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【2023年秋アニメ】49作品の第1話を観ての感想まとめ《前編》

毎シーズン恒例にしている「アニメ第1話感想」、2023年秋クール(10月~12月)です。今期ちょっと本数多くて魔入りました(誤変換)。まあ最終的には20~25本くらいまで絞っちゃうんだけど、さすがに第1話だけとはいえ約50本は辛かった。

とりあえず本数が多すぎるので前編・後編の2回に分けます。

後編はこちら↓

掲載順は東京ローカルの放送順で、便宜的に番号を振ってるけど単に順番を示しているだけです。

「よく出来てるけど好きじゃない」とか「出来はいまいちだけどまあまあ好き」とか、作品の評価には様々なパターンがあるわけで、出来の良し悪しというのも俺の主観だし、好き嫌いに至ってはもっと独断なので、この感想群についても読んだ方は「ここは共感できるな」とか「何言ってんのこいつアホじゃね」とか、いろいろ好き勝手にジャッジしてほしい。

ただまあ、数だけはそこそこ多くの本数を観ているという自負はあるので、まだ観ていなかったけどこれ観てみようかなとか、何かしらの参考になれば幸いです。


★は大まかに以下のようなパーソナルな指標。★3と★2の間くらいが継続視聴するかどうかの境界線。

★★★★★ すげえいい
★★★★  かなりいい
★★★   まあまあいい
★★    ちょっとキツい
★     だいぶヤバい




1 葬送のフリーレン

よくある初回1時間スペシャルとかだと通常のTVサイズ2話分の一挙放送やるのに対してその倍っていう単純な形ではなくて、ちょい長尺の4話分ですよね、これ。やっぱちょっと長すぎるかなという印象。

構成としてあてのないまま続けていた旅に明確な目的を与えるところまでを1セットにしたかったのも、そこに至る積み重ねが必要だったのもわかるけど、物語の性格上は時間がゆったり流れてるし演出もそれに沿ってるから、2時間の単体の映像作品として観た場合、間のパートはどうしても間延びして見える。

元々そんなすごい重厚なファンタジー大作っていうわけじゃなくて、ワンアイディアの変化球的な軽いコメディタッチで楽しむ程度のものだってわかってて観る分にはいいと思いますけどね。でもこんな、初見だとちょっと飽きられるかもしれないという賭けに張った心意気は買いたいし、充分それに見合う出来ではあったと思う。

★★★★

2 め組の大吾 救国のオレンジ

続編だけどオリジナルにあまり思い入れがなくフラットに観た。わりとゆっくり噛み砕くようにコントロールされた間からも、放送時間帯を意識して視聴者層を低めに設定しているように思われるが、あまりもたつく感じもなく丁寧に話を進めているという印象。派手さはないけどシュアーな作りで、良くも悪くも誠実な作品だと思う。

★★★

3 ラグナクリムゾン

2時間なげえなと思ってもちゃんと観られたからやっぱフリーレンはそれなりにキチッとしてたな。1時間なげえよ本当に。っていうかこれ1時間必要だったか? 原作のつまんねえ箇所はバンバンつまんでいいんだよ。むしろ、その作業をやっていないアニメ化に意味ってあります?

4 シャングリラ・フロンティア

ゲームを題材にしたフィクションの中で「神ゲー」と呼ばれるゲームは往々にして現実のゲーマー(つまり視聴者)からは全く面白くなさそうに見えてしまう、という問題があるのだけれど、この劇中ゲーム『シャンフロ』もその制約から逃れられていないと思う。少なくとも第1話の段階では、主人公がクソゲー愛好者であるがゆえに「バグがない」という1点で「このゲームすげえ」っていう話になっていて、観ている側としては「え、そこから?」という反応になってしまう(付言すればバグの有無はゲームの面白さとは本質的には関係がない)。

さらに、主人公のプレイスタイルの特殊さと、それが一般的な意味で面白いのかどうか、というベクトルが相反しているという構造的な欠陥を払拭するには、できるだけ早い段階で視聴者と同じレベルの目線を導入して代弁させる必要があるけれど、それがいつになるか、充分な説得力を持っているかによって全体としての評価は変わってくると思う。後述する『とあるおっさんのVRMMO活動記』でも同じなのだけれど、ゲームの面白さを描写するということと、そのゲームのシステムを逐一説明することとは、全く別だからだ。

