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HeliumがSolanaへアップグレード完了、将来に向けた新しい基盤を確立

この記事のポイント

・ Heliumはこれまでで最も重要なレイヤー1ブロックチェーン間の移行を行い、Solanaへのアップグレードを完了しました。
・ 個々のホットスポットはNFTとして発行されました。これはSolanaの画期的な開発成果をベースにしており、他のブロックチェーンを利用した場合莫大なコストがかかるものでした。
・ 分散型物理インフラストラクチャ(Decentralized Physical Infrastructure, DePIN)(注1)プロジェクトはSolana上で大きく成長しようとしており、ブロックチェーン技術の実世界でのユースケースを創出しています。

Heliumは過去に類を見ないレイヤー1ブロックチェーン間のアプリケーション移行を行い、Solanaへのアップグレードを完了しました。Heliumは100万箇所のホットスポットを擁し、人々によって運営されるワイヤレスネットワークというコンセプトを切り拓いてきました。今回Heliumは、私たちが更なる飛躍につながると考える重要な目標を達成しました。

Heliumは世界中の個人や法人が設置したホットスポットの集合体を通じて無線アクセスを提供する非中央集権のワイヤレスネットワークであり、世界最大のLoRaWAN(Long Range Wide Area Network, 長距離広域ネットワーク)(注2)でもあります。Heliumは192の国でサービスを提供し、リスボン、ロサンゼルス、ニューヨーク市、ロンドン、チューリヒ、アムステルダム、イスタンブール、ベルリン、シドニーといった都市で完全な無線カバレッジを確保しています。Heliumコミュニティはまた、昨年から5Gの展開にも力を入れており、現在では世界中に8000箇所で5Gが利用可能となっています。

Heliumの開発チームはこれまで独自のレイヤー1ブロックチェーンを利用していましたが、コミュニティはHeliumがさらに拡大し、市場を獲得できる機会をSolanaネットワークに見出しました。今日、その機会は現実のものとなります。

これはHeliumとSolana両方のコミュニティにとって素晴らしいことです。

  • Heliumは目標により集中し、より多くの資源を活用し、より拡大することができるため、ベースレイヤーのブロックチェーンの心配をすることなく、分散型のワイヤレスネットワークを構築するというビジョンにさらに近づくことができます。

  • Heliumはアップグレードにより、Solanaで新しい可能性を手にします。全く新しいレベルのコンポーザビリティ、スマートコントラクト、DeFi、NFT、他の分散型物理インフラプロジェクトといった、Heliumの独自レイヤー1では実現できなかった可能性です。

  • HeliumのSolanaへのアップグレードは、分散型物理インフラのプロジェクトがいかにユーザーに実際のユーティリティを提供し、そのためにSolanaの比類ない処理速度、ほぼゼロに近いコスト、エネルギー効率といった利点を活かせるかを示す好例です。

Solanaへのアップグレードがどのように行われたかも特筆に値します。Heliumはホットスポット一つひとつをNFTとして発行しましたが、これはSolana上で最近リリースされた「状態圧縮(注3)」という画期的な機能によって可能となったもので、他のチェーンでは法外なコストがかかっていたことでしょう。例えば、90万個の圧縮NFTをSolana上で発行するのにはストレージ費用にわずか0.3SOL、トランザクション費用に5SOL程度(原文の公開時点でおよそ122ドル)が必要となりますが、圧縮技術を利用しなかった場合は最大で10800SOL(26万ドル)もの費用がトランザクションコストとして生じていたと思われます。

この図は2023年4月5日時点の情報をもとにしており、SOL価格を21.14ドル、MATIC価格を1.14ドル、ETH価格を1909.45ドルとして計算しています。詳細はこちらから
https://solana.com/news/helium-upgrades-to-solana#fn

個々のホットスポットをNFTとして発行することの意義は、このNFTがホットスポットの証明として機能し、何らかの認証が必要とされるような中央集権型のサービスを利用せずともその正当性の証となることにあります。加えて、この「ホットスポットとしてのNFT」は開発者がHelium上にプログラムを構築するためのデータを提供するほか、Helium FoundationやHeliumコミュニティはトークン認証型の体験を制作することもできます。

Solana上に構築されたDePINプロジェクトは、単に計算を実行する以上の機能を現実世界に提供します。こうしたプロジェクトはインフラストラクチャの物理的所在地がネットワークに大きな価値を提供するという意味で、非常にユニークなものです。

こうした試みは現在、Solanaでのみ可能です。だからこそ、HeliumからHivemapper、Render、OnocoyといったDePINプロジェクトはSolanaで成功しているのです。こうしたプロジェクトはどれも、ブロックチェーン技術を現実世界に持ち込んでいます。

Solana FoundationはHeliumコミュニティがその未来を築く場としてSolanaを選んだことを嬉しく思います。SolanaがHeliumの基盤として機能する上で、いくつか鍵になる優位点があります。

  • コスト効率に優れた接続性:コミュニティのメンバーはSolanaのほとんどゼロに近い手数料水準を享受することができます。

  • 開発目標への集中:Heliumコミュニティはレイヤー1ブロックチェーンの管理というタスクではなく、「人々のネットワーク」を構築するというミッションに専念することができます。

  • オープンソースの理念:Heliumはオープンソース技術をベースに構築されています。SolanaがWeb3の中で2番目に大きなオーガニックな開発者コミュニティを擁していることを考えれば、両者の間には明らかに共通するものがあるといえるでしょう。

  • 一つのグローバル・ステート上のコンポーザブルなスマートコントラクト:Heliumの開発者は初めて、ホットスポットやセンサーといったネットワーク上の機器を管理するためのスマートコントラクトを記述することができるようになります。同時に、Solanaの開発者もまたHeliumから入手した現実世界のデータをアプリケーションに取り込むことができるようになります。

Solanaの力は、起業家やイノベーターが製品のビジョンやインパクトを拡張することを可能にする点にあります。こうしたビルダーがWeb3をまだ知らない人々にSolanaの先進性を示してくれるのを見るのはとても素晴らしいことです。つい先週、Solana MobileはSagaスマートフォンの発売をアナウンスしました。このスマートフォンは人々が自分のデジタル資産を管理するのをより容易に、安全にします。Helium Mobileはローンチ記念で、6月から始動するHeliumネットワークへの1ヶ月無料アクセスをSagaの購入者に提供します。

これはSolanaコミュニティとHeliumコミュニティが一つになって進んでいく始まりに過ぎません。続報をお待ちください。


この記事の初出はHelium upgrades to Solana, establishes a new foundation for its future, April 20, 2023, Solana Foundationです。https://solana.com/news/helium-upgrades-to-solana


注1 DePIN:DePINはプロジェクトの普及やインセンティブ付けにトークンを利用するインフラプロジェクトの総称です。MessariはDePINプロジェクトの例として、HeliumのほかにHivemapperやArweave、Filecoinなどを挙げています。

注2:LoRaWAN:LoRaWANは標準化団体「LoRa Alliance」が推進する省電力長距離通信のための規格です。あらゆるモノがインターネットに接続するIoT向きの通信規格で、世界的に導入が進められています。

注3:State Compression(状態圧縮)について、詳細はこちらをご確認ください。
https://edge.docs.solana.com/learn/state-compression?ref=solana.ghost.io


翻訳:さーもん(寺本)
https://twitter.com/salmon_crypto

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