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【レース回顧Vol.91】第75回朝日杯セントライト記念

タイトルホルダー、最初から最後まで全く追えずブービー負け。二十数年競馬を見てるけど、こんなに酷い前詰まりはちょっと記憶に無い。それにしてもアサマノイタズラは買えなかった。直線で冷静に外に持ち出した田辺騎手のファインプレイ。現場でこの様子を見ていただろう嶋田騎手は何を思うのだろうか。

20210920中山11R(1)

ノースブリッジ、タイトルホルダー、オーソクレース、ソーヴァリアント、グラティアスがそれぞれ好スタート。レインフロムヘヴンはゲートをこするように出て出遅れ。ソーヴァリアントが内にヨレて、真ん中のほうが窮屈に。

20210920中山11R(2)

先頭はノースブリッジ、ではなくワールドリバイバル。大外から行ったか。タイトルホルダーは3番手、直後にソーヴァリアントとグラティアス。最初のコーナーで既に前が密集、後ろはスカスカ。

20210920中山11R(3)

ルペルカーリアがタイトルホルダーを追い抜いて2番手。続いてグラティアスもやってきて、タイトルホルダーの外に壁が出来た。ノースブリッジはハナを奪われてソワソワしている。この前掛かりの展開はリサーチ済み。

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ソーヴァリアントはノースブリッジの外に出して追走。オーソクレースは前掛かりの流れで中団。ヴィクティファルスはこの直後で悪くない位置取り。ワールドリバイバルの単騎逃げで1,000M通過は60秒5。

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ワールドリバイバルが最内、その外にルペルカーリアとグラティアスが張っていて、ソーヴァリアントとカレンルシェルブルはその外から捲っていく形。一段後ろのノースブリッジ、タイトルホルダー、オーソクレースは「待ち」を強要されていた。

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ソーヴァリアント(青)が外前をしっかり確保して直線へ。オーソクレース(緑)もこの直後を通って外に持ち出す構え。タイトルホルダーは前が完全に壁になって出られない。アサマノイタズラ(黄)は大外の進路を模索していた。

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さあタイトルホルダー、GOだ。って、ルペルカーリアとグラティアスが邪魔だな。グラティアスは内に寄ってくるし、進路が全く開かない。アサマノイタズラは無事に外の進路を確保出来た様子。

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松山騎手としてはグラティアスが内にモタれるから右鞭を入れたいけど、内側が密集していて右鞭が入れられない。仕方なく左鞭を入れ続けて内にヨレてまたタイトルホルダーの進路が詰まる・・・。

20210920中山11R(9)

正面から見るとこんな感じ。追いたくても追えない。外にも出せない。不可抗力が重なって出来た壁の前に、タイトルホルダーの横山武史騎手が出来ることは何一つ無かった。

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ソーヴァリアント完勝と思われた矢先、大外からアサマノイタズラが飛んできた。まさに図ったような差し切り。スプリングSでヴィクティファルスにされたことを、今度は自分がやってみせた。田辺騎手お見事。

4戦オール先制のノースブリッジがハナ。タイトルホルダーが2番手でこれをがっちりマークして、レッドヴェロシティ、ルペルカーリア、ソーヴァリアント、ワールドリバイバルも前へ。タイムトゥヘヴン、オーソクレース、グラティアスらも出来れば前に行きたい。見事なまでに前に行きたい馬だらけ。競り合いは起こらないにしても前は相当なプレッシャーがかかりそうで、展開妙味は後方待機勢。

ある意味ビンゴ。相当なプレッシャーもさることながら、前詰まりの懸念を見抜けなかった。ルペルカーリアとグラティアスがワールドリバイバルに無言の圧力を掛け続けたことで道中緩まず、先行馬が耐えられなくなったところを外の2頭が綺麗に交わし去っていった。

