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医療的ケア児とは?課題や制度について


医療的ケア児の定義とは?

医療的ケア児とは、「人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児」の総称で、「医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、 たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと」という文言が定義とし、医療的ケアや支援を受けながら日常生活を送っています。

恒常的なケアが必要な児童や家族への支援法として、2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(医療的ケア児支援法)が制定され施行が始まっています。

医療的ケア児の数と割合

厚生労働省は、出生率は低下しているにもかかわらず、医療的ケア児の数は全国的に増加傾向にあるとの見解を示しており、平成30年に約2万人の医療的ケア児が確認され、13年間で約2倍と急激に増加していることがわかります。
特に0歳~4歳までの増加が顕著に現れ、人工呼吸器の管理が必要な児童も乳幼児が最も多かったとの調査結果が出ています。

医療的ケア児に関する課題

医療的ケア児の増加を受けて、政府は法整備や支援体制の強化に努めていますが、支援法も施行されて間もないことから課題や問題点も散見されます。また、医療的ケア児の存在は認知されつつあるものの、高齢者支援と比較すると体制が脆弱な部分も多いです。

(1)働きたくて出かけたくても預け先がない

在宅生活が基本となっている医療的ケア児の最大の課題は、預け先が少ないことと、看護師不足にあります。

施設側の看護師不足
施設側が医療的ケア児を受け入れられない原因として、看護師不足が挙げられます。医療ケアが必須であり、医療行為は医師や看護師にしか行うことができません。全国的に看護師が不足しており、医療依存度の高い医療的ケア児は断られてしまうことも多いとか。

レスパイト入院の難しさ
レスパイト入院とは、介護者の休息や一時的な外出などの目的で、病院に一時的に入院できる制度です。レスパイト入院を受け入れている病院には限りがあり、退院してもすぐに次の予約で埋まってしまうため、計画的に利用することが難しいです。また、リフレッシュや休息ではなく、検査やカニューレ交換などの名目でしか入院できない病院もあります。

(2)相談できる場所が少ない

医療ケア児等コーディネーターや社会福祉士に相談できますが、福祉の専門家であるため高度医療ケアには精通していない場合も。かかりつけ医や病棟の看護師へ相談しようにも、退院後に長く話すことは難しい現状があります。

医療的ケア児の支援制度について

医療的ケア児支援法では、主に下記の点が大きく変わりました。

● 支援措置すなわち「努力義務」から「責務」になった
● 医療的ケア児支援のための予算が配分される
● 看護師や保健師など医療ケアを実施できる人員の拡充
● 各都道府県に医療ケア児支援センターの設置
● 小児慢性特定疾病の医療費助成の疾病数を拡大
● 救急時に素早く対応できるよう医療的ケア児等医療情報共有サービスの運用

特に表現が「責務」とより強い言葉になったことで、今後も停滞していた支援制度が見直される可能性があります。

まとめ

医療的ケア児を持つさまざまな保護者の声もあり、医療的ケア児への認知は広がりつつあります。支援法の施行に伴い改善された部分も多い反面、まだまだ解決すべき課題も残存しています。より多くの医療的ケア児や、そのご家族を支えられる環境を、社会全体で考えながら整えていかなければなりません。
Soi Nurse(ソイナース)では、お子さま本人はもちろん、医療的ケア児を抱えるご家族も継続的にサポートできる体制を整えています。
少しでも気になった方は、お気軽にご相談ください。

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