐらしが鳴いている。

玄関の引戸を開けると、目の前に祖母の書いた書道の作品が飾ってあった。

それを見た瞬間、視界がぼやけ大粒の涙が溢れた。

祖母が大好きだった樹木希林さんの言葉だった。


どんなに不幸なものに出会っても、どっかに明かりが見えるものだ、というふうに思ってる。
もちろん、幸せがずっと続くものでもないから、何か自分で行き詰まったときに、どうぞ、そこの行き詰まった場所だけ見ないで、ちょっと後ろ側から見てみるという、そのゆとりさえあれば、そんなに人生、捨てたもんじゃないな、というふうに今頃になって思ってますので、どうぞ、面白く、物事を面白く受け取って、愉快に生きて。
お互いにっていうと、おこがましいけど、そんなふうに思っています。
あんまりがんばらないで、でも、へこたれないで。

                     樹木希林

私が落ち込んでいる時、祖母は「志音は志音!ほらっ!へこたれない!」といつも励ましてくれた。

この言葉に何度救われてきただろう。

この言葉に出会えたおかげで、飾らない、ありのままの自分を見つける事ができた。

人の命というものは本当にちっぽけな物で、僕が見ている風景は幻なのではないかと今でも信じる事ができない自分がいる。

でも、そのくらいちっぽけだからこそ、大切に。

一歩一歩を大事に。確実に。

そう思えた時私は笑顔で空を見上げ

「ばあちゃんありがとう」

笑顔で言えた。通じ合えた気がした。

そして祖母は「円満」という名を授かった。






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