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魔女会とヴァルプルギスの夜[原神]

今回は魔女会のちょっとした話題になります。
現時点で分かっていることを、私なりの解釈も含めて紹介しますので、楽しんで読んでいただけたら幸いです。

魔女会のモチーフについて

原神英語版の魔女会はドイツ語でHexenzirkelと記載されています。
このことから、魔女会はヴァルプルギスの夜をモチーフとしている可能性があります。

ヴァルプルギスの夜とは?
ドイツの民間伝承。五月祭(5月1日)の前夜のことを表す。この夜、魔女たちの集会(サバト)がハルツ山地の最高峰ブロッケン山で開かれ、ゲルマンの最高神「ヴォータン」(=北欧神話のオーディン)に様々な供物を捧げて春を迎えようとしていた。
特にゲーテ《ファウスト》における描写で有名。

トリビア
英語の水曜日Wednesdayの由来は「Woden's day」で、ヴォーダンやオーディンの日という意味があった。

Hexenzirkel(魔女会)は、
Hexen(魔女)+zirkel (輪、集まり)というドイツ語です。

Hexenzirkel は歴史的にはCoven(ラテン語から派生した「魔女の集まり」)と呼ばれることの方が多いです。Covenは誓約、もしくは会議を意味する言葉です。

アリスは魔女会PVでこう言っていました。
「この"誓い"を見届けるのは茶葉と美味しいケーキのみ。」

魔女会でドイツ語の名前を付けられているのは、ドイツ人ゲーテによるかなり有名な著書「ファウスト」をモチーフの一つとして使っているからという理由もあると思います。

第一部にもワルプルギスの夜という話がありますが、恐らくファウスト第二部の、古代ワルプルギスの夜の方をモチーフにしたっぽい。

モナの特殊レシピ・Der Weisheit Letzter Schluss(知恵の最終結論)はファウストからの引用です。

ゲーテのファウストによれば、
ドイツのブロッケン山でヴァルプルギスの夜に、魔女の宴が開催されます。

ヴァルプルギス Walpurgisnachtは、フランク王国の偉人・聖ワルプルガという人物由来の名前です。

ヴァルプルギスの夜は、
北欧神話の天空の神ヴォータン(オーディン)が、逆さ吊りになりルーン文字を得たことを祝い、魔女達がブロッケン山に集まったのが発祥と言われています。

このヴォータンが逆さ吊りになった話は白き枝のモチーフストーリーにもなっています。

日本語版では符文を記して言霊を操る知性を獲得し…と書かれていますが、英語版では符文はルーンと訳されています。

オーディンは独眼の神で、ルーン文字はアビスがよく使っています。アビスと、カーンルイアと魔女会は以前からかなり繋がりがありそうな伏線が出ていました。

螺旋と魔女会

魔女会のPVをみると、魔女は風神像の手の先にある地域からモンドを見つめています。
この方角には古代文明の地下古都だった螺旋が存在します。

ちなみにモンドの風神像が向く方向は微妙に螺旋の方向では無いといわれていますが、
誓いの岬には螺旋に続くワープがあるので、どっちにしろ行き着く先は螺旋だったりします。

Ver1.1イベントの帰らぬ熄星では、かつてとんがり帽子山と呼ばれた山が、モンドの大陸にあったと明かされていました。

イベント内のストーリーで、そのとんがり帽子山はウェンティによって吹き飛ばされ、今の螺旋のような位置まで移動したと言われています。

ジン団長の執務室に螺旋がまだ大陸の近くにあった時の地図が残っています。

ということは、
大陸と繋がってたとんがり帽子山
→1度飛ばされて大陸から分化し島となった(上の地図の位置 )
→さらに遠くの海にとばされた(今の螺旋の位置)
の三段回あったということだと思います。

モンドにはなぜか四風のうち、東風だけ神殿がありません。私は、ウェンティが西からの風でとんがり帽子山を吹き飛ばしたからじゃないかと思っています。

トワリンが東風扱いになったのは、ちょうどウェンティが螺旋を吹っ飛ばした後の2000年前くらいなので、時期的に東風が最初は違った可能性があります。

ウェンティはモンドの地形を変えたことがあります。千風の離島も恐らく同時期に飛ばされた?

モンドの地図は緑の色が濃いほど土地が低くなっているのですが、風立ちの地、鷹飛びの浜は他の土地より低くなっているので、風で抉られたのではないでしょうか。

また面白い話ですが、カーンルイアの語源をアラビア系の「裏切りの風」とする説があります。
螺旋とカーンルイアがどこまで繋がるかは不明ですが、繋がっていたら面白いですね。

話を戻しますが、現在の螺旋、つまり昔のとんがり帽子山は、英語版ではpilos peakといいます。
pilosとは古代ローマで自由の象徴だった帽子のことです。この帽子は神聖ローマ帝国などでも使われていました。

さらに言うと、魔女の帽子はとんがり帽子です。
魔女の帽子の原型はPhrygian capという自由の象徴の帽子であり、それを古代ローマではpilos(pileus)といいます。

