【レース回顧Vol.56】第82回優駿牝馬
人気どころでどれか切りたいな。ソダシは負けるにしても3着は確保しそうなので切れない。アカイトリノムスメはルメールさんなので切れない。となるとユーバーレーベンか。フローラSでスタートして外から締められる不利はあったにせよ負けたから切り!って、勝っちゃったよ。これは岡田総帥に見てもらいたかった。しかし3着のハギノピリナなんてみんなノーマークでしょ。これはハズレでも仕方なし。さ、次行こ次。
横一線の綺麗なスタート。馬場の中央から白い馬体が躍動する。やはりソダシが前に出てしまうのか。内からはククナとクールキャットも顔を覗かせている。
吉田隼人騎手は手綱を抑えて番手希望の様子。と、そこへ外からステラリアがやってきて前へ。スローを見越して自ら前に出してきたこの判断はナイスかもしれない。
最初のコーナリングでハナを取り切ったのはクールキャット。ステラリアは2番手、その内にククナ。これで来なかったら諦めが付く最高の位置取り。ソダシはその外で首を上げて嫌がっていた。う~む。
ソダシはどこかソワソワしたような追走。抑え込む競馬が性に合っていない。しかしまだ向こう正面に入ったばかり。ここから直線まで我慢できるかどうか。その直後でアカイトリノムスメ@ルメールが虎視眈々と追走。
ユーバーレーベンは固まった先行集団から少し離れた後方の外を追走。この位なら差しが届く。穴で注目したタガノパッションはその後ろ。この位置からはイン突きできない。アテが外れた。
クールキャット先頭のまま直線へ。ソダシは意外にも置かれて5~6番手。ソダシをマークしたアカイトリノムスメ(青)は馬群の中。ユーバーレーベン(黄)とハギノピリナ(緑)は外を捲ってこの位置取り。
ソダシは一応上がってきてはいたものの突き抜ける気配が感じられない。むしろ外ユーバーレーベンの勢いがいい。その外のハギノピリナ、アールドヴィーヴル、その内の窮屈なところからタガノパッションも迫りつつあった。
残り200Mを切って完全に勝負あり。ユーバーレーベンが抜けて、内からアカイトリノムスメが2番手に上がる。ソダシは伸びない。オワッタ。その内からタガノパッション。よし、お前だけでも来い!って、大外からハギノピリナ。いやいや、これは…。
ユーバーレーベン完勝。これは恐れ入った。岡田総帥がこのレースを見ていたらどれだけ喜んだだろうか。ハギノピリナはギリギリ3着とかではなくてアカイトリノムスメにハナ差の3着。2月デビューでこれが5戦目。鞍上の藤懸騎手はデビュー11年目でこれが初のGI騎乗。失うものが何もない馬の大駆けは怖い。
阪神ジュベナイルフィリーズのヨカヨカ、桜花賞のストゥーティ、メイケイエール、ヨカヨカなど、これまでのGI戦線で流れを作ってきたのは短距離質の馬で、今回はそれらが不在。しかも今回は逃げ経験馬が不在。何が行くにしても、過去10年で1,000M通過が最も遅かった2017年(61秒7)並のスローが見込まれる。スロー前付けで速い脚を使ったことのある馬を狙いたい。
ドボン。大外からステラリアが仕掛けて、内前からクールキャットが前に出る展開で意外と流れて1,000M通過59秒9。4コーナーでほぼ一団になり、ソダシを含む先行勢は軒並み沈没、外を中心とした差し追い込み決着になった。
1着-ユーバーレーベンは1コーナーで後方の内にいて、向こう正面に入ってから馬群の中で内外に蛇行する危なっかしい追走。3コーナーまでに外に持ち出し、そこからロングスパートに出て直線外からきっちり差し切った。阪神ジュベナイルフィリーズ以降距離延長ローテを取り続け、2,400Mのここで能力全開。今回は距離適性で優った。
2着△アカイトリノムスメは序盤からあからさまなソダシ徹底マーク。直線に向いて外が壁ですかさず内に入れてスパート。ソダシとククナの間から抜け出しに成功したものの既にユーバーレーベンが抜け出した後だった。4コーナーがスムーズならもっと際どかったかもしれない。
3着-ハギノピリナは周りに行かせた上で後方の外をじっくりと追走。3コーナーで馬群の外を通って早めに進出を開始、4コーナーで惜しげもなく大外をぶん回し、鞭を右に左に打ち続けて突っ込んできた。まさに捨て身の大外一気。もう少しポジションが前だったら…。
4着○タガノパッションはスタート後の行き脚が今一つで後方からの競馬。内枠で窮屈になり後ろから3頭目。3コーナー過ぎから同じ後方待機のハギノピリナが動いていっても静観、直線に向いたところで前が壁。馬群を捌きつつグイグイ伸びてきたが届かなかった。ハギノピリナに比べて踏み出しが遅く、位置取りが後ろ過ぎたとしか言えない。
7着▲ククナは最内枠を活かした先行策を展開。3番手の内を取ったのを見てこれは来たと思った。直線内前を取り付けて追い出しを待つ余裕もあったが、結局ラスト200Mを切ったところで失速。ありきたりだが距離の壁。完璧に乗られてこの結果なら納得。
8着◎ソダシはスタートから手綱を引いて番手を主張。しかし馬は行きたい様子で、過度に掛かるようなことはなかったにせよスムーズな追走とは言い難かった。今回課題の溜めて弾ける競馬にも適応できず、手前もコロコロ替わって一杯一杯。距離というより溜める競馬が合わなかった。これが事前に薄々分かっていながら◎ソダシにしてしまうのが自分の弱いところ。
11着△ファインルージュはスタート後の先行争いで首を上げて掛かる仕草をみせ、馬群の中に入れての追走。折り合いに専念したことでポジショニングは相対的に後ろになり、直線に向くところでは後ろから数えた方が早い位置。外に持ち出せず、内に突っ込んで前が壁になって終了。やはり桜花賞は内前が嵌っただけだった。人気どころで切るならこれだった。
13着△ステラリアは譲り合いの先行争いに自ら飛び込んでいき、内のクールキャットにハナを譲って2番手。無理のない追走に見えたが直線に向いて早々に手応えが無くなり、坂を駆け上がるところで力なく沈んでいった。勝負に行っての沈没なのでこの負けはノーカウントで良さそう。
14着△クールキャットは行き脚が付いてそのまま前へ。最初のコーナーでハナを取り切ってマイペース逃げを展開。直線に向いてからも単独先頭の見せ場を作ったものの、結局後続に捕まって沈没。ただ仮に展開に恵まれたとしても2,400Mを押し切るのは至難の業。これもノーカウント。
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