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§5 陰旋法の練習            お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

第5回 陰旋法の練習

前回の「ミ・ファ・ラ・ファ・ミ」は平調子の「五 六 七 六 五」の音でした。普段のお稽古では「五」の音の高さは「壱越=D」に調絃することが多いかもしれません。しかし、唯是震一先生の「神仙調舞曲」は曲名の通り「五」を「神仙=C」に合わせて平調子を作りますから「五」の音の高さに関わらず平調子が調絃できることはお分かりですね。尺八と合奏する際には「六段」の調絃をさらに低い音にすることもご存じでしょう。一般的には低調子と言いますが「五」を「双調=G」に合わせた平調子にします。「五段砧」の本手が同じ双調の低調子ですね。有名な「春の海」は六と斗が半音高くなっていますが、基本的には「五」を「黄鐘=A」に合わせた平調子がもとになっています。

このように、お箏を弾いている皆さんは陰旋法の最初の音をさまざまにとって平調子を調絃しているはずです。チューナーに頼りきりで、平調子の音を理解しないまま調絃すると、毎回チューナーでどの音に合わせれば良いのかわからず四苦八苦する方がいらっしゃるかもしれません。

まずは陰旋法の音を自在に使いこなせるようになることが理想です。陰旋法の音について少しだけ深く理解し、お箏を弾く私たちが日本音階を知ることが目標ですが、理論より前に、まず説明に出てくる音を感覚的に思い浮かべることができるようになると良いですね。陰旋法の五つの音を自在に歌える、頭に思い浮かべられるように練習を積みましょう。

今回は平調子の「五 七 八」の三つの音を歌います。「五 七 八 七 五」と弾いた時の音の響きを思い出してください。「六」を飛び越えるので前回よりもさらに難しいかもしれません。「階名」で「ミ・ラ・シ・ラ・ミ」と歌ってください。

「五」と「七」のふたつの音は平調子では「一」と「二」の音としても使われていますからとても重要です。「一」と「二」は「掻き手」で演奏する「シャン」の音で多用しますね。お箏の音楽ではとても重要な響きです。ぜひ何度も練習して「五 七 八 七 五」の音を「ミ・ラ・シ・ラ・ミ」と思い浮かべることができるようになりましょう。


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