1着-アサマノイタズラはスタートを決めて前に出してきたが外から次々に抜かれて後ろから4頭目。案の定前が固まって、4コーナーでも一団なのを見定めた上でこれらの直後まで押し上げ、直線でカレンルシェルブルの後ろから外に持ち出してスパート。展開ズッポリの差し。先に抜け出していたソーヴァリアントがいい目標になったことと、内の先行勢が詰まって自滅したのも奏功した。

【-】アサマノイタズラ
皐月賞は軽く出負けした後折り合いを欠き、ラジオNIKKEI賞は内枠から引く謎騎乗で惨敗。そもそも行き脚が今一つで、内枠でも魅力を感じない。

2着○ソーヴァリアントは絶好のスタートを決めて好位の内を確保。向こう正面で外側の進路を確保し、4コーナーは先行集団の壁を外から交わして外前を確保。完璧な立ち回りで完全に勝ったと思われたところをアサマノイタズラに差し込まれてしまった。自ら動いて勝ちに行っての負けで、勝ち馬と同等の評価を与えておきたい。

【○】ソーヴァリアント
利尻特別はラスト3ハロン33秒1の急加速ラップで圧倒。藻岩川特別もエイシンヒテンの逃げを難なく交わした。前付けから速い脚が使えるのは脅威。

3着-オーソクレースはスタートを決めた上で手控えて中団からの競馬。今回は前を意識する馬が多く、中団で折り合えたのは大きな武器になった。4コーナーで手が動いていたものの、直線で前が詰まることはなく力を出し切っての3着だった。この世代では上位評価が必要。

【-】オーソクレース
ホープフルSでタイトルホルダーに先着したとはいえ、内ピタ先行の分先んじただけ。9か月振りの実戦で、春の経験の差は如何ともし難い。

5着▲ヴィクティファルスはさほど位置を主張出来ず、馬群の中に入れての追走。道中はオーソクレースの直後で、外にカレンルシェルブルがいて動けない状況。4コーナーでも馬群の中、直線でグラティアスが内に寄ったタイミングでようやくスパートしたが間に合わなかった。消化不良の負け方。

【▲】ヴィクティファルス
皐月賞は4コーナー外回し、ダービーは高速馬場でキレ負け。今回は展開が向きそうだし、内突きで一考。好調・池添学厩舎の勢いに乗りたい。

13着◎タイトルホルダーは絶好のスタートを切り、ノースブリッジの直後に入って2番手追走の算段が1コーナーで早くも崩れ、外からルペルカーリアとグラティアスに出られて位置取りが悪くなってしまった。4コーナーからゴールまで完全に前が詰まり、何もさせてもらえなかった。これも競馬。次は不利無く立ち回って復権してもらいたい。

【◎】タイトルホルダー
スロー逃げの弥生賞はともかく、外枠から果敢に行った皐月賞でも2着確保。差し優勢のダービーで先行して6着。ここでは力が違う。

印を回さなかった馬についてもコメント。

【-】グラティアス
皐月賞は4コーナー外回し、ダービーは外に壁を作れず前に出過ぎて敗退。京成杯が色々恵まれた勝利で、実力誇示という程の力は持っていない。

3番人気9着。ダービーでもそうだったが、この馬は行きたがるところがあって、外に壁が作れないと勝手に上がっていってしまう。京成杯は4コーナーで内に潜り込ませたルメール騎手のナイスアシストで、今回は外枠を引いた時点で要らないと思った。半姉(レシステンシア)のように距離を詰めたほうが良いと思う。

【-】ルペルカーリア
ハイレベルの毎日杯で前付けの4着、京都新聞杯は自ら先手を奪って2着。悪くはないが勝ち切るところまではいかない。今回は同型が多く苦戦。

4番人気7着。グラティアスと同じく自分から勝手に上がっていくタイプ。脚が溜まらないので、持久力を問う流れに持ち込んで粘り込むパターンでないと苦しい。今回は同型が揃っていて、この馬の好走は厳しいと思った。距離も心持ち長かった。

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