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【レース回顧Vol.69】第26回プロキオンS

競馬というものは必ずしも能力通りには決まらない。能力通りに決まらない理由は無数にあるが、単純にして明快なのは「トラックバイアス」だと思う。前日に1,000Mと1,700Mでレコードが出た超高速馬場。この日もレース直前になって雨が降り出し、重馬場での施行。これは1分41秒を切ってくるだろうなと思ったら案の定1分40秒9。これだけ速かったら後ろからでは無理。どの馬が前に行って残るかを当てるレースになった。

20210711小倉11R(1)

メイショウウズマサが大外からガシガシ追って前へ。内からはメイショウワザシとトップウイナーが積極的に仕掛けていく。

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結局メイショウウズマサがハナ奪取。トップウイナーが2番手、メイショウワザシは手応えが悪いながら3番手、以降メイショウカズサ、サンライズホープと続く。最後方は何とウェスタールンド。やはり速い流れに付いて行けてない。これは飛んだでしょ。

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早くも縦長の隊列。しかし前は競り合うことなく各自が折り合って推移。特にトップウイナーは抑えが効いていていい感じ。メイショウワザシ、サンライズホープ、メイショウカズサも馬なりで付いていけていた。

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一方で後方は余裕無し。マリオマッハー、ペプチドバンブーは追い上げのタイミングを窺っていたが前は一向にタレる気配無し。ウェスタールンドはここで上がっていくしか無かった。丁度この辺りで雷鳴が。波乱の予感…。

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3コーナーを過ぎた辺りでサンライズホープは余裕が無くなってアップアップになっていたが、メイショウウズマサとトップウイナーはまだ手応えあり。特にトップウイナーは持ったまま。後続はまだ来ない。

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メイショウウズマサ(緑)とトップウイナー(青)が馬体を並べての追い比べ。内を立ち回ったメイショウカズサ(黄)がこの後に付く。サンライズホープは既に一杯。ウェスタールンドはようやく中団付近。

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残り200Mで1分28秒?時計の感覚がおかしい。それ以前に前と後ろが離れ過ぎ。トップウイナーの前残りは確定、メイショウカズサは追い付けるかどうか。この後ろはノーチャンス。

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メイショウカズサがトップウイナーを並ぶ間もなく交わして先頭。トップウイナーは2着は堅そう。後続は最後の最後にようやくやってきたが後の祭り。お疲れさん。

小倉ダート1,700Mはスタートから1コーナーまで約340M、2コーナーにかけて上って、そこから緩やかに下って最後の直線は291.3M。普通に考えれば前有利のコース形態。
先週は芝で超高速決着連発だったが、今週はダートで超高速時計連発。重馬場だったとはいえ10Rのインディアトロフィー(2勝クラス/ダート1,700M)で1分41秒8、12Rの1勝クラス(ダート1,000M)で56秒8、いずれもレコードが飛び出した。時計が速いなら前にいたほうが有利。

から~の~。

内からメイショウワザシとメイショウカズサが飛び出し、外からワイドファラオとサンライズホープらも加わって先行争いは熾烈。かなり突っ込んだ流れが想定され、展開的には差し有利。小回りで直線が短いので、3コーナーで外から捲れるような馬に狙いを定めたい。

ドボーン。展開予想が邪魔をした形。そもそも先行勢がお互い譲り合って前残りの下地を整えていたので後続には一切出番が無かった。

1着-メイショウカズサはゲートを滑るように出たものの、内からダッシュが利いて4~5番手を確保。4コーナーで一旦前に離されたものの、インに張り付き追い鞭を入れて3番手で直線へ。ずっと追い通しだったがバテずに伸びた。ここ3走いずれも4秒以上負けていた馬が1分40秒9のレコード勝ち。「人気薄は加点法」では『今回直線平坦に戻るのはプラス』と書いていた。

