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【振動】振動の基礎について

 皆さんこんにちは。振動くんの独り言の投稿です。本日からは本職としている「振動」について、長い間振動解析に携わった技術者の目を通して記事を書いて行きますのでお付き合いの程よろしくお願いします。
これから振動に携われる方の役に立つような記事にしたいと思っています。

1.振動には、回転振動と往復振動がある

 振動を表す時に使用する言葉に「回転振動」「往復振動」があります。
その他にも「落下振動」、「衝撃振動」、「減衰振動」等もありますが、一般的なものは上記の回転振動と往復振動です。

図1、図2の画像はその概要を図化したものですが、これらの振動は数式で表すことが出来ます。

回転振動往復振動

2.振動を表す一般式と単位について

 振動を測定する方法(関数)として、加速度、速度、変位があり、測定の目的に合わせて関数を区別して使用します。その関数は、
- 振動変位 (Displacement)  略 DISP  単位 μmp-p、mmp-p
- 振動速度 (Velocity)     略 VEL   単位 cm/s、mm/s
- 振動加速度(Acceleration)  略 ACC   単位 m/s^2、 G (=9.8m/s^2)
です。

 図2において、おもりが静止している状態から変位D(一定値=-D)だけ引っ張って放すと、図に示すように上下に運動をします。(実際には空気抵抗や重力の影響を受けて最後には停止しますが、ここでは無重力で真空の状態と考えて下さい)このおもりの位置の変化を時間的な式で表すと、以下の式になります。

・変位   X(t)=Dsinωt    ・・・(1)
・速度   V(t)=Dωcosωt   ・・・(2)
・加速度  A(t)=-Dω^2sinωt      ・・・(3)

 ここで、ωは角速度と呼ばれ、ω=2×π×fです。(πは円周率で3.14159・・、fは周波数で1秒間の繰返し回数です。)

 振動を扱う分野が異なると使用する単位等も変わって来ます。例えば振動速度「cm/s」を「カイン」として使う場合もあります。(土木、地震工学分野等)

 上式の(1)と(3)を見て頂くと解りますが、変位と加速度は180°方向が違った動きをしています。身近で体感できるのが、車でスピードを上げるために加速させる(=加速度を+)と身体は後ろに押付けられる(=変位はー)ことを経験されたと思います。逆の場合で、ブレーキをかけ減速した場合(=加速度をー)は、身体は前屈み(カガミ)(変位は+)になります。変位と加速度が180°異なる証です。

3.世の中の振動は殆どランダム振動である

 さて、振動は3種類の式で表されると言われていますが、これらの振動は「単振動」若しくは「調和振動」と呼ばれ、特別な条件でしか出会えることはありません。

 調和振動は、鐘の音やモータなどの振動に代表されます。他の振動等が混ざったものではなく、波長や振幅が一定している振動と言ってよいでしょう。

 一方ランダム振動には、自動車が走行する際に発する振動、新幹線や列車がレールの上を通過する際に発する振動等があります。

4.調和振動やランダム振動は任意に作れる

 調和振動やランダム振動と言うのは、一般的に物の耐久性を評価する時に使用される振動の大きさ、周波数で、物体が輸送中に受けるストレスを評価する振動試験を行う場合の振動源ともなっています。

装置等の振動試験方法については、JIS等で詳細に規定されていますので、別の機会にまとめて投稿したいと思います。

   実は、これらの振動は任意に作れます。
振動試験等で使われる周波数等もある装置を用いて作り、その信号を増幅して加振試験機を動かしています。

 振動試験用の波形または、開発された各種のソフトの検証用波形として生の振動波形が必要となりますが、その波形の作成方法をグラフ作成ソフト「Origin Pro」を利用して説明して行きたいと思います。
Origin Proの操作をある程度理解されている方はぜひ利用して仕事に役立てて下さい。

5.作れる波形の種類

 ー周波数の異なる正弦波
 ー振幅の異なる正弦波
 ーランダム波形
 -サンプリング間隔が異なる波形
 など。

6.任意の振動波形を作る手順

 以下に任意の振動波形を作成する手順を紹介します。Origin Pro以外では、エクセルでも作成することが可能ですが、途中の確認を含めるとこのソフトが優れています。Origin Proは無料体験版もありますので公式サイトからダウンロードして使用することが出来ます。
 記事は有料となりますのでご了承下さい。内容は目次で概ね確認できます。

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