0116「エンタメの裏側は見えない」

先日の全国高校サッカー選手権決勝をテレビ観戦した後、とある記事と併せて呟いた1つのツイートについてこの場でちゃんと自分の意思を表明しておきたい。

単刀直入に言うと、自分はこのツイートで流経大柏の本田監督を非難したかったわけではない。2年連続で自らのチームを全国大会の決勝まで導いた監督を私の立場で非難できる訳がない。

自分は今年の選手権に関して、コンサドーレに入団内定している青森山田の檀崎選手を追うために観ていたと言ってよい。なので青森山田(と地元北海道の旭川実業)の試合は初戦からチェックしていたが、流経大柏の試合は準決勝と決勝の2試合しか観ていない。それも準決勝の試合は1.x倍速の早回しで観ていたのでしっかり観たのは決勝だけだ。そして流経大柏は負けてしまった。
私のように流経大柏に初めて注目した人がとても多かったであろう試合で、テレビに映った監督の画や、監督の采配の印象が悪かったことが非常に残念だった。

サッカーは観る人にとってはエンターテイメントだ。そして大抵のエンターテイメントにおいて作り手のことは隠されている。それはコンテンツを純粋なエンターテイメントとして受け手に提供するためである。作り手の努力やコンテンツができあがるまでの過程は、それ自体が質の高いエンターテイメントになると認められる特別な状況を除いて表には出てこない。

サッカーの試合もそれがコンテンツとして成立するまでの裏側を見る機会はほぼ無い。チームメンバーがどのような経緯で集まり、選手どうしあるいは選手と指揮官がどのようなコミュニケーションをとってきたが、どのような練習を積んできて、どのような課題を解決してきたのか、試合中指揮官がどのような考えで交代カードを切ったのか。ほぼ全て、一般の観客は知ることはない。実況や解説、インタビューで知った気になるがそれも試合に至る全体の事象のうちの 1% にも満たないだろう。

なので、この試合のテレビ放送で、あるいはその後の記事で本田監督の印象が悪く映ったのは非常に残念だった。現にこのツイートにいただいたリプライには憶測と思われる内容で批判的なコメントがされているし、いいねも複数ついている。しかし我々はその印象の奥にある、2年連続で決勝進出を成し遂げた過程に思いを馳せるべきであり、その価値を味わうべきなのだ。

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