見出し画像

自立支援医療(精神通院医療)、精神障害者保健福祉手帳の記載時における留意点について

今回の記事では、精神科の診断書の中で自立支援医療(精神通院医療)、精神障害者保健福祉手帳の記載時における留意点について、行政機関が公開している情報を書き留めたものを記します。

自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳に共通する記載時の留意点

◯病名
・(1)「主たる精神障害」及び(2)「従たる精神障害」には、国際疾病分類に位置づけられる病名を記入し、ICD-10コード(少なくとも「F**」など数字2桁まで)を併記する。
・対象となる病名は、ICD コードが「F00~F99 及び G40」 のものに限る。
・記載にあたっては、「F」若しくは「G」及び数字2桁とその区分に応じた病名を必ず記入(身体障害と精神障害の両方に病名、ICDコードがある場合、精神障害名及びコードを記入。)
例1) 病名が「アルツハイマー型認知症」の場合、ICD コードは「F00」と記載。(ICD コード「G30」 では、対象外となる。)
例2) ICD コードが「F32」の場合「気分障害」ではなく、「うつ病」など、数字2桁以上の細目で病名を記載。
・病名は「疑い」や「状態」ではなく、確定したものにする。
・自立支援医療の対象となる病名は、F00~F99及びG40(てんかん)です。
・精神障害者保健福祉手帳(以下、手帳)の対象は、上記からF70~F79(知的障害/精神遅滞)を除いたものとなります。「主たる精神障害」が知的障害/精神遅滞(F70~F79)の場合、手帳は対象となりません(療育手帳制度があるため)。
知的障害/精神遅滞を伴う方が精神障害者保健福祉手帳を申請する場合、他の精神障害を「主たる精神障害」に記載し、知的障害/精神遅滞を「従たる精神障害」に記入する。

◾️ICD-10国際疾病分類(F00-F99 精神および行動の障害)

F0:認知症
F1:精神作用物質による障害(アルコールや薬物、煙草等)
F2:統合失調症
F3:気分障害
F4:神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
F5:生理的障害(摂食障害、非器質性睡眠障害など)
F6:人格障害、性同一性障害など
F7:知的障害
F8:発達障害
F9:多動性障害、チック障害


<返戻の対象となる表記例>
「 〇〇状態 」「 〇〇の疑い 」「 〇〇圏 」「 気分障害 」 ( ※診断名として曖昧) 「ADHD」「PTSD」 (「注意欠如多動性障害」など日本語で記載を) 「アルツハイマー病(G30)」 (「アルツハイマー病型認知症(F00)」は可) 「自律神経失調症」 (「身体表現性障害(F45)は可)

◯初診年月日
・主たる精神障害の初診年月日、診断書作成医療機関の初診年月日の両方とも省略せずに記入してください。
・「主たる精神障害の初診年月日」は、主たる精神障害について最初に医療機関を受診した日付(初診日)です。前医がある場合はその初診日を記入してください。(他の医療機関の診断歴がない場合は、診断書作成医療機関の初診年月日を記載してください)

◯発病から現在までの病歴並びに治療計画及び内容
・発病から現在までの病歴(推定発病時期、発病時や初診時の状態、受診歴、入院歴、 治療経過、治療内容等)について記載してください。
・「○年前」などの相対的な記載は避け、年齢や年号で記載してください。
<注意点>
・推定発病時期が明らかでない場合は、「○年頃」「不明」などと記載してください。 発達障害等の生来性の障害の場合は「生来性」と記載してください。
・更新又は等級変更申請の場合、前回から直近までの症状の変動や治療の経過等も分かるよう記載してください。

◯現在の病状、状態像等
・概ね最近2年間に認められたものを◯で囲んでください。「その他」を◯で囲んだ場合は、その内容を記載してください。
・病名が「双極性感情障害(躁うつ病)」の場合、「抑うつ状態」及び「躁状態」の両項目について記入ください。
・病名がF1「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」の場合、(9)を必ず記載してください。特に「現在の精神作用物質の使用有無」と「不使用の場合、その期間」も漏れなく記載してください。
・病名がF7「知的障害/精神遅滞」の場合、(10)を必ず記載してください。特に「療育手帳」の有無について漏れなく記載してください。(知的障害で、他の精神症状に該当がない場合、精神障害者保健福祉手帳は対象外となります)

◯④の症状・状態像の、具体的程度、症状、検査所見等
・最近2年間の病状について、具体的に詳しく記載してください。それを裏付ける検査初見及び実施日も記載してください。
・過去の症状や経過を記載するのではなく、現在の病状について記載してください。
また、「前回同様」などと省略しないでください。

◯現在の障害福祉等のサービスの利用状況
・ホームヘルプ、ケアホーム、自立訓練(生活訓練)、グループホーム、就労移行/継続/定着支援(作業所や障害者枠での就労を含む)、地域活動支援センター、精神科デイケア、精神科訪問看護等の利用状況について記載してください。
・生活保護や障害年金を受給している場合も記載してください。

◯備考
・「病名」に記載した精神障害に関して、他の医療機関の追加受診を指示する場合、「追加する医療機関名」と「治療内容の重複がなく、やむを得ない事情があること」を記載してください。(医療機関変更等理由書を提出する場合は記載不要です)
・その他、精神障害の程度の判定に参考となる事項があれば記載してください。

◯①投薬内容
精神障害の治療に関する投薬について、薬品名(商品名または一般名)・剤型・用量(一日量でも良い)を記載してください。
「〇〇」等と省略せずに全てを記載してください。
拒薬等で投薬のない場合は、その旨を記載してください。

◯②精神療法等も漏れなく◯をつけてください。
診療報酬の「精神科専門療法」に掲げられた項目、もしくは「支持的精神療法」等の具体的な精神療法の内容を記載してください。
該当がない場合もその旨を明記してください。
精神科デイケアや訪問看護に自立を適用する場合は、該当する項目に◯をつけてください。

◯今後の治療方針
治療目的とその為の手段を具体的に記載してください。
現在の病状が改善していても再発予防の為に継続的な精神療法や薬物療法が必要な場合、その内容と必要性を具体的に記載してください。

◯主たる精神障害が重度かつ継続に該当する場合
・主たる精神障害が「F00〜F39、G40」以外の「F40〜F99」の場合、必ず「重度かつ継続の該当・非該当」を記載してください。
・「重度かつ継続」に該当する場合は、精神保健指定医または3年以上精神医療従事経験のある医師の診察が必要となります。

◯日付、医療機関名称、所在地、電話番号、診療担当科名、医師氏名
・日付は診断書作成日を記載してください。
・医療機関の名称、所在地、電話番号、診療科名も必ず記載してください。

精神障害者保健福祉手帳用の記載欄

◯「現在の生活環境」
診断書記載時点での状況を◯で囲んでください。施設等に入所している場合は、施設名(固有名詞)を記載してください。

◯「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」は、入院等の保護的な環境ではなく、アパート等で単身生活を行った場合(支援者や家族がいない状況)での状態を想定して、年齢相応の生活能力と比較して判断してください。

参考:

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/chusou/jiritsushieniryo/jiritsu_iryokikan.files/jiritu_sindansyokisai.pdf

https://www.pref.kyoto.jp/health/info/pdf/medicalCertificate_point.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?