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       胃の病気

       いぬとねこが健康であるように・・note44

 先日、うちの子(ミックス犬♂10歳 6kg)がおう吐をしました。起床時におう吐した跡を発見し、その日一日中吐き戻しを繰り返しました。都合7~8回は黄色い、もしくは透明な胃液吐き続けました。
 この子としては初めての経験でしたので、本人もショックだったようで、かなりやつれたようになりました。その対処法については、後段で述べることにします。
 
 胃の病気は、私たち飼い主が一番身近に体験している病気ではないでしょうか。それ程よくある病気ですので、今回は「胃の病気」について考えてみましょう。
■胃の働き
 胃は食べたものを溜め込み(食物貯蔵)、その食べ物を塩酸とペプシン(タンパク質分解酵素)と混合して消化を行い、十二指腸へ送り出す役目をしています。

■消化液の分泌 
 食道と胃の境にある「噴門部」の細胞からは、胃壁が胃酸によって冒されないようにバリアとしての「粘液」が分泌されます。
 胃底部(胃の上部)の壁細胞からは「塩酸」と「ペプシン」が分泌されます。胃底部下部からは、セロトニン(胃の運動を促進するホルモン)が出され、十二指腸との境にある「幽門部」のG細胞からは「ガストリン(胃酸の分泌を促進させるホルモン)」が分泌されます。

■胃の病気の特徴
 吐き戻しにも二通りあって、「おう吐」と「吐出(とっしゅつ)」があります。
 おう吐は胃の中のものを吐くことを指し、吐出とは胃には至らず食道内のものを吐き出すことを指します。吐出は食道の病気、おう吐は胃の病気のときに起こります。
 吐出は食べて直ぐに吐き出しますが、おう吐は食べて直ぐに出ないで、多少中身が消化されているのも特徴です。
 また、その多くは胃の不快感を伴います。

■胃の病気の検査法
 胃の病気の診断には病歴、病状、飼育方法の聞き取り、そして触診をしてから、血液検査や尿検査を行います。更に詳しく調べるためには、X線検査、超音波検査、内視鏡検査などが行われます。

■胃の病気の種類
・急性胃炎
 急性の炎症は細菌、ウイルス、寄生虫、真菌によるものと新薬の摂取によるものがあります。新薬の例で顕著なのは、風邪をひいて解熱薬(アスピリン)が出されますが、胃をこわすので胃薬も一緒に処方されます。このように、胃を荒らすお薬が多数存在します。

・慢性胃炎
 慢性胃炎は症状はあるが、その原因が明らかではないものと定義されます。その症状は食欲不振、おう吐、体重減少、下痢などで、その持続期間が3週間を超えます。最近の研究ではヘリコバクター、ピロリ菌、細菌、食べ物アレルギーとも言われており、犬猫の場合にはアレルギーが一番多いようです。その為清浄な食事(クプレラ)に替えることで解決できることが多いものです。

  • 胃潰瘍
     胃潰瘍とは胃粘膜の壊死、欠損が重度になり、筋肉部分にまで壊死や血行障害が進行したものを潰瘍と言います。
     原因は粘膜に損傷を与える新薬の服用、ストレス、ショック、ステロイド剤の長期服用、香辛料などの刺激の強い食べ物の摂取、および腫瘍などが挙げられます。
     特にストレス時には、胃は普段の1/10くらいに強く収縮してしまいますので、胃運動ができずに消化不良を起こしたり、潰瘍に発展しやすくなります。
     症状としては胃の不快感、吐物に血液の混入、または便に潜血反応が見られることです。

・流出路の閉鎖
 胃は幽門で十二指腸とつながっていますが、そこが異物や粘膜の過形成、腫瘍などで塞がってしまう病気です。異物とは誤飲したものも含め、毛玉、鶏の骨、ゴムボール、昆布、スルメ、軍手等々・・です。症状は食欲不振と頻発するおう吐です。

・胃拡張や胃捻転
 大型犬~超大型犬に発生率が高い病気です。その原因は一日1回だけの食事と食後直ぐの運動です。一日1回だけの食事はどか食いにつながり、胃腸への負担が大変大きいのでやめましょう。

・腫瘍
 犬猫の胃の腫瘍は腺癌(悪性)、リンパ腫(悪性)、平滑筋腫(良性)、プラズマ細胞腫(良性)および線維肉腫(良性)です。
 発症率の比較では、イヌでは腺癌が65%、リンパ腫が20%です。ネコは逆転してリンパ腫が65%で、腺癌が31%です。

