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愛着不全の人も親友は少ない|【回復のためには】親友と出会うこと、流れ者でいること

【質問】愛着不全の友だちの数はどんな感じですか?

【お返事】昨晩(2022.02.10)の「愛着障害の人にはナゼ友だちが少ないのか?|【結論】希薄な人間関係を好むため」についての放送ですね。

彼らの特性の本質の部分から考えていくと、彼らも友だちが少ない理由が分かります。理由が分かれば、改善策の方向性もわかるというものですね。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着不全の特性

愛着不全の人は、他人の気持ちより自分の気持ちが前面に出ていたり、マウントしたり、人の目が気になったり、マイペースだったり、ピュアで純粋だったりします。精神発達が、学童期~思春期あたりで足踏みをしているとみれば、これらの特性について納得していただけるでしょう。

  1. 人の気持ちより自分の気持ちが前面に出る(学童期)

  2. マウントする(学童期)

  3. マイペース(学童期)

  4. ピュアで純粋(学童期)

  5. 人の目が気になる(思春期)

こんな感じですね。これらの特性は、大人になっても多少は、誰のこころにも残っているものです。大人というものは、こころのベースとしては、

・孤独を受け入れて
・TPOに合わせて自分の気持ちをガマンさせ
・しっかりと責任をとって
・自分よりも相手を優先させる

このような特性を持っています。このような特性がしっかりと根付いているうえで、上で説明したような1.~5.のような特性をTPOに合わせて表現したりします。ですから、大人っぽい人が、急にキラキラとした少年・少女のような振る舞いをすることもあるのです。それはベースに大人の特性があるため、周囲の人には、違和感なく受け入れられます。

◇愛着不全の特性のルーツは?

1.~5.までの特性は、違うもののように見えますが、学童期が強く出ているか、思春期が強く出ているかの違いだけで、

・すべて、「自分への自信の無さ」からくるものです
・さらには、「自信はないのに完璧を求める」のです

この2つをまとめると【不安型愛着スタイル】というものが見えてきます。この不安をベースにした愛着スタイルを形成してきた成育歴(親子関係)が、愛着不全の方のルーツであるのです。「親への強い期待」があります。愛着障害の方のルーツは「親へのファンタジー」でした。

これらの特性の出方は人によって違います。しかし、こころがこのような状態になっているため、おおむね人間関係は良好にはいきません。

この不全感を自覚している人はまだいいのですが、自覚していない人もいるのです。自覚していない人は、なかなか「親友」というものを持てません。自覚するのはつらいですが、それを自覚するところから路は付いてくるのでしょう。この自覚のある人は、ACの自助グループなどに辿り着きます。

このような人間関係を作るので、浅く広く友人がいる人もいますが、残念ながらこのままでは、深く付き合ってくれる友人は少ないでしょう。

■愛着不全を自覚して生きる

しかし、自分の愛着の不全感を自覚して、自分の人生を再確認しようとする愛着不全の人には、親友ができる可能性があります。自己認識というものはそれだけ強いパワーを持っているのです。カウンセリングを受けていると、この自己認識する力が知らずについてきます。

マインドフルネスで自己客観する習慣をつけるもの悪くはないですが、瞑想するという行動じたい、普通の日常生活の行動ではないので、無意識のうちに「やらされている」感も出てくる人もいるでしょう。その感じは瞑想の中断につながるので、できればカウンセリングの中から自然に浮かび上がって、その次にマインドフルネスでそれを強化するという順番が、一番自然ではないかと思います。

愛着不全の人が生き抜くために自己認識することは、次の2つです。

  • 親友

  • 流れ者

◇【親友】という最強の安全基地

安全基地というものは、不安を軽減する場所です。愛着に問題のある人は、これを探して生きています。安全基地はどこにあるのでしょうか?

