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YouTubeの愛着事例を解説します|結局、愛着スタイルは母親との関係

【質問】恐れ・回避型の高間さんの説明を聞いた後は理解出来たつもりだったのですが、youtubeでbookmarkしてた(他の方の)恐れ・回避型の説明を見返したら、混乱してしまってます。
その動画では恐れ・回避型が形成されやすい環境として、「 過干渉な母親(不安型)」「無関心な父親(回避型)」「攻撃的な兄弟姉妹」とありました。
過干渉な母親によって意志を奪われ、父は無関心で、兄弟は虐めてくるので、世界への恐れが非常に強くなり、恐れ・回避型になると。
過干渉の母というのは愛着軽視型なのでしょうか。その場 「母子葛藤」が発生する余地がないということなのでしょうか。
動画に質問コメントしたのですが、他の方のコメント のほとんどが、「やっと 自分を理解してもらえた」 という救われたことへの感謝で、私の質問が水を差してしまってると思い、あわてて消して、結局、高間さんの質問箱に。
私は最近自分が親になったら愛着軽視型になる 懸念があります。何でも自分のルールでやるし 、依存的な人(不安が強い人)には手取り足取りやってしまいたくなる所があるからです。子供なんて何も知らないから、全て布石を引いて管理してしまいそうです。子供を見守れない親は、母子葛藤の余地を作れないのでしょうか?

【お返事】質問者さんの疑問を払拭するには、次の2つの原則を確認しておく必要があります。①愛着スタイルは養育者との間で作られる。②葛藤は愛着のある証拠。この原則をブレずに使うと、愛着スタイルの考え方がスッキリするでしょう。
YouTubeの恐れ・回避型の説明にはムリがある感じがします。

愛着スタイルについては参考記事で復習してください。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着スタイルは養育者との間で作られる

愛着というものは、誰との間で作られるものなのでしょうか。この大前提を考えると、YouTubeの方の説明は強引であると分かります。

愛着とは「養育者との間に作られる基本的信頼感」のことでした。そして愛着理論を作ったボウルヴィによると、「養育者はたった一人である」といいます。接する時間の長い人を子どもは養育者と決めるので、だいたい母親になります。

ということは、愛着スタイルというのは、母親との間で形成されるものであると分かります。つまり母親の愛着スタイルが重要なのです。父親の愛着スタイルについては、次のように子どもに影響します。

・父親の愛着スタイルが「安定型」であるときは、母親との愛着形成がうまく行かなかった場合でも、助けにはなる。「助けにはなる」というのは消極的な言い方ですが、母親の代わりにはなれないということです。

・父親の愛着スタイルが「不安定型」(回避、不安、恐れ・回避)であったとしても、兄弟からのいじめがあったとしても、母親の愛着スタイルが「安定型」であれば、ほぼ問題はない。

◇YouTubeの事例を考えてみる

これらの理論を踏まえて、質問者さんのYouTube事例を考えてみると、

・母親(不安型愛着スタイル)
・父親(回避型愛着スタイル)
・兄弟(攻撃的、愛着スタイルは未定)ということですね。

この場合は、子どもは母親の影響を一番に受けるので、「不安型」になりやすいと分かります。

父親からは影響が少ないうえ、父親は回避型なので、子どもから遠いところに居ます。そのため、ほぼ影響はないでしょう。

兄弟のいじめは、不安型の母親では介入できないでしょう。なぜなら、不安型の母親は、子どもの気持ちより自分の気持ち(不安)を優先することが多いからです。とすると、兄弟のいじめにより、子どもの「不安型は強くなる」かもしれません。

結果的には、「不安型」であることには変わりません。

しかし、兄弟に発達障害(あるいは軽度知的機能障害)がある場合、いじめの程度はかなり強くなり、性暴力まで発展する可能性もあります。そうなると強度の不安が「恐れ」に発展する可能性があり、まれに「恐れ・回避型」になる可能性もあるかもしれません。

子どもの愛着スタイルは、こんな感じで決めて行きます。

■葛藤は愛着のある証拠

葛藤は愛着のあるところに発生します。そのため、母親が愛着軽視型だと、葛藤が発生します。なぜなら、愛着軽視型は、愛着を軽視するが、愛着がないわけではないからです。

むしろかなり強い葛藤が、子ども側に発生します。藤圭子と宇多田ヒカルの例を参考にしてください。ヒカルの藤への葛藤はかなり大きかったですね。歌を聴けば分かるでしょう。ヒカルは、2016年「花束を君に」で、ようやく藤と和解します。藤がこの世を去ってから3年経っていました。参考記事を張っておきます。

■質問者さんの誤解(かな?)

その他、2、3の誤解がありましたので、解説させていただきます。

・過干渉な母親は「不安型」が多いです。ですから、質問の途中にあるように、愛着軽視型(回避型)ではありません。

・愛着軽視型は回避型とも呼ばれます。同じ状態を示しており、用語が違うだけです。

・自分のルールで何でもやったり、不安の強い人のおせっかいを焼いてしまう人が、愛着軽視型になることはありません。
愛着軽視型の場合は、人のルールに合わせ、自ら人に近づくことはしません。おせっかいはありません。

・子どものやるべきことを先回りする(見守れない)親は、不安型ではないでしょうか。
子どもは自分の気持ちを話す機会を逸し、感情を閉じ込めて不安型になっていく場合もありますので、いまから、他人に対して、見守る行動を習慣化するといいかもしれませんよ☺

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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