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Vimeoおすすめ映像作品/ 純粋なる攻撃性を備えたMV

Justice "Stress"(2010年公開)
DIRECTED BY ROMAIN-GAVRAS
PRODUCED BY 75

フランスのエレクトロユニットJusticeのアルバムCrossよりMV(ミュージックビデオ)化された楽曲であります。

Stress”MV;ストーリー
JusticeのアルバムCrossで使用された十字架のロゴを背にプリントされた黒いジャケットを着た少年4名が、都会の街中や地下鉄のホーム等で、理不尽に理由もなく突然、通行人を片っ端から暴行、傷害、壁や路駐され車にペイントスプレーで噴射など無差別に行為を繰り返す。
 警察に追い詰められた彼らは、駐車されていた車を強奪し逃走。
逃げた先で、車のフロントガラスを割り、火炎瓶を投げ入れ炎上。

鑑賞後レビュー
率直な意見として、このMVを観ていると、とても煽り立てられてるように感じたし、ある種、興奮を覚えたのは確かでした。

もちろん平和で穏やかな作品ではないし、フェイクドキュメントな演出であっても、多くの人々は不良少年たちの行動に不快を覚えるでしょうし、中には許せない気持ちになる方もいるでしょう。 それは、楽曲名"STRESS"となってるごとく観客にプレッシャーを与え、"ストレス"を感じさせています。

想起した映画
彼ら少年たちの行動の動機はどこからくるのか。それは、低所得(層)/移民ゆえの差別や不当な扱いによって、社会全体に対する不満が溜まり爆発した形と想像する事は易しい流れではあります。

映画"La haine/憎しみ"では、移民で低所得者の三人が、銃を手にし警察に突きつける... 人種差別にフォーカスした作品ではあるが、
彼ら(La haine)の怒りの源は、はっきりとしており、攻撃対象も警察と特定していて、無差別な犯行は起こしません。 

La haineとStressは似通った全体像ではあるけれど、相違する点が多々あります。

また、全体像としてはあまり共通しているようには見えないが、本作"Stress"とスタンリー・キューブリック監督"時計仕掛けのオレンジ"は、内容的にとても共通点が多くあります。

モンマルトルの丘やサクレ・クール寺院前や地下鉄のホームを無差別に通行人らを暴行等しながら闊歩するシーンは、主人公たちの不良グループ"ドルーグ"と似通っています。
 少人数、統一した色の服装、(ウルトラバイオレンス)無差別な暴力行為等。

無軌道に若者が暴力する。彼らにとって暴力の対象が重要ではなく暴力行為そのものが、目的であり、結果や経緯に意味や価値を置いていない点があります。

ドルーグはその行為や生き方そのものを"芸術"として昇華させようでしたが、

Stressの少年たちは、芸術という解釈を持ち込まず、純粋な(原始的)行為として行っていたようでした。

日本映画でいうと、黒沢清監督"アカルイミライ"の不良高校生たちを思い起こします。
 アカルイミライの高校生たちは、学生服の黒スラックス、同じゲバラのTシャツに白シャツと完全に統一はされていないが、ゆるくユニフォーム化しています。 

 この高校生たちは、同じ服装を着て、東京/表参道をつるみ闊歩します。

リテラシーを持って
 Stressの少年たちの無差別な暴力やハラスメントは、通行人や観客から、警察、そして、最終的に彼らを映すカメラを壊し、映像は消え終わります。

 つまり、安全圏から傍観し続けてきた我々/観客が攻撃対象になります。

 無差別に、少年たちは攻撃をしているようでありながら、社会の抱えた問題の原因を直接、潰して行っているようにもみえます。

 刺激が強い作品である故に、間違った影響を受け犯罪行為を実行するようなリテラシーがない方は、観ないことをおすすめします。

 背景や制作者の意図を想像できない/考えることが難しい方にとっては、単に不快で終わってしまうかもしれません。

 僕自身、芸術やアートというよりも本作は、映像による"直接行動"と捉えております。それによって社会を変える目的をもっての行動ではなく、"直接行動"すること(映像を公開)による意思表示とおもいます。

 単純な見方として、ストレスの楽曲として"wストレス"をセンセーショナルなカタチで、表現した問題作と捉えることは、容易です。
しかしながら、こちらが、正しいかもしれません。

最後まで、読んで頂きありがとうございました😊

softinhard 辻勝大









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