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大人気ドラマ「愛の不時着」を繰り返し見ていたら明らかなミスを発見した件。

きっかけは荻上チキさん

「愛の不時着」いいですよね。韓国ドラマ初体験なのにハマってしまい、繰り返し見ています。ネットフリックスのダウンロード機能はたいへん助かります。おかげで通勤の行き帰りにも、気に入った場面を何度もループすることができます。少なくとも3回は通しで見て、それ以上の回数を繰り返し見た場面もあります。

なぜこんなにハマってしまったのか?

この記事ではそれを自分なりに分析したいと思います。タイトルにある「ミス」については最後に触れます。すでに気づいている方もいると思いますが。

そもそもこのドラマの存在を知ったのは、荻上チキさんのラジオ番組「セッション22」でした。最近、荻上さんがハマっているドラマやゲームという冒頭のトークの中で紹介された一つが「愛の不時着」だったのです。3月くらいのことだったでしょうか。

それですぐに見たわけではなく、結局5月の連休明けまで手付かずのままでした。コロナ禍でいろんな予定が飛び、空いた時間でたまった本を読んだり、映画を見たり、YouTubeをあさったりするものの、やや暇を持て余し始めたタイミングで「見てみるか」という気持ちになったのです。

韓国ドラマはもっと年配の人が見るものというイメージがあり、未見だったのですが、先の荻上さんのレコメンドに加え、映画「パラサイト」が抜群に良かったので、重い腰を上げるに至ったのでした。

ところが、これが「沼」の始まり。「愛の不時着」のリピートは前述の通りですが、ネトフリやアマプラで見られる韓国ドラマや映画をあさり始めたのでした。まだ「愛の不時着」を超えるものには出会っていませんが……。

では、ここから自分なりにその魅力を備忘録的にまとめていきたいと思います。すでに多くの方が様々なかたちで語っていますので、なるべく重ならないように筆を進めていくつもりですが、どうなりますか。韓国ドラマ初心者の戯言と受け流してください。

ちなみに、「愛の不時着」関連で、一番面白かったのは下記の記事でした。書き手はプロのドラマ制作者の方のようです。最初に読んだときは言いたいことが全部書かれているなと思ったのですが、繰り返し見ているうちにまだ書きようはあるなと。さすが名作。

食い物が美味そう

出てくる食べ物がどれも美味しそうなのですが、そもそも食事シーンが多いのが特徴的なドラマです。というか、日本のドラマもそれほど多く見ているわけではないので、こう言い切っていいのか自信はないのですが、飲み食いのシーンが多い。リ・ジョンヒョク大尉からユン・セリへのアドバイスで「よく食べて…」というのがありましたが、「食べる」ことに重きを置く脚本家の方なのかもしれません。

ちなみに美味そうなのは北朝鮮パートで、韓国パートはそうでもありません。セリの家族の食事シーンはご馳走が並んでいるはずですが、まったく美味そうな印象はありません。それどころか料理の印象すらない。北朝鮮側でも、ソ・ダンさん親子とリ・ジョンヒョク大尉との食事シーンは似たようなものですが。 

だいたい時系列で並べると、リ・ジョンヒョク大尉がユン・セリのために自家製麺で作ったラーメン。野菜や錦糸卵が載って美味しそうでしたが、セリは口を付けず。1日2回肉を食べるというセリのために行われた豚肉のバーベキュー。豚肉は腐らないよう塩壺に保管されていました。リ・ジョンヒョクの婚約者宣言の後、村の奥様方が持ってきたチヂミ、ゆでたとうもろこし、栗のお酒。船渡しに失敗した翌朝にセリが食べるおこげ。一口ずつ砂糖につけていました。

そして、おそらく落胆したセリを元気づけるために振る舞われた貝のプルコギ。これが私のベスト料理です。

地面に並べた貝に油をかけて火をつけ、丸のまま豪快に焼き、そのまま食す。そして貝殻に焼酎を入れて飲む。普通のバーベキューは好きではないですが、これはやってみたい。そして翌朝、飲みすぎたセリのために、ジョンヒョクが豆を焙煎するところから始めて淹れたコーヒー。

奥様方がセリを励ますために催した「タラビー」(ビールと干しダラ)の会。平壌に向かう電車でのゆで卵。電車停電中の野宿の焚き火で焼いたとうもろこしとジャガイモ。平壌のホテルの甘いチキンの唐揚げとビール。ビクニック時のカニ鍋。ク・スンジュンとソ・ダンさんが食べるククス(うどん)。同じく二人が自宅で食べるインスタントラーメン……。

韓国編は、おそらくスポンサーであろうチキンのチェーン店とサブウェイばかり出てきて、ちょっと残念です。

中隊仲良し4人組、1人だけ不憫な人が

準主役級の中隊の4人組。ジョンヒョクと彼ら4人が小さなミスを重ねたせいで、セリを北朝鮮領内に招き入れてしまいます。

ジョンヒョクは地雷を踏んで動けなくなってセリを取り逃がし、ピョ・チスは勤務中にもかかわらず酒を飲み寝込んでしまい緊急無線に応じられず、キム・ジュモクは韓国ドラマ(天国の階段)をこっそり鑑賞中でやはり無線に気づかず、クム・ウンドンはお母さんからの手紙を読むのに夢中で、背後を駆け抜けるセリを取り逃がす、という具合です。

