豆単・出る単、或いは刑事コジャック

よく自分は英語が苦手とか、勉強しても英会話が上達しない、という人がいます。 でも英語が勉強だと思っているうちは、なかなか上達は難しいですよ。

私が高校生だったころは、厳しい”受験戦争”の真っただ中。 学生は語彙力をつけて英語の点数を稼ごうとし、”赤尾の豆単”なる赤い表紙の参考書の丸暗記に膨大な時間を使っていました。 つづいて新参の“試験に出る英単語(通称”出る単”)”が現れると、瞬く間に受験生の心を捉えて”出る単”信者が急増していきました。

勉強嫌いの私は当然のことながらボキャブラリー不足は課題であり、豆単だの出る単だのの丸暗記もやってみた訳です。 ところが、やればやるほど英語の成績が下がっていくではないか!?  よく考えてみると国語の成績も漢字の丸暗記をすると、どんどん下がっていく。 これは特異体質なのだろうか?

子供の頃から本が好きで物語の世界に触れることが喜びでした。 英語に関しても英語の物語テープやセサミストリート、米軍放送FEN(現AFN)のDJ番組が好きで、細かいところはわからなくてもなんとなく大雑把なストーリーがわかればそれで良かった。 単語を丸暗記していくと一言一句を訳しながら読むようになり、全体像が掴めなくなる。 それが原因だったようです。

私は上智大学経済学部に入学しましたが、上智とはいえ経済学部は対して英語の得意じゃない学生が大勢。大学の英語(英会話)の授業では、教材が”刑事コジャック”を英語で見て内容を理解する、というものでした。もちろん字幕なしです。これを苦痛に感じる学生も多かったけど、私は楽しかった。 日本語吹替えの森山周一郎さんも低音の素敵な声ですが、本家コジャック役のテリーサラバスは、それに輪をかけた低音で聞き取りにくい。 それでもドラマを見ていけばストーリーは大体わかる。 何度か繰り返し見ていると少しずつ言っていることも聞き取れるようになっていく。 この時、あぁやっぱり単語丸暗記しなくて良かった、と実感したものです。

考えてみるとアメリカ人のちびっ子はボキャブラリーなんて大したことない。それでも平気でペラペラしゃべっていますよね。 わからない言葉はその場で聞いて少しずつ自分の中に吸収している。
日本人の大人がなかなか同じようにいかないかもしれませんが、そのような体験をしてみないといつまでたっても感覚が変わりません。 
家にあるDVDだかブルーレイだかで英語版のみ、吹替え字幕なし、で試してみてはいかがでしょうか。

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