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$5 Dual Slew Limiter - DIY Eurorack Modular Synthesizer

背景

自作モジュラーシンセの75作品目。
モジュラーシンセの最も基本的なモジュールのひとつにSlew Limiterがある。ユーロラックで最も人気なモジュールであるMake noise Mathsも、このSlew limiterの機能を有する。

私もこれまで、Slew limterの機能を有するモジュールを作ってきたが、Slew limiterそのものを作ってこなかったため、作成を企画した。

制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 6HPサイズ
電源:15mA( +12V ),15mA( -12V )

2種類の機能を有するDual Slew Limiter。
安さと、部品の少なさを優先させている。

モジュールの上部

スルーレートの範囲を3種類から選択可能なSlew Limiter。
トグルスイッチで3種類のレンジを選択する。
Lレンジ:LFOなどのゆっくりとしたCVへの利用を想定
Mレンジ:ピッチCVのポルタメントの利用を想定
Sレンジ:オーディオ周波数のローパスフィルタの利用を想定
Potでスルーレートをコントロールする。

バイポーラ入力に対応。
入力電圧に対する、出力電圧の精度が高いので、V/octピッチCVに使用できる。

モジュール下部

Riseと、Fallのスルーレートを個別設定可能なSlew Limiter。
ASR envelope generatorの使用を想定している。

バイポーラ入力に対応。
回路の都合で、入力電圧に対する、出力電圧の精度が低い。V/octピッチCVの使用は想定していない。

製作費

総額約$5
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フロントパネル $1
TL074 $0.4
可変抵抗 $0.3*3pcs
他(汎用部品は下記リンク先参照)

ダイオードはBAT43などのショットキーバリアダイオードを推奨する。
1N4148などの標準的なダイオードでも機能するが、電圧の追従性が悪化する。(後述)

ハードウェア

オペアンプの入力回路には制限抵抗の10kオームを設置している。プルダウン抵抗は、入力に対する出力する電圧精度を上げるために設置していない。入力回路のノイズ対策として、プラグ未挿入時にGND基準になるようにTN端子をGNDに接続している。

R2,R5はオペアンプ出力の過電流保護用の制限抵抗。無くても問題ない気もするが、出力回路に制限抵抗が無いのは気持ちが悪い。
100オームなので、スルーレートへの影響は小さい。

D1,D2はRise,Fall時間を切り分けるためのダイオード。
ダイオードは順方向電圧Vfが小さいBAT43を使用した。1N4148の様な汎用ダイオードはVfが大きいので、小さな入力電圧の差があった場合の応答性が悪化する。

以下の波形は、可変抵抗を0オームに設定した場合の入力電圧に対する出力電圧の応答性の比較。
上の写真はBAT43を使った場合。スルーレートへの影響は小さく、0Vを入力した場合も電圧が0V付近まで戻っている。
下の写真は1N4148を使った場合。スルーレートの影響が大きく、0Vを入力した場合は電圧が0Vまで落ちない。

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