#7 「緊急手術」
手術についてひと通りの説明を終え、病院食を食べてその日は眠りにつきました。
そして翌日、2020年7月17日(金)緊急手術の日。
手術当日は手術中に嘔吐した際に食べ物が出てこないように絶食です。
これがなかなかしんどい。
とりあえず、朝と昼のご飯は抜きです。
その日は13時から手術の予定でした。
手術室に入る際には、一旦病室の物は全て引き払う形になります。
ロッカー等に貴重品も預けれないので荷物を全て父と母に預けておきました。
手術室に入る際は、病衣以外は全て下着も脱ぎます。
下着も全て脱いだ状態で病衣を着て病室で待機。
メスを入れた傷口から、ばい菌が入ってもやっつけれるように、抗生剤の点滴をあらかじめ行なってから手術を行っていきます。
術前から終わった翌日くらいまでは管に繋がれっぱなしですね。
13時ちょっと前に担当の看護師さんが迎えにきて、病室のベッドごと手術室へ連れて行かれました。
ベッドごと移動ってすごく不思議な感覚ですね。エレベーターにもベッドごと乗ります。
手術室に入るのはその時が初めてだったので、すごく鮮明にその時のことを覚えています。
まあ、まだこの時は初めての遠足に行くような感覚でしたね。
その後、手術台の上に移され、上を見上げると眩しい照明がいっぱいあるわけです。
ついに、ここまで来たかと。
なんとなくご想像はつくでしょうか。
そこで全身にビニールシートのようなものを被され、病衣を脱いで完全にスッポンポンの状態になります。
そして、いよいよ麻酔をかける時間になりました。
私の手術は全身麻酔で行う手術でした。
全身麻酔というのは完全に意識を失い、眠った状態で手術を行うための麻酔のことです。
歯医者さんとかの痛み止めは、一部分だけに効く局所麻酔というやつで、またそれとは違うやつですね。
透明なプラスチック製のマスクを着けられて、まずは吸うタイプの麻酔薬を吸わされました。
麻酔科医「眠くなりますかー?」
私「全く寝れません。」
麻酔科医「結構これくらい吸うと普通の人は寝るんですけどね。」
「わかりました、注射の方でやっていきますね。」
私「分かりました。」
「とりあえず気管挿管が怖いです。」
緊張していたのか興奮していたのかは分かりませんが、吸入麻酔で全く寝れず。注射での麻酔導入になりました。
気管挿管というのは手術中に使う人工呼吸器の管を気管に入れる事を言います。
麻酔薬の影響で呼吸が弱まったりする可能性があるので、人工呼吸器で調節してあげるわけですね。
その際に使うのがこの鎌みたいな咽頭鏡という気管の中を見るやつです。
まあ、イメージとしてはこんな感じです。
こんな鎌みたいな物を入れるから喉が後からめちゃくちゃ痛いんやろうなって思って嫌でしたね笑
実際に入れる時は麻酔で眠った後なので痛みとかは全く無いわけなんですけど。
コロナが流行り始めた頃、デマツイートで
コロナが重症化して人工呼吸器着けないといけなくなるとこの鎌みたいなやつを喉に突っ込まれて
後から声が出なくなる、治っても後遺症が残る。
みたいなのがあったと思いますが、全くの嘘です。
確かに、術後に喉は痛くなりましたけど、4、5日で治りますしね。
なんでもデマに踊らされないようにしないといけませんね。
麻酔科医「それでは、注射の麻酔を入れていきます。」
私「分かりました。」
麻酔の注射が腕の血管から入ってくる→血管に激痛が!!!
私(うわっ、めちゃくちゃ痛え!!)
そう思ったのも束の間
目を覚ました時には全てが終わっていました。
目を覚ますと、HCU(高度治療室)という手術後にしっかり様子を見る必要がある人が入る部屋にいました。
気管挿管の影響でめちゃくちゃ喉が痛く、口の中もカラカラで声も出なかったのを覚えています。
術後はすぐに水が飲めないので、看護師さんに口の中を脱脂面で濡らしてもらいました。
本当に全く記憶は無く、気づいたらここにいたって感じです。
どのぐらい時間が経ったのか、目覚めた時の時間も正直覚えていません。
実際に手術時間は6時間程度で目覚めたのは21時ごろだったようです。
この6時間の間に、腫瘍の一部を取ってくる手術と脳の底に穴を開ける手術が行われました。
やや難航したようですが、手術は無事成功したようです。
部屋には父と母、主治医がいて僕が目覚めるのを待っていました。
父と母は手術が無事に終わった事、目覚めた事をとても喜んでいました。
とりあえず頭だけは元気だったので、彼女や身近な人に手術が終わった旨の連絡をしました。
目が覚めたらものすごくトイレに行きたい感覚に襲われました。
私「起きました。めちゃくちゃ腹が減りました。」
「あと、ものすごくトイレに行きたいので行ってもいいですか?」
医師「おっ、起きましたか。」
「トイレは行かなくても大丈夫ですよ。」
「食事は明日から再開しておきますね。」
私「?」
そして、一つの異変に気づきます。
尿道にカテーテル(管)が入っていました。
膀胱の中で風船が膨らんで抜けないようになっているので、すごくトイレに行きたい違和感があるわけです。
これは、麻酔薬の影響で尿が出にくくなったりするのを防ぐ目的、尿の量を正確に測るため等の目的があるようです。
これが慣れるまでは体を動かすたびにめちゃくちゃ痛い...
寝てる間に何があったんねん...
しかも喉めちゃくちゃ痛いし...
とは思いましたが仕方ない事です。
その後、担当看護師さん男女2人組が来て全身を濡れタオルで拭いたり、ベッドの上で頭を洗ったりしてくれました。
ベッド上で頭を洗えるってびっくりですよね。
普通にお湯を使ってしっかりシャンプーしてもらいました。
手術後なので、もちろん体を起こすのすら禁止なので座ることもできず。
つい昨日まで、普通に歩いたりしてたのに何一つ身の回りのことが自分で出来なくなりました。
ついにここまで来てしまったかという感じでしたね。
ここまで何できない人になるとは。
手術を無事乗り越え、頭に穴を開けたにも関わらず普通に会話もできている状態だったので
誰もがもう大丈夫だと思った事でしょう。
この後、とんでもない悲劇が待ち受けていようとは夢にも思いませんでした。
次回、「髄膜炎」
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