私は「養殖」になりたい。

私ね「天然」と言われて嬉しいとは思わないし、むしろ恥ずかしいとさえ思っているんです。
そこで「天然」という言葉を聞くたびに思い出す、恥ずかしい出来事をここに記します。
語り口調なので、稲川淳二あたりの声で再生してください。

デパートの地下って基本お惣菜屋さんじゃないですか、そこでね、唐揚げ屋さんだったか焼き鳥屋さんだったか、数年も前なのでもう忘れてしまったんですけど、とにかく地鶏を扱うお店だったんですよ。そこで店員さんが
「うちの鶏肉は捌いて直ぐお店に卸すんですよ」
って言ったんです。
それで、多分普通の人なら
(なるほど〜捌いてきたものをすぐに持って来てお店で加工してるのか〜)
ってなるんだと思うんですけど、私は何を勘違いしたか
「お店の裏に鶏を飼ってらっしゃるんですか?」
って聞いちゃったんですよ。
よくよく考えてみたら鶏を飼うスペースなんてデパートの裏には存在しないし、そもそも屠殺は決められた場所でしか出来ないから、そんなことはあり得ないんですよ。
でもね、私は頭が足りないから、全く馬鹿なことを聞いてしまって、店員さんも、隣にいた夫までも目を丸くして私を見るんですよ。
それでね、店員さんが微笑みながら夫に言うんです。
「奥様、天然なんですね」
って……恐ろしい!
馬鹿だと直接言われたほうがマシです。
夫も同調するように笑っていましたが、正気の沙汰じゃありません。
天然ですね、ということは意訳すると
「普通一般の人ならわかることがわからず、不用意に声に発してしまう、頭の足りない方なんですね」
って事なんですよ。
これを夫に言うと、認知の歪みだ考え過ぎだと言われますが、私はそうは思いません。
今までの経験上その言葉を使われた人は、裏でそのように言われていたからです。だから私は「天然」という言葉に恐怖さえ感じています。
だから天然なんて言葉、鰻や鮪で十分ですよ。
今でも件のデパートのお惣菜屋さんに足を運ぶことがありますが、あの時の失敗を胸に恥の上塗りをしないよう、発言に注意してお店をまわっています。

忘れたいほど恥ずかしいけれど、恥ずかしい記憶ほどふとした時にフラッシュバックしてしまいますので、その度にこのノートを貼ろうと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。

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