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海を見ていた午後…じゃなくて蒸し暑い夜

オフィスビルとビルの谷間の遊歩道

「もしかして、、なうなうさん?

あ、初めまして光一です

えーっと

お腹すいてないよね?

とりあえず、社の人に見られるとマズイんで、あっち行きましょうか?」

夕暮れ時だぜ?

とりあえず、ご飯からじゃないの?

奢れとか言わないし

高いところ行けとか言わないけど

それに、自分の仕事先の近くを指定したのはそちらだろう

何を今さら、見られたら?

…こんな愚痴愚痴の第一印象から始まった光一との夜

いやな、予感はしていた

でも、もしかしたら?

という

期待を持っていた私は青かったね

熟熟の熟女のクセに

身も心も青くて酸っぱい黄色いさくらんぼ~~♪みたいだったわ

沈みゆく夕陽を見ながら

みなとみらいの後ろ側の公園を

ゆったり歩きながら

話したの

「そこに座りませんか?」と

海に面したベンチを指差す光一

はぁ?

喉、渇いてんすけど

しかも蒸し蒸しに暑いんすけど

まさかの

屋外トークですか?

などという言葉は全て飲み込んで

「あ、ちょっと飲み物買ってきます、そこの自販機で」と

脱兎のごとく

いや、忍者みたいなイルージョンで

缶コーヒーをゲットして現場に戻りました、なうなう、10点!

光一「あ、、すみません。お金、、払います」

…本当に、そんな気持ちがあるなら

今すぐ屋内へ行きましょう

せめてこの汗だくではない環境で話したい

という心の声は届かず

クソ暑い←ピー!放送禁止用語

ベンチに並んで缶コーヒーすすりながら

お互いの仕事やら家族構成やら

出会い系に登録した経緯やら

小一時間、いや小ニ時間近く話しました

もうおばちゃん、暑さでくらっくらっして

途中から記憶ありませんけど

しかもあたりは暗くなって

並んで座ってるからお互いの顔も見えなくて

なんていうか

暗い夏の海に向かって

一人ずつ独白してるって感じ

ああ、高校時代、演劇クラブでの活動、思い出しちゃうなって

いや、正にこのシチュエーションは高校生

いや、今日び、もはや中学生だってスタバしばくやろ

そろそろ帰りましょう、と私がうながして二人して立ち上がり

歩き始めに、ちょっとよろめいた←よろめくよ、暑くてめまい起こしかけた

光一の肩にちょっとぶつかって

「あ、ごめんなさい」というと

「いや、大丈夫?」

大丈夫じゃない理由、あなたにわかりますか?わかりませんかー?

「なんか、こういうのいいよね~」と

ひとり悦に入る光一…

缶コーヒー一本だけでは足りない水分と糖分

21時近いのに何も食していない私は

マトモな思考回路を持てぬまま帰路についた

で、すかさず光一から

メールが…

「なんだか、高校生みたいな初々しいデートで感激でした

最後に、肩が触れ合って

ドキドキしちゃいましたね

またお会いしたいです」

( ̄▽ ̄)

もうね、ボタンのかけ違いとかいうレベルではない

息をしてる時空間が違いすぎる

確かお互い45歳は過ぎてましたよ、、この時

「楽しい夜をありがとうございました。

光一さんには、私なんかよりもっと素敵な人が似合いますよ」

と返してジ・エンド

追伸

「次のお相手には せめて水分補給だけはさせてあげてね、出会いに幸あれ!」

今でもあの夜を思い出すと

すっごい喉の渇きを覚えます

ある意味記憶に残る出会いでした

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