【-】メイショウカズサ
昨夏の小倉で4馬身差、続く栞Sでも7馬身差の圧勝。今回直線平坦に戻るのはプラス。ただここも同型が多くしんどい。

2着-トップウイナーは和田騎手が気合いを入れて前に出していき、メイショウウズマサにハナを譲った後は2番手で抜群の折り合い。4コーナーで持ったままだったのをみてやられたと思った。ベタベタの芝カマシ大成功。今回この馬を買えた人は間違いなく馬券上手。私は買い材料を挙げるだけ挙げておいて買えなかった。

【-】トップウイナー
目黒記念は芝かつ距離長過ぎで度外視。出脚はあり、内枠ということで前には行けそう。展開は向かないが距離短縮効果を見出したいところ。

3着-メイショウウズマサはスタートで体勢を崩しながらもダッシュが利いて大外からハナ奪取。想定では内がもうちょっと抵抗するかと思ったが意外にもすんなり行った。逃げ馬が自分の形に持ち込んだら強い。ましてや高速前残り馬場なら尚更。ラストは一杯になりながら中団以降からの差し込みは阻止。内枠なら買っていた(外枠だから買わなかった)。まだまだ甘い。

【-】メイショウウズマサ
完全差し決着のアハルテケSで逃げてコンマ1秒差。栗東Sでもハイペースで逃げてコンマ2秒差。内枠が取れていればかなり面白かったが…。

4着▲ダノンスプレンダーはスタート直後に左右から挟まれて後ろからの競馬。道中は先行集団の後ろ、先頭まで7~8馬身の位置。4コーナーで手応えを残しつつ上がってきていたが前は止まる気配無し。馬場の内から距離ロスを抑えて差し込んできたが及ばなかった。今回はソラを使う暇がなく、ここで一杯の競馬をした経験は次走以降に活かせるはず。

【▲】ダノンスプレンダー
アンタレスSは先に仕掛けながら直線でソラを使って4着。相変わらず突き抜ける感じはしないものの、捲り上げる脚があるので小倉は合いそう。

5着○アヴァンティストはスタートを決めて馬なりを決め込んだところ次々抜かれて中団の内。4コーナーでダノンスプレンダーに締められて窮屈になりながらも直線でメイショウカズサの後を追ったが逆に離されてしまった。今日のところはこの馬の位置取りでも後ろ過ぎた。

【○】アヴァンティスト
短距離で勝ち上がり、オープンでもすばるSで2着。距離延長でも内枠かつ小回りなら差して来れなくもない。ブリンカーを外してきたのも不気味。

7着△ウェスタールンドはゲート出が緩く、行き脚も付かず気付いた時には最後方。ラストは上がり3ハロン2位の脚で追い上げたが流石に間に合わなかった。直近2走が地方の2,000M、中央でもアンタレスS、エルムSはスローペース。今年初戦でいきなりレコード決着ではこの結果も十分想定できた。「人気馬は減点法」でもこの点はきっちり指摘した。

【△】ウェスタールンド
久々は問題無いにしても、今回ハイペース想定でスムーズに付いて行けるのかが疑問。1,700Mは3戦3連対も、今となっては短いかもしれない。

9着△スマートダンディーはスタートが今一つで後方からの競馬。道中は先行集団馬群の少し後ろ、4コーナーにかけて馬群の中から捲り気味に上がっていったものの、前から離され過ぎていて目立たず。コーナー4つだと付いて行くだけな感じ。距離も短いほうが良さそう。

【△】スマートダンディー
1,400M戦を使ってきた馬で、ハイペース追走は問題無し。オープンクラス実績多数で格負けも無い。今回外から差し込めそうなのは良い。

11着◎ペプチドバンブーは半馬身ほど出遅れ。今回は僅かな出負けも許されないほどの高速前残り馬場。道中は後方3番手、3コーナー手前でウェスタールンドが上がって行かざるを得ないほどの苦境の中でこの位置は厳し過ぎ。結局マリオマッハーと共に大外をぶん回して万事休す。この馬場で後ろから行く馬を軸にした時点でピントがずれている。予想大不調たる証左。

【◎】ペプチドバンブー
名鉄杯は短距離戦ながらハイペースを突き抜け。小倉では3コーナーから捲り上げる競馬で3戦3連対。乗り方次第でアタマまであり得る。

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