呼吸の為の筋肉④ ~肋骨の筋肉~

さて、胸郭の構造を見たところで、

その動きを支える筋肉を見ていこうと思うが、種類が多いので2回に分けて、内側から徐々に外側へ、上方へと見ていけたらと思う。

肋間筋(Les intercostaux)

肋骨の各上下の縁に張り付いた骨格筋(l'osteo-musculaire)で二層に分かれている。

画像1

https://funatoya.com/funatoka/anatomy/spalteholz/J431.html より引用

内肋間筋(Les intercostaux internes)
肋間筋の内側の層にある筋肉。上前方から下後方という様に斜めに付いていて、主に肋骨を引き下げ、呼気運動を助ける。

外肋間筋(Les intercostaux externe)
肋間筋の外側の層にある筋肉。上後方から下前方という様に斜めに付いていて、主に肋骨を引き上げ、吸気運動を助ける。

胸式呼吸の要となる筋肉群ではあるが、安静時呼吸では外肋間筋しか使われず、その働きによって吸気の40%が得られている(残りは横隔膜の動き)。
また動きの結果、肋骨が上下する事から分かるようにバケツハンドルモーションを行っている筋肉だ。

肋間筋を動かしてみよう

立った状態で肋骨に手を当てて、若干反るようにして息を吸うと外肋間筋が最大に広がって感じやすい。
そして、3秒上を向いたまま息を止め、吐きながら背中を丸め、少し猫背位の位置で肋骨の間を狭めて吐ききると内肋間筋が良く動いてるのを感じられるだろう。

これを二、三回やるとよいストレッチになる。

実際、歌う上では猫背だと外肋間筋が、反らしすぎると内肋間筋が上手く動かなくなってしまいあまりメリットはない。余裕がある動きに止めて置くべきであろう。
個人的には長いフレーズや息が持たないものを歌う時、外肋間筋を吸った状態で(要は胸が高い位置にある状態で)保ってやり、最後の最後に少し背中側の肋骨を他のに近づけるとかすると息が持つ気がする。


前鋸筋(Le dentelé antérieure)

ボディビルダーや筋肉がしっかり付いた人の腹筋の斜め上、まるで肋骨が浮いてるかのようにギザギザ盛り上がってる所が前鋸筋だ。

画像2

http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/funatoka/anatomy/spalteholz/J430.html より引用

浮肋を除いた十対の肋骨の側面からそれぞれ始まり、肩甲骨(L'omoplate)の内側の縁へと収束する。
主に肩甲骨を前に引き寄せる運動をしているが、肩甲骨が後ろに固定されていると肋骨を引き上げ広げるバケツハンドルモーションを引き起こす。
更に細かく見ていくと前鋸筋の下半分は息を吸うとき肋骨を持ち上げる為に良く働き、逆に上半分は息を吐く時に肋骨を下げる様に働くという違いがある。

前鋸鋸を動かしてみよう

さて、まずはグーで前方にパンチを放ってみよう。どういう呼吸をしただろうか?
次に腕を下ろした状態から腕を横に開きながらゆっくり上げてみよう。これはどうだろうか?
パンチをする時は鋭く吐き、腕を上げる時はゆっくり息を吸ったのではないだろうか。
実際、腕を前に伸ばす時、前鋸筋は肋骨を縮めている。また、上に上げる時はそれにつられて肋骨を広げるように働いている。
また上半身を捻ったときにも良く動く筋肉なので肋骨を意識してゆっくり捻ると解れて呼吸しやすくなる。
物を持っていたり、両手を下ろしていると、なんだか歌いにくい、呼吸しづらいというのはこの筋肉の動きを阻害している為である。なので、椅子の背もたれなど、手頃な高さの台があればそこに手を置いて歌うとちょっと楽だったりする。

今回は肋骨の内側、側面に付く筋肉を取り上げた。次回は肩周りの筋肉、首周りの筋肉を見ていこうと思う。


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