その一つが、親友というのは双子自己対象、つまり双子のカメレオンの中にあります。おそらく、これが安全に近い最強の人間関係です。

【愛着の治癒】自分の色がないカメレオンが見つけた安全基地の作り方|双子自己対象という生き方

母性や父性があったほうがいいのは確かですが、実際に得られないものに対して「期待」してもしょうがありません。また他人にそれらを求めたとしても、他人は母や父ではないので、期待外れの結果になったり、共依存関係になったりします。すると、この親友というポジションが最も安全・健全であることに気がつくでしょう。

◇【流れ者でいる】状態は安全基地になり得る

また別の視点で、愛着不全の人は、立ち止まらないというADHD的な生き方もアリでしょう。今日のツイートです▼

愛着不全の人は【流れ者でいる】と良さそうです。これは1つの生きのびる戦略です。実際に引っ越しを何十回もしている人もいます。その行動を止めないこともアリです。安全基地に落ち着きたいとも思うでしょう。でも、「流れている」状態が安全基地であることもあるのです。スナフキンです。

愛着不全の方はもともと不安が強いので、安心できる場所を探して、できれば引きこもっていたいでしょう。ただ、そういう安全基地に出会うには、親友との出会いが必要です。それはなかなか叶えられないことかもしれないので、オプションとして、「不安定なこころの状態を受け入れる」ために、不安定な環境を常態化する戦略が取られることがあります。

これはストレスフルな状態が変わっているわけではありません。しかし現実的に一か所に留まってそこに慣れていくという行動は、その場所への「期待感」も膨らみがちになります。すると、愛着不全の方の両親への「期待感」につながっていくおそれがあります。両親へ固着してしまいます。その固着を避けるために、永遠に流れ続けるのです。

この常態化ともう一つ、重要な要素があるでしょう。それは流れ者の「自由」ということです。この流転していく自由さ、軽みが愛着不全の方の根強い親への執着を緩和させていくでしょう。

  • 親への固着を避けるため、根強い執着を緩和させるために流れ者になる。

スナフキンは流れ者です。旅を人生にしています。漂泊の詩人たちを見習うのもいいでしょう。たくさんいます。流れ者の感じの中にいるには、彼らの文学に常に触れているのもいいでしょう。

・種田山頭火
・松尾芭蕉
・尾崎放哉
・李白
・井上井月
・つげ義春
・岡田徳次郎
・宮本常一

スナフキンや漂泊の詩人たちは、どちらかというと愛着障害よりの生き方ですが、愛着不全の人にも大いに参考になる生き方だということです。愛着不全の人がひとりでも生きられるようになるには、彼らの生き方を参考にするといいのでしょう。

◇流れ者でいるメリット

流れ者というのは、全く知らない土地へ流れていく人々です。そこでは、当然、自己というものがないと、抹殺されてしまう可能性があります。自分を知る人はゼロですので。

つまり流れ者でいると、結局「わたし」を強く意識せざるを得なくなります。その「わたし」がどんな「わたし」であっても、そうなのです。

話しは、変わりますが、ドイツ人というのは自分の意見を曲げない人種であるといいます。その人種傾向は自国の言葉・文法に現れるといいます。

つまりドイツ語を話す人は、自己主張が強くなる傾向にあるようです。英語よりもその傾向は強いようです。そのため、流れ者になりつつドイツ語圏で生活することは、愛着不全を自分で修正していくためのトリッキーな方法になるかもしれません。

実際、若いときにドイツ留学を経験した、あるいは流れ者を自由に受け止める風土で生活していた愛着不全の人は、母親を反面教師にして生きていける力を身に付けるようです。そんな人を、ときどき見かけます。

■まとめ

  • 愛着不全の人は学童期~思春期あたりでつまづいており、他人への期待が大きいため、友だちはできにくい。

  • 自分に自信がなく、完璧を求める不安型愛着スタイルである。そして親への強い期待がある。親に何とかしてほしいと願う。

  • 愛着不全の人が自己認識して生きていくためには、親友を持つ、あるいは流れ者になること。

  • 流れ者の「自由」が、愛着不全の人の執着を弱めていく。

  • 漂泊の詩人の生き方を参考にするのもアリ。

  • 若い頃ドイツ語圏で生活すると、愛着不全の執着が弱まる、という報告もあり。

◇ラジオのおやすみ談話室:流れ者というと、この曲が思い出されます。1970年の映画です。曲はフランシス・レイ。私の流れる人生が始まった頃です。今、冬季オリンピック中ですが、フランシス・レイと言えば、グルノーブル・オリンピックのドキュメンタリー映画の「白い恋人たち」ですね。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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