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スイテイエン公園

今年は隙を見ては旅にでる、ということがそこそこできたと思う。
パンデミック前は、この隙を見て旅に出る、を良くしていた。LCCのチケットを握りしめては一人ででも、飛行機によく乗った。

一人でどこまでも行けるけれど、
旅先でおいしいものを食べるときに美味しいねと言い合える誰かがいてほしい。同じようにソロで旅にでる友人がそのように言っていた。
確かにそうだなと盛り上がったりした。

せっかく旅に出ることができるようになった。
誰かとおいしいを共有できる旅をしよう、
これはその記録のひとつ。

さて、今回の話の行き先はベトナム・ホーチミン。
友人が以前住んでいたことがあり、案内するのでいつか一緒に行きましょうと言ってくれていたことを叶えた。

そして私はスイテイエン公園に行きたかった。
ここもいつか行こうと思いながらストックしていた場所だった。

ディズニーランドに行きたかった、とでもいうような誰もが知っているような程で話を始めたが、
スイテイエン公園とはベトナムのディズニーランドみたいなものだと思ってもらって差支えがない。
世界の有名テーマパーク12選にも選ばれたらしい実績があるらしいので間違ったことは言っていないはずだ。

ちなみに旅の動機の出典元は言わずもがなのクレイジージャーニー。私はあらゆる情報がクレイジージャーニーに偏っているので、今後もきっとそうだと思う。
クレイジーと最早言ってしまっているので、ディズニーランドではないだろうなということは早々に垣間見える。

スイテイエン公園は中心街より車で1時間ほどの距離だった気がする。
到着してチケットを買い、入り口を潜り園を回るトロリーバスのようなものに乗る。

敷地としては結構広い。
どれくらい広いのかといわれたら、よくわからないけれど結構広い。
どれくらい広かったのか、たった今グーグルを検索してみたら、105ヘクタールだそうだ。

105ヘクタールといわれてもあまりピンとくる人はいないと思うので、もう少し掘ってみるとどうやら東京ドームが22.5個分とのことだ。

日本人はすぐ東京ドームで物事を図ろうとする。
私はスポーツ観戦もライブにも比較的縁がない人生を送ってきているので、恐らく東京ドームにはいったことがない。
しかしきっと東京ドームを物差しにするときは
‘ここはとても広いですよ、ホラこのように!’と
きっと引用する人は思っていると察してほしい。

終着地で降りてあたりを見渡すと、
まず最初に感じたことは、人がいない。
こんなに広いのに、人が全くいない。
自分たち以外の生き物は、園のスタッフと思われる人だけしかいない。
なのにアトラクションや施設はとても充実している。
それが興味を惹くか惹かないかはさておき、充実はしている。

地球上から人類が滅亡する一歩手前の巨大遊園施設。
地元の小学生と思われる小規模な校外学習とすれ違ったことも、なんだかノスタルジックな光景を後押ししている。
ノスタルジーというと何でも聞こえがいい。

まずスイテイエン公園をまだよく見てもいないうちから感じたことは、採算はとれているのか、いやとれていないだろうという構文だった。
何のために存在していて、なぜこんなに閑散としているのか。私にとってそこは別に重要ではないのでここは特に調べる手間は省いた。

私が重要視していることは、
かの有名なあの景色を目撃し、写真を撮ること。
屋外プールの巨大な顔。
そのインパクトから、この園の象徴的な光景なのだ。

園は広いのでそこにたどり着くまでに結構な体力を消耗した。その道中も、興味を惹くようで惹かないかもしれない光景を流しながら歩いた。

ひとつ印象に残ったのは巨大な猫の置物。
毛が生えていて、大きく口を開けている。
猫とはどのような造形でも
愛らしいを詰め込んだ存在だと思っているけれど、この猫はどこか突っ込みどころがあるのは何故なのだろう。
ああ、大きく開けた口から見える歯が人間だった。
肉を引き裂くよりかは
穀物をきちんとすり潰せるタイプだ。
猫をキャラクターとして物質化するときは、
口は閉じるか歯はとがっていた方がいい。

猫を横目に歩き続け、
やっと屋外プールの入り口にたった。
が、どこから入室できるのかがわからない。
むしろ歓迎されていない。どこも閉じている。
嫌な予感がしたし、
認めたくないけれど、答えはもうある程度予測できた。

中にいる男性に声を掛けたら、「工事だから今日はクローズしているよ」と予測通りの声が返ってきた。

なるほど、園がこれだけ閑散としているのは、
メインである屋外プールが閉まっているからなのだ。
とは不思議と思わなかった。
何となく、閑散としてるのはデフォルトなような気がしてならない。

正直、またこの場所にこの目的だけのために再訪することは避けたい。ずっと来たかった場所だけれど、一度で充分だと思う。

一度くれば気が済む。

大阪城公園くらいの距離間なら再訪してもいい。
でもきっとここに来た外国人は皆一度で満足していると思う。
私も満足している。
ゆえにどうしてもこの扉の向こうの、
あの象徴的な光景を近くでみたい。
今回の旅で写真を撮り終えたい。
包み隠さずいうと、このターンで終わらせたい。

「日本からこのためだけに遥々ベトナムにやってまいりました。あの光景を見ずに帰ることは本当に残念です。入室が叶わないなら、この私のiphoneであの光景を撮ってきてくれないでしょうか」

iphoneを押し付けるように懇願すると
多分ベトナムの言葉で、
「本当はだめだけど写真を撮るだけならいいよ」
と言ってドアを開けてくれた。
元々高いベトナムへの好感度が、高めの天井を貫いた。

中に入るとなるほど工事をしていて、中の人たちの視線が刺さる。
おそらくベトナムの言葉で、
「何入れてるんだ今日は工事中だ!」
と言っている気がする。
気がするけれど日本人は国民性として奥ゆかしい面をもち合わせているように見えて結構面の皮は厚いですよと思っている。
少なくとも私はその類の日本人なのです恐れ入りますという気持ちで会釈をした。
気が済むまで写真をとって、再度会釈をしてスイテイエン公園を後にした。


良かった。
本当によかった。
何が良かったかといわれても、特に参考になることは出てこない。
見たいものを現地にいって、この目に焼き付けたことがよかった。

ここまで読んで、スイテイエン公園に行ってみたいなと思う方がいたら
それは恐らくマイノリティな側に属すると思う。

私も絶対行った方がいいとお勧めするわけではないけれど、
もし行くとすれば屋外プールが工事中である時期以外に行った方が良いし、
もし工事中でもあきらめない心をワンチャンスもって良いと思う。

あと、歯が人間の猫は一見の価値があるかもしれない。
そしてスイテイエン公園行かなくとも、ホーチミンシティのバインミーはどこで食べても美味しい。


結構大きい。人の身長の3倍ほどある。



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