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暦シリーズ 蘭月

暦シリーズも早くも4色目となりました。
7月は蘭月です。

まるで4月も5月も6月も記事があったような書き出しですが、
そうですね、ネイルを語るnoteは本当に久しぶりです。

暦という旧暦の名称をネイルカラーに充て
色づくりをするというシリーズ、本当に頭を悩ませています。
そう、本当に悩ませています。
なぜこのシリーズを始めてしまったのだろうという気持ちです。

でも悩んだ分、(私の)満足度は高いシリーズと仕上がっています。

さて、7月の蘭月の制作秘話。(秘話?)
当初7月のカラーの名称は七夜月という名づけでした。

七夜月。
その名の通り七月の夜空をイメージしようか。
夜空をテーマにするならいつかしてみたいと思っていた黒にしよう。
以前バツマルくんでシアーなquartzシリーズで作ったけれど、
今度はパール感とマルチラメがカッコいい黒はどうだろう。

調色頂き届いたサンプルはイメージ通り。
1度で決まるくらい理想通りに仕上げていただいた。
テーマ通りばっちりかっこいい。
これで決まりでOK!

となるはずでしたが、

しかしかっこよすぎる。
誰が・・誰が塗るんだろう。
気に入ってくださる方もいるだろうけど、
実は私も、恐らくそんなに塗る機会はない気がしてならない。
テーマ通りに色をつくる、という点に振りすぎている。
もちろん素敵な色ではある。
でもこの迷いは見逃してはいけない気がする。
ここは一旦、立ち止まることにした。

テーマ通りに色づくりをすることは、
正直言って私は楽しい。
でも楽しいの先に、果たして道は続くのだろうか。
作って満足、と終わらないだろうか。
送り出した後のこの色の行く末が、今のままでは見えない。

迷いがあるまま、送り出すことは勿論できない。
今は温めて、納得のいくブラッシュアップをさせよう。

そのような事情でこのカッコいいカラーは
一旦温存ということになりました。


そして蘭月というテーマ。

七月の異名を色々と調べたとき、その潔い名称に惹かれた。

蘭をテーマに一番初めに浮かんだカラーは白。
いえ、この夏は白がいくつか出るんですよ。
前々から決まっているんですよ。
そして白を作り上げるのはとても時間がかかる。
白は難しい。
テーマを変えることを土壇場で決めてから、納期まで非常にタイト。
とても仕上げる自信はない。

調べると蘭は意外とカラーのバリエーションが多い。
さて、白の次に浮かぶ色はパープル、紫系。

ネイルエスは既に紫が盛りだくさん。
でもまだしてみたい紫はきっとまだあるはず。
ここを掘り下げてみよう。

蘭月の紫はどんな紫だろう。
蘭のイメージは高貴で優雅。
実際、お花を贈り物とするときに最上級のポジションにいると感じる。

高貴で優雅であるという部分をどのように捉えようか。

高貴という点、ここは潔い・孤高・それでいて華やかであるというキーワードを挙げた。
潔く孤高。
ラメは一色にしよう。
華やかに、赤ラメ一色にしよう。

ベースの紫。
優雅な紫とはどのようなカラーだろう。
高嶺の花、近づきがたいというイメージも浮かんだけれど、
落ち着いた美という方向にとらえては如何か。
また、蘭月という響きを
可愛い言葉だな、と感じた気持ちも取り入れたい。

ミルキーな柔らか紫はどうだろう。
以前調色のサンプルの一つとしてストックをしていた色が近い。

柔らかな可愛らしさを感じるベース色と
孤高に華やかというワードを組み合わせ、
蘭月という色が出来上がりました。

この真逆に思えるイメージが合わさることで、
不思議と高貴で優雅が指先で表現されていることにとても満足しています。
指に載せやすい落ち着いたベースカラー、
白みも指から浮かないラインを大切に。
そして重ねるほどに少しずつ浮き上がる暖色ラメ。

蘭というワードひとつとっても
元々持っていたイメージ、
その時に感じた気持ち、
捉え方に角度を変えてみること、
様々な方向から光を当てることで
ネイルエスらしい色になりました。

ネイルエスのお取り扱いがある蔦屋書店さんがお近くにある方は、
ぜひテスターを手に取ってみてください。
また、ネイルエスのオンラインでご購入いただいた方は、
指にカラーを乗せながら、この内容を照らし合わせてみてください。

とても共感できる!と思っていただけることもあるでしょうし、
でも私はこんな捉え方をしたいなあ、などきっと様々だと思います。

作り手がイメージする世界観を、
手に取っていただいた方の世界観に受け渡し、
またそれぞれの色に生まれ変わっていく。

作りたいカラー、テーマ通りにしあげることは
もちろんこれからも大事にしたい部分ではあるけれど、
受け渡した後のその色の行く末も、想像してものづくりをしていきたいなと
改めて考えるきっかけとなった感慨深い色となりました。












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