これらのミスを元にセリに脅迫(?)され、運命共同体のようになるわけですが(セリがこれらのミスを知ったのは、ピョ・チスが、セリが聞いているとも知らずにペラペラしゃべったせい)、一人、何も失敗していないのに巻き込まれた可哀想な隊員がいます。

そう。ハンサムで、韓国でも芸能事務所にスカウトされそうになったパク・グァンボムです。彼はセリの侵入に関して何もミスしていないばかりか、ジョンヒョクが踏んだ地雷の解体まで成功させます。にもかかわらず、この騒動に巻き込まれ、チョ・チョルガン少佐には拷問を受け、膝を撃たれ、皆とともに秘密裏に韓国に派遣され、帰国後にあわや消されそうになるなど散々な目に。

ただ、ジョンヒョク大尉の信頼は一番厚いようで、重要な局面では常に行動を共にしたり、運転手を務めたりしています。殺人トラックの謎を探りに行ったり、セリを空港に送ったり、チョ・チョルガンの裏をかいてセリを救出したジョンヒョクを迎えに行ったり、大活躍です。ジョンヒョクの隠密作戦を一人だけ知っているシーンもありました。

これは本来、4人の中で階級が一番上のピョ・チスの役割ではないかと思うのですが、常にやらかしてばかりいるので、そこまでの信頼は得られていないのでしょう。

ジュモクは韓国ドラマをこっそり見ていて、セリを見逃す、無線を聞きそびれるという失態を犯してはいますが、彼がドラマから得た知識によって、セリとのコミュニケーションが上手くいったり、ジョンヒョクらが難局を切り抜けたりすることもあるので、貢献度は高いと言えます。

一番感動的なシーンは?

涙腺が緩むシーンのオンパレードである本ドラマですが、個人的に推したいのはホン広報チーム長(太めのコミカルな人)の登場シーンです。

北朝鮮から帰国したセリがセリズ・チョイスに出社し、次兄の妻(悪い演技が上手い)が仕切る役員会に乗り込む直前、ホン広報チーム長と久しぶりに顔を合わせます。

彼は、セリの声を聞くだけで蕁麻疹が出るほど、彼女を恐れているのですが(暴君的なセリに苦労させられてきたため)、セリが行方不明になって以降、最も熱心に捜索していた一人でした。

恐れつつも、セリの能力には尊敬の念を抱いていたのでしょう。彼女を見た瞬間、呆気に取られつつも、顔がくしゃくしゃになり、手に持った書類とスマホを床に落とし、抱き着きます。セリのほうも満更ではない様子。

自分が勤め人のせいか、ここはグッと来ました。自分にセリのような上司がいるわけではまったくないのですが……。

極限状況では人の本質が露わになると言いますが、見た目は子豚ちゃんのようでも、頼りになる彼は非常に男前のキャラでした。

脚本のミス?

さて、タイトルにあげたミスとは何か?

些細なことではあるのですが、それが出てくるのは3話です。

宿泊検閲で、ジョンヒョク宅にいたセリが、チョ・チョルガン率いる保衛部に見つかってしまいます。平壌から猛スピードで車を飛ばして村にたどり着いたジョンヒョクは、「僕の婚約者に何をするんですが」と機転を利かせ、このピンチを乗り切ります(最初の大きな山場です。初めて見たときは、緊張で気を失いそうになりました)。

その直後、ジョンヒョクに婚約者がいることを知った、ジョンヒョク推しの村のご婦人方が、偵察がてら、差し入れを持って自宅にやってきます。その差し入れをつまみながら、ジョンヒョクとセリが向かい合って会話をしている場面。

そのシーンでセリが、「リ・ジョンヒョクシ」と呼び掛けているのです。

この時点では互いに名前は知らないはずです。このあとの船渡しで、別れが目前に迫った段階で、初めて互いに名乗り合うわけです(結局、船渡しは失敗し、セリは戻ってくる破目になるのですが……)。ですので、ここは順番的に明らかにおかしい……。

これ以前に、セリの前で誰かが「リ・ジョンヒョク」と呼びかけるシーンがないか探してみたのですが、基本的に「中隊長」と呼ばれており、名前で呼ばれる場面は見つけられませんでした。そもそも効果的な演出法として、別れの目前に名乗り合うというのが自然だと思いますので、やはりちょっとしたミスでしょうね……。

とはいえ、これで作品の魅力が損なわれるということはまったくなく、「自分はこんなことを発見したぞ」ということを書きなぐって、「愛の不時着」ファンの皆さんにマウントを取りたかっただけかもしれません(笑)。

他にも劇伴の素晴らしさや、ドラマの中の名言など触れたいことは多々あるのですが、いったんここで終わりにします。

それでは、ごきげんよう!

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