■家庭でできる対応と病院での治療
・食事の制限(絶食)
 胃の病気の初期は、まずはおう吐を抑えることです。おう吐はかなりの体力を使いますし、胃液体液を出しますから、脱水症状を起こします。
 そこで、絶食で24時間様子を見ます。
 症状が軽減したら、水分のみを与えます。その後胃酸の分泌、消化液の分泌を抑え、胃炎や潰瘍に悪影響を及ばさない「低脂肪低タンパク食(高炭水化物食)」を与えます。
 代表的なものとして「お粥」です。これが一番胃に優しい食べ物です=水分も同時に摂取できます。

・水分の補給
 おう吐が激しいときは「脱水症状」が現れ、腎臓に大きな障害となります。その為に水分の補給が必要になります。病院では「乳酸リンゲル液」の静脈注射や同時にカリウム、ブドウ糖の補給も行います。

・制吐剤(おう吐防止剤)
 病院での治療として、おう吐を抑えるために「セロトニン拮抗薬」「ドーパミン拮抗薬」「アドレナリン拮抗薬」を使用します。どれもが胃の運動を抑える薬です。
 第一選択は「セロトニン拮抗薬」となります。

・胃酸分泌抑制剤
 胃粘膜の保護と胃酸の分泌を抑える必要があるので、病院では「H2ブロック薬」を使用します。これの第一選択薬は「スクラルファート」です。
 また胃壁の壊死の保護のために、胃粘液の分泌を促進する必要があり、レセプター拮抗薬として「メシチジン」「ラニチジン」「ファモテジン」が使用されます。

・胃運動の促進剤
 胃の内容物の排出を促進するさせる薬剤として、「ドンペリドン」がよく使用されます。

■胃の病気のサプリメントでの対応
 病院の新薬ではなくサプリメントでの対応も十分に可能です。
消化酵素の補給に C&R「ベジタブルエンザイム
ストレスから来る不調に アズミラ「レモンスーサー
胃の不快感の改善に アズミラ「ユッカインテンシブ」C&R「ユッカ&アニス
胃酸分泌の抑制に アズミラ「カルシウムウィズボロン
胃の運動改善に アズミラ「Bコンプレックス50」C&R「ビタミンBコンプレックス

 私たち飼い主が出くわす胃の病気のほとんどは「急性の胃炎」です。明け方や空腹時の「おう吐」ではないでしょうか。
 おう吐とは、犬猫が本能的にもっている免疫の一つで、「身体に悪いものは吐き出して身を守る」という本能としてもっている自然な行為です。
 ですから、「吐いたからさあ大変!」と慌てないでください。犬猫はよく吐き戻す動物ですから、慌てず騒がず、先ほど書きましたように24時間の絶食をまずはやってみてください。絶食やお粥さんだけでも効果は十分です。
 その後ゆっくりと復帰食(お粥やふやかしてドロドロにしたドライフード・缶詰など)を与えていけば、病院に行く前に治ってしまうことがほとんどです。
 よくあるのは、吐き戻したので食べさせなければと、直ぐに食事を与える飼い主さんが一番まずいです。一旦胃を十分に休ませることです。
 その際に食事に消化酵素(C&Rベジタブルエンザイム)を足してあげれば、尚更よろしいかと思います。

さて、うちの子ですが上述したような対応をしてみました。食べる気も無くしておりましたので、食事は丸一日与えませんでした。その後はクプレラの『レティック総合栄養食=レティックチキンエクストリーム』が役立ちました。このレティックは総合栄養食の半生タイプの副食でして、嗜好性も高いので与えやすかったです。
 そして、クプレラドッグフードを少量から少しずつ増やしていき、1~2日で回復しました。本人も生まれてこの方病気らしい病気は初めての経験でしたので、ショックはあったようです。 

 私も久しぶりの病気対応でした。しかし何よりこの子のやつれた姿を見て、大切さを思い知りました。病気知らず、日々安穏はそれはそれでとても幸せなことでしたが、いざ病気になってみて、この子の存在の大きさを改めて思い知りました。
 軽度な病気でしたが、私にとってはこの子の存在がまた一つ大きくなった出来事でありました

いぬとねこの健康食品の店ソフィア 池田


最後まで、お読み頂きありがとうございました。少しずつですが、継続して載せていきますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。