添付文書ってなに?
前回は医療用医薬品の添付文書の調べ方について説明しました。今回は、添付文書とはどんな文書であるのか、具体的にはどんなことが書いてあるのかについて説明します。
まず添付文書がどんなものかについて。
「医療用医薬品の電子化された添付文書の記載要領について(薬生発0611第1号令和3年6月11日)」には、以下のように書かれています。
つまり、医薬品を使用する患者が安全に使用できるように、医療従事者に対して必要な情報を提供する文書です。医療従事者向けの文書で患者向けの文書ではないため、専門用語も多く一般の方にとって読みやすい文書ではないと思いますが、どんな医薬品の添付文書でも構成は決まっています。そのため、ご自身が知りたい情報がどのセクションに書かれているかを把握しておけば、比較的機械的に調べることができると思います。
2024年1月25日現在、添付文書の構成は以下のように決まっています(今後変わる可能性はあります)。
医薬品を使用するにあたり、何を事前に知っておきたいかは個人の判断基準があると思いますので、私からどれをチェックするべきとは申しませんが、安全に使用いただくためにまず冒頭にある「1. 警告」(記載がない医薬品もあります)、「2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)」は確認していただくのが良いと思います。そして、そもそもどんな効果が期待されるものなのかを知るために「4. 効能又は効果」、正しく使っていただくために「6. 用法及び用量」は押さえておくのが良いのではないかと思います。
これまでにどんな副作用が報告されているのかを知りたければ「11. 副作用」を見てみると良いと思います。過去にどれくらいの頻度でどんな副作用が報告されているか、記載されています。ここで一点ご留意いただきたいのは、本項に記載されている副作用の頻度はあくまで過去の報告に基づいた数値であって、ご自身に特定の副作用が起きる確率ではないということです。例えば「1~5%の頻度で食欲不振が報告された」と書いてあったとして、「あなたがこの薬を使用した時に食欲不振が起こる確率は1~5%」という意味ではありません。使用するあなたにどんな副作用が起こりうるかは誰にもわかりません。そのような過去の成績をもつ薬である、という事実が書かれているだけです。その事実をもって、その薬を使いたいと思うかどうかはご自身の判断によるものと思います。
今回は医療用医薬品の情報として最も基本的な文書である、添付文書の内容について紹介しました。医薬品の情報収集、そしてそれに基づく医療の選択にお役立ていただけましたら幸いです。
さて、これまで全体的に硬い文章で書いてきましたが、次回以降はもう少しゆるっとした文章も書いていきたいと思います。書いている自分自身が緊張で疲れてきたので(笑)。これまで医薬品業界で働いてきて良かったなと思うこと、自分が日頃考えていることなども共有できたらなと考えています。また、もし質問などあれば可能な範囲でお答えしたいと考えていますので、何かございましたら気軽にコメント欄にご記入ください。
それでは、本日も長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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