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チャリティースタートアップ「チャリテック」の海外事情

solioの代表の今井です。今日は海外の寄付関連のスタートアップを紹介していきたいと思います。

「寄付でスタートアップ?」と思われる方もいると思いますが、チャリティースタートアップ、チャリテックというべきでしょうか、それは海外の方が寄付の市場も大きいので、もともとは海外から日本にも伝播したものが多いのではないかと思っています。

たとえば、世界で一番大きな寄付のプラットフォームであるgofoundme

は2010年にスタートしてから1兆円近い寄付をプラットフォーム1つで集めており、1億2000万人が寄付をしたそうです。規模大きいですよね。

さて、最近はどういったチャリテックがあるかということを英国のサイトから調べてみました。

NPOが寄付を集めていくときにチャリティーで対面で販売することなどこれまで多かったのですが、Covid-19がきっかけで多くのチャリティーショップを開くことができなかったそうです。そこで出たサービスはNuchaというチャリティー商品専門のECプラットフォーム。日本でいうbaseのチャリティー版でしょうか。

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こういったサービスが紹介されていたり、変わったサービスだと思ったのはFundUgive2です。FundUgive2は、クライアントが住宅ローンの再ローンを組んでお金を貯めるのを助けるために、無料のアドバイスを提供しています。そして、顧客がFundUgive2を利用して住宅ローンの再ローンを組むと、貸金業者から受け取る手数料の25%が顧客の選択した慈善団体に寄付されます。

この二つはイギリスのチャリテックのスタートアップですが、covid-19の感染者が日本よりもはるかに多い英国では現金での寄付を集めることが非常に難しくなったことからチャリテックが注目されつつあるようです。特に物理的な寄付は難しくなったことで、多くのNPOが寄付を集めることに苦戦したようでした。

慈善団体の73%が現金の減少の結果、ストリート・ギビングが失敗していると答えていますが、現在非接触型の支払いシステムを利用している慈善団体はわずか4%に過ぎません。このことは、慈善団体が募金活動の新しい方法を模索する中で、慈善団体に特化した非接触型ソリューションへの投資が今後数ヶ月の間に大きな焦点となることを意味しています。シームレスなモバイル体験を提供するテクノロジーが特に重要になります。2019年には、すべてのオンライン寄付の約24%がモバイルデバイス上で行われ、ウェブ、ソーシャルメディア、モバイルデバイスとのデジタルインタラクションは増加しており、あらゆる年齢層や興味のある人が利用しています。そのため、慈善団体はモバイルフレンドリーであることを確認し、モバイルデバイス向けにオンライン寄付を最適化しなければなりません。

参照記事はこちら

そうした中でTapSimpleという元々はキャッシュレスのデバイスを作っていたスタートアップはビデオ会議、チケット販売、オンライン寄付サービスを統合したバーチャルイベントプラットフォームを作り、資金調達をしています。

資金調達プラットフォームTapSimpleは、キャッシュレス化が進む世界で資金調達活動を継続的に展開するための投資ラウンドで100万ポンド(130万ドル)近くを調達しました。これまでに、ロンドンを拠点とするTapSimpleは、技術開発に向けて200万ポンド(約260万ドル)を調達したという。

2019年、TapSimpleは非接触型とチップ&ピンの寄付デバイスを使ってChildren With Cancer (CWC) UKの年次舞踏会をサポートし、数十万ポンドの寄付金と誓約金を集めるのに貢献し、ファイナンスチームがバルコニーから集めた金額をライブで追跡できる間、夜通しシームレスにギフトエイドの情報をキャプチャしました。"パンデミックの影響でイベントが延期され、社会的な距離が離れているため、慈善団体はよりクリエイティブな活動をしなければなりません。慈善団体が適応する必要性を認識し、TapSimpleは最近、バーチャルイベントとチケット販売のプラットフォームを立ち上げ、慈善団体が遠隔地から募金者とつながり、オンラインで資金調達ができるようにしました。クイズ、サポーターとの質疑応答、バーチャルカクテル作りのクラスなど、慈善団体がどのようにバーチャルイベントプラットフォームを革新的な方法で利用しているのかを見るのはとても興味深いものでした。

参照記事はこちら↓

人と人との手が触れないようにするためのキャッシュレス化に注目して寄付したり、家でイベントに参加して寄付できるようなプラットフォームづくりが英国では注目されています。

日本でも今年は街頭募金やチャリティーパーティー、リアルイベントなど開催できず、NPO側の資金調達が非常にやりにくくなったことを僕も聞いています。僕が代表を務める認定NPO法人D×P(ディーピー)はそもそもSNSからサポーターや寄付の申し込みや接点づくりがほとんどだったため、あまり影響を受けることはありませんでしたが、英国と同様にNPO側は難しさを感じた一年だったのは間違いないでしょう。

日本も上記のようなスタートアップが出てくると面白いかもしれませんが、日本の場合そもそも寄付決済の仕組み自体にそもそも僕は不満を持っていました。これまで一番簡単だったのはamazon payで手数料は高いんですが、amazonのアカウントを持っていると瞬時に寄付できます。ただ、NPOそれぞれの寄付決済の仕組み自体は割とUIが悪かったりもしていたので(これはうちのNPOも改善が必要です。。。)、solioはそこはかなり改善してきたと思っています。「寄付したいのになぜか入力できない」「なぜか、決済完了までいかない」という体験を多くの人は持っていたりもしていて、その動線は変えていきたいと思ったので、solioはそこをデザイナーもエンジニアもこだわって作りました。

日本だとまだまだチャリテックが盛り上がっているわけではないと思いますが、個人と法人合わせて寄付は1兆6000億円近く市場として見たときにあります(2016年 参照記事はこちら)。寄付は社会をつくっていく資本なので、そこにテクノロジーを使った体験価値をよりつくっていくことができたらと英国のスタートアップの動向を見ながら思います。

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