【海外フェムテックニュース】femtechが業界として認知されるまでの道のり: 世界大手生理管理アプリClue 設立者が振り返る

2013年ドイツ発の生理管理アプリ Clueの設立者 Ida Tinさんが、自社サイトでフェムテックの歴史について振り返っている16年のコラムを和訳します。NYTによると、彼女がfemtechの名付け親とのこと。

The rise of a new category: Femtech
新しいビジネス業界の誕生について:フェムテック
著:Ida Tin, Clue共同設立者, Chairwoman
2016年9月15日

2009年のとある朝。私はガラケーを片手に、もう片手には体温計を握っていた。毎朝、このようにして私は体温を測っては、ガラケーの小さな文字盤で体温を入力していた。排卵期を把握・管理するためだった。

それはもう、面倒な手作業だった。早く、この二つの電子機器を合体させて、楽に生理周期を把握したかった。

ちょうどその頃、iPhoneを筆頭にスマホが一斉に普及した。これをきっかけに、私は生理管理アプリClueを立ち上げることにした。気づけばその時から7年も経つ。この期間は、今までビジネスの世界に存在しなかった、女性の健康をテーマにした新しいジャンルを作り出す期間であった。

2016年の今では、生理管理アプリは世界中に出回っている。それに伴い、生理にまつわる膨大なデータが容易に集計できるようになった。この分野における研究も一気に進んだ。生理にまつわる世界は、技術革命と文化革命の真っ只中にいる。今までタブーだった生理が、一気にリバレートされているのだ。

生理管理アプリ以外にも、女性の健康管理テクノロジーが次々と生まれている。例えば、体温測定のできるパッチ、挿入デバイス、リストバンド、クリップオン、スマートジュエリー、妊娠にまつわるDNA検査などだ。
これらを全てひっくるめたのだフェムテックだ。

今まで、この総称がなかった分、女性の健康をテクノロジーで管理するサービスや商品を提供する各企業が、自社をどのようにカテゴライズして、マーケティングしていけばいいか悩んでいた。

Femcareという言葉は昔から使われていた。それは例えば、ナプキンやタンポンなどといった生理用品を指す。これだけでも、市場規模は$30 billionもある。
でも、最近誕生した生理用品配達アプリやサブスクサービスはFemcareのジャンルに入るのだろうか?$18 billionもある避妊薬市場はどうだろうか。この世界も、現在デジタル革命が起きている。ファティリティ(妊娠)市場は$14 billion, 更年期市場は$4 billionだ。前者は急速にイノベーションが起こされていて、後者にはもっと脚光を浴びるべきだ。

上記すべての市場で、テクノロジーによる地殻変動が起きている。いずれ、Apple HealthKit, Google FIt, Clueなどをはじめとする健康管理アプリで、各市場のデータが統合されて、サービスに反映される日が来るだろう。こういうことも全てフェムテックだ。

この業界はどんどん成長していく。毎日、何かしらの変化が起きている。ベンチャーキャピタリストも、フェムテック企業を投資対象としてどんどん関心を向けてくるだろう。フェムテックをテーマとした会議も次々と開かれていくだろう。フェムテックは「テクノロジーの世界で活躍する女性」を指すという認識から、「女性の健康管理を実現するテクノロジー」という認識に変わっていく日もそう遠くない。

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