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優れた起業家が実践する5つの原則:エフェクチュエーション

今回のnoteは、以下の本を2000文字(約5分で読める)に要約したものです。

エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」

また著者の吉田さんは、以下の二つの動画で、エフェクチュエーションについて解説されています。

前半の動画

後半の動画


エフェクチュエーションの5つの原則

エフェクチュエーションの論理は、5つの特徴的なヒューリスティック(経験則)に落とし込まれています。それぞれの原則を詳しく見ていきましょう。

1. 手中の鳥の原則(Bird in Hand Principle)

手持ちの手段から始める

起業家は、まず自分が現在持っているリソースから始めます。具体的には、「自分は誰か」(アイデンティティ)、「何を知っているか」(知識や経験)、「誰を知っているか」(人脈)の3つです。これらの手段を活用して、今何ができるかを考え、行動に移します。

このアプローチは、自分が持っていないリソースを追い求めるのではなく、現在の手持ちのカードを最大限に活用することを意味します。例えば、新しい市場のトレンドに飛びつくのではなく、自分の強みやネットワークを基にビジネスを構築していきます。

2. 許容可能な損失の原則(Affordable Loss Principle)

失敗しても許容できる範囲で行動する

起業家は、新しい行動を起こす際に、成功の可能性よりも失敗した場合の損失が自分にとって許容できるかどうかを重視します。これは、期待利益の最大化を目指すのではなく、最悪のシナリオを想定し、その損失が自分にとって受け入れられる範囲であれば行動に移すという考え方です。

このアプローチにより、大きなリスクを避けつつ、新しい挑戦を継続的に行うことができます。

3. レモネードの原則(Lemonade Principle)

予期せぬ出来事をチャンスに変える

起業家は、予期せぬ出来事やネガティブな結果が起きた場合でも、それを新たなチャンスとして活用します。失敗や想定外の事態を避けるのではなく、それらから学び、次の行動に繋げていきます。

「人生が酸っぱいレモンを与えたら、レモネードを作れ」という格言の通り、逆境を乗り越えるだけでなく、それを活用して新たな価値を創造します。

4. クレイジーキルトの原則(Crazy Quilt Principle)

パートナーシップを構築する

起業家は、自分の手持ちの手段を他者と組み合わせることで、新たな機会を生み出します。ここでのパートナーとは、顧客、サプライヤー、協力者など、何らかの形でコミットメントを提供してくれる人々を指します。

クレイジーキルトとは、様々な布切れを縫い合わせて一つのキルトを作る手法です。起業家は、異なるリソースやアイデアを持つ人々と協力し、当初は想像もしなかった新しい価値を創り出します。

5. パイロットの原則(Pilot-in-the-Plane Principle)

未来は自分たちで創り出す

エフェクチュエーションの集大成とも言えるこの原則では、起業家は自分たちがコントロール可能な要素に集中し、未来を創り出すという考え方を持ちます。予測に頼るのではなく、自分たちの行動によって結果を導き出すのです。

飛行機のパイロットが操縦桿を握り、状況に応じて飛行機をコントロールするように、起業家も変化する環境の中で自らの行動によって道を切り開いていきます。


エフェクチュエーションの実践とその効果

これら5つの原則は、起業家が不確実性の高い状況でどのように意思決定を行い、行動を起こしているかを示しています。

  • 手持ちの手段から始めることで、すぐに行動を起こし、小さな成功体験を積み重ねます。

  • 許容可能な損失を設定することで、大きな失敗を避けつつ、新しい挑戦を継続できます。

  • 予期せぬ出来事をチャンスに変えることで、環境の変化を柔軟に活用します。

  • パートナーシップを構築することで、自分たちだけでは得られないリソースやアイデアを取り入れ、事業を拡大します。

  • 未来を自分たちで創り出すという姿勢で、予測不能な環境でも積極的に行動します。

これらのプロセスを繰り返し、起業家は不確実な未来に対しても柔軟かつ力強く進んでいくのです。


エフェクチュエーションは起業家だけのものではない

エフェクチュエーションの考え方は、起業家だけでなく、大企業で新規事業に取り組む人々や、組織の中で新しい挑戦をする全ての人々にとって有益です。

例えば、新規事業の担当者が市場の予測に頼りすぎず、自分たちの強みを活かして行動を起こすことで、より現実的かつ効果的な結果を得ることができます。


まとめ

エフェクチュエーションは、高い不確実性の中で成果を上げるための実践的な思考法です。その5つの原則を理解し、日々の行動に取り入れることで、起業家精神を持った行動が可能になります。

不確実な未来を前に立ち止まるのではなく、手持ちの手段でまず一歩を踏み出し、予期せぬ出来事もチャンスに変えていきましょう。そして、周囲の人々と協力しながら、自分たちで未来を創り出していく。このプロセスこそが、エフェクチュエーションの本質と言えるでしょう。


参考文献

  • 『エフェクチュエーション—優れた起業家が実践する5つの原則』神戸大学大学院経営学研究科 吉田満梨 教授

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