★★★

5 キャプテン翼 シーズン2 -ジュニアユース編-

実は1期をリアルタイムでは観ていなくて、ついこの前、7月くらいに観たので新鮮な気持ちで楽しめる(笑)。翼が負傷療養中でジュニアユース合宿に置いていかれているおかげで、前シリーズでは空気になっていた旧南葛小モブメンが生き生きと翼に絡んでいてちょっと嬉しい。こいつらはサッカーが下手だから出番がないだけで、翼にとってはやはり友達なのだ。

いろいろネタにもされるけれど、やはり名作と言われるだけのことはあって、キャラ立ちが明確で勝負論も単純明快。現実のサッカーとは全然違うけれども、その「面白さ」のエッセンスを伝える役割としてはこの上なくシンプルで、だからこそストーリーラインも強固なのだ。このTVシリーズでは原作から時代を現代に移しているけれども、改変は最小限に抑えて(せいぜいスマホ持ってたりするくらい)、原作が持っていたダイナミックなインパクトを大事に温存して再現していると思う。

★★★

6 でこぼこ魔女の親子事情

長命だけど見た目も振る舞いも幼い魔女(母親)と、短命で成長が早く大人びている人間(娘)という対比をわかりやすく誇張したかったというのは理解できるんだけど、娘が水樹奈々はやりすぎかな……。正直だいぶキツいっす。43やぞ! キャラ的にも16歳という年齢相応じゃない、かなり幼児性の強いキャラだから余計にキツい。ビジュアルだけで充分だったんじゃないかな。元々「声優は何にでもなれる、何でも演じられる」っていうテーゼには否定的で、性別や年齢によって自ずから限界はあるという立場なので。

★★

7 範馬刃牙 第2期【野人戦争編】

実は刃牙ミリ知ら勢だからアニメでカバーしておくかと思ってずっと観てきたんだけど、ここに至っていよいよ付いていけなくなってきている。俺の中にこれを面白いと感じられるスイッチがないんだよな。Twitterでは前にもちょっと言ったんだけど、板垣恵介の中に脈々と受け継がれている梶原一騎イズムがあまりピンとこないというか、俺自身が梶原作品をあまり通ってきていないこととも関係している気がする。虚々実々はいいんだけど、その「虚」と「実」のバランスが著しく前者に振れてしまうと、やっぱり嘘くさく感じてしまう。アニメとしてもそれに呼応する形で以前のシリーズよりずっと誇張した表現になっているように思うし、その塩梅が個人的にはちょっとキツいかな。

★★★

8 オーバーテイク!

別にそんなに過剰に泣かせに来たりはしていないのに、こっちで勝手に想像してしまう余白で泣かせる匙加減、抑制の効いた演出は職人技と言っていい。あおきえい監督作品は個人的に波長が合うっていうか外したことがない。レースシーンの迫力も上々で、音にはかなりこだわっていることが窺えるのもグッド。

★★★★★

9 鴨乃橋ロンの禁断推理

推理ものとしては強引なロジックをアニメで説得力を持って見せるにはややパンチ不足かな。原作は未読だけど、漫画なら適切に誇張できていたのかもしれないエキセントリックなキャラクターも、アニメで動かすのであればもっと強調しないと「ただちょっと変な人」で済んでしまう。観られないこともないけど今期本数の多い月曜で生き残るのはなかなか激戦。

★★

10 SHY

ヒーローらしからぬ内気な少女の葛藤と克己、そこから生まれる新たなトラウマと謎の上位存在。テーマに即した充分な外連味と次回以降への引きも同居させてまとめた、TVアニメの第1話としては盤石の出来で好感触。個々のパーツはありふれたお約束に過ぎないけれど、そんな「ベタ」を愚直に積み重ねることでキャラクターに「生」が宿る。

今期一番好きなOPかも。

★★★★

11 私の推しは悪役令嬢。

一見おバカっぽい振る舞いとは裏腹に、主人公が悪役令嬢を推す理由も、転生先の世界に詳しいいきさつも、先回りしてロジックが組み立てられていて意外と隙がない。……のだけれど、肝心の主人公にあまり魅力を感じなかったり、キャラクターが全般的にインパクトに欠けていて興味が持続できない。よくまとまってはいるから惜しい。

★★

12 とあるおっさんのVRMMO活動記

うーん、キツい。シャンフロはまだアニメとしての体裁は整ってるからなんとか誤魔化せる感もあるんだけど、こっちはもうこれゲーム自体がPS2時代じゃんみたいなルックしかしてなくて、何重もの意味で厳しい。街に戻って鑑定しないと薬草の種類もわからないシステム、完全にクソゲーのそれなので。「このゲームは面白そうかどうか」とかいうことを云々する以前の問題。それならまだ、『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』がそうであったように、「クソゲーをプレイする」っていうことにしたほうが全然潔いと思う。

13 聖剣学院の魔法使い

なんかあんまり印象がないな……。っていうときは感想書くときにHP見直してイントロダクションとかあらすじ読んだりするんだけど、読んでもキービジュ見てもどんな話だったのか思い出せなかった。ヒロインがスマホ持ってるから科学と魔導が同居する世界なんやなってちょっと思ったのが唯一のハイライトかな……。

★★

14 ミギとダリ

開幕いきなりババアの台詞、帽子が風に飛ばされて「風と共に去りぬ」にイラッと来つつも笑ってしまったから、そこは俺の負けだよ。ただまあ結局全編通してみるとちょっとスベってるような気がしないでもないっていうか、原作は『坂本ですが?』と同じ佐野菜見だから(この放送開始直前に亡くなってしまった。合掌)、本当はシリアスな本筋があってこそ生きるタイプのナンセンスな笑いだと思うのだけれど、1話だと本筋がそこまで見えないから消化不良ではある。つまり「なんか不穏な雰囲気をまとった双子が延々と悪ふざけをしている」ようにしか見えないんだよな、この導入では。それだと振れ幅が狭くて笑いも中途半端になってしまう。

★★

15 Paradox Live THE ANIMATION

私事だけどこの企画の立ち上げ時に仕事でなんか記事を書いた記憶がある。そうか、あれがいよいよアニメ化か……という感慨もありつつ、しかしその立ち上げは完全にヒプマイの後追いだったわけで、その2期とかち合っちゃったのはどうなん? と要らぬ営業的心配もしてしまう。アニメとしての出来はまずまずだと思うし、既存のファンはこれで充分満足だろうが、果たしてコンテンツとしての天井がそこでいいのかという問題はある。メディアミックスって難しいね。

★★★

16 東京リベンジャーズ -天竺編-

世間での人気はピークを過ぎたのかなという印象だけど、個人的には引き続きそれなりに楽しんでいるシリーズの3期。安定した導入で新たな謎を提示して開幕。さすがにもうキャラクターにも馴染んでるから話が早いよね。OP曲は2期と一緒でありながら歌詞は微妙に差し替わっていて、地味に芸が細かい。

★★★

17 婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む

これもあんまり記憶がないな……女子が好きそうだなって思いました。

★★

18 ブルバスター

ロボットというよりは人型建機とでも言うべきメカニックデザインと、会社組織ならではのお約束を踏襲した堅実な話運びは、お仕事ものとしての印象は悪くない。ただ、どうしても地味になりがちなリアリティラインと、害獣駆除という名のモンスターバトルとその謎の解明っていうファンタジーの部分とがうまく噛み合うかどうかはちょっと心配。妙に世知辛いだけの話になりそうな気もする。

★★★

19 ウマ娘 プリティーダービー Season3

史実の競走馬を架空の「ウマ娘」としてifも交えながらその競技生活をドラマチックに再構築する、というシリーズの最大の売りはそのままに、競馬ファンでもよほどコア層でないとわからない小ネタを挟みつつ、アニメやアプリゲームから入ったライト層でもそのまま楽しめるエンターテイメントとして仕上げていく手腕は健在。バランス感覚が絶妙。アニメオリジナルのキャラクター同士の関係性も3期ともなればだいぶ深まっていて、特にチームカノープスの存在感が脇役ながら増しているのがうれしい。

動かしゃいいってもんじゃないんだよっていう見本みたいなED。それはそれとしてこのEDマックちゃん、可愛すぎじゃないですか?

★★★★★

20 16bitセンセーション -ANOTHER LAYER-

エロゲ版東リベといった風情のタイムリープもの。「アキバ」テーマのアニメは昨今それなりにあるけど、オタクが集まる街だけにその再現度に対する目は肥えていてジャッジも厳しいので、そのチャレンジングな設定に正面から挑んでいるのには好感が持てる。古賀葵は演技に振れ幅のある声優だけどこのはっちゃけっぷりは聴いていてなかなか楽しい。

★★★★

21 カミエラビ

原案ヨコオタロウか~まさしくそれっぽい突飛な設定のデスゲームもの。制作スタジオはUNENDという初めて聞く名前だけど、監督の瀬下寛之がポリゴン・ピクチュアズから独立したってことなのかな。フルCGのキャラクターをアニメで動かすということに関しては、日本ではポリゴンが最も先を行っていると思っているので、その系譜を継いでいると言える本作もその点では信用がおける。大袈裟すぎないのがいいんだよね。一方で派手なエフェクトで見せる特殊能力は美麗なCGとのマッチングもよく、全体的に好感触。

★★★★

22 暴食のベルセルク