本来はブロッケン山で魔女会を開くのですが、原神ではとんがり帽子山がその役割を担っているのかも。

魔女会メンバー

アリスは淵下宮、レインドットはカーンルイアというように、深淵に所属する集団だった可能性が高いです。

淵下宮はギリシャ、カーンルイアは神聖ローマ帝国(ドイツ)や北欧神話モチーフという伏線があります。
魔女会もそこにつながる組織だったのではないでしょうか。

名前が判明しているキャラクターのモチーフを考えます。
魔女会・コードA「アリス」
魔女会・コードR「レインドット」
魔女会・コードB「バーべロス」
魔女会・コードJ「I・イヴァノヴナ・N」
魔女会・コードM「アンデシュドッテル」
魔女会・コードN「ニコ・リヤン」

アリス

淵下宮では有栖-Eris(頭文字が大文字なのでギリシャ神話の不和の女神)として書籍に登場しています。

クレー(エルフ)の母親。
モンドとカーンルイアは「ニーベルングの指環」をモチーフストーリーとしており、そこにおいてエルフは深淵に属しています。

バーベロスとライバル関係だったようです。
かなり長いこと生きているようで、テイワットの原始の時代を知っているような記載が多いです。

レインドット

カーンルイアの「黄金」と呼ばれた錬金術師です。

ドイツのワーグナーが作った北欧神話オペラ「ニーベルングの指環」に登場するラインドット(ラインの乙女)から名付けられています。

アルベドを作った人です。アルベドをどうやって作ったかの考察は🔗別の考察ノートにまとめています。ちなみに先述したファウストには、ホムンクルスも登場するんですよ。

バーベロス(アストロマンサー・バーべロス・トリスメギストス)

モナのセリフ
「メギストスは私やおばばが姓の代わりに使っていますが、一般的には「偉大なる」という意味で解釈されています。
「私の名前の意味は「偉大なる占星術師モナ」ですが、おばばの名前はそうですね…直訳すると、「三倍偉大なる星学者」といったところでしょうか。まあ、占星術師特有の称号だと思ってください」

「バーべロス」は英語ではBarbelothと書きます。
バルベーロー(Barbelo)が由来だと思います。
バルベーローはグノーシス主義の宇宙進化論に関係する言葉・神の鏡像ともいわれるものです。

モナが水占いをするように、バーベロスも水に星空をうつすシーンが出てきている。水占=鏡像?

ちなみにlothという綴りはキリスト教側から悪魔や嫌悪される者につけられることが多いです。

アストロマンサーAstromancerは占星術師という意味。
トリスメギストスは、ヘルメス・トリスメギストス(3倍偉大なヘルメス)という錬金術師がモチーフの名前です。

トリビア
なぜ3倍偉大かと言うとヘルメスが錬金術・占星術・神働術の3つの分野に長けていたから。

I・イヴァノヴナ・N

コードJ「I・イヴァノヴナ・N」
イヴァノヴナはロシア語イワンの娘という意味の名前。

イワンはギリシャ語由来で、新約聖書(キリスト教)の聖人ヨハネを意味します。

あまりまだ情報がないキャラです。

アンデシュドッテル

イノシシプリンセスの作者で、英語名Andersdotter。

世界的に有名な童話作家アンデルセンの名前がander(ギリシャ語アンドロス)のsen(息子)なので、

息子をdotter(古北欧語の「娘」)に変えた名前だと思います。アンデルセンモチーフです。
既に亡くなっているそう。

これは考察ですが、恐らく予言書のような「童話」を書く人だったのではないかと思います。

原神にはすでにいくつか🔗アンデルセンに関係する物語が出ています。

ニコ

中国語のサイトだと、ギリシャ神話のニケという女神は、尼可とか妮可とか書かれていて、それを英語でNicoleと呼ぶのだと紹介されています。

原神のニコは英語がNicoleで、中国語版が尼可。
実際、現実世界でも見かけるNicoleという名前はギリシャの女神ニケ由来です。

ニコ・リヤンは英語だとNicole Reeyn。
Reeynはなかなか無い名前で、恐らくモチーフ元を改変した原神オリジナルネームだと思われます。

Reeynが中国語版だと莱恩(Lái'ēn)、
日本語版だとリヤン、韓国語版では라인(ラインRain)であることから推測すると、
中国語で莱恩と書くライアンRyanと何かをくっ付けた名前かも知れません。

でもモチーフ的に他の要素と繋がってないのでまだまだ検討中です。

魔神任務では、旅人を導く役割を果たしました。

私はニコが仙霊に似ていることが気になります。

ローディング画面で表示される仙霊の説明文
『伝説によると、はるか昔、彼らは人類を導く偉大な種族であった。』

迷える旅人を導かずにはいられない存在。
そして、呪いを受けた太古の存在…それが仙霊です。

人を導くのは、ニコにとって手放すことのできない甘美なもの
方向感覚に優れていて、道に迷っている人を導くのが好き

また、ニコはディルックの家でも使われている特徴的なティーカップを使っています。このことから、ディルックの家系と何らかの関係性があるのではないか?と疑われています。

個人的にラグヴィンド家は、
ギリシャ神話・ローマ神話系の「梟」の家系と、北欧神話系の「鷹と鷲」の家系を合わせたという歴史を持つ〈🔗赤い鷹の一族〉だと思っているので、そこと話が繋がるのではないかと予想しています。

※今回の話はXにて先行公開していたものを、再編(加筆修正)しました。普段モチーフ考察はXにて投稿していますが、これからnoteにもまとめていこうと思います。(Hanaの🔗Xアカウント)

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