「不連続に橋をかける」
2002年にこの本の初版が出たときは、ブログでたくさんの人が話題にしてくれた。その中でも忘れ難いのが、「不連続に橋をかける」という題のエントリーを書いてくれた方のことだ。
この本は村上龍、村上春樹の登場によって起きたそれ以前の日本文学との間の切断と、この二人のあとの現代文学の展開について書いた長いエッセイなのだが、切断を強調し過ぎたかな、と思っていたけれど、そこに「橋をかける」こと、つまり架橋のための本であることを指摘してくれていた。
それからさらに22年を経たいま、「ポスト・ムラカミ」の作家たちと、さらにその後の(ことに東日本大震災後の)作家との間には大きな断絶があるように思える。文学史は一本の筋道ではなく多方向に伸びる川の流れのようなものだとしても、それらを結びつける手がかりはほしい。その意味で「不連続に橋をかける」はその後の自分の仕事の支えになる言葉だった。
あのブログを書いてくれた方が、どんな方だったのかはわからないのだが、もしもこのツイートをみて「私です」と名乗り出てくれたら、あらためて感謝の言葉とともに、この改訂新版を献呈したい。ご連絡をお待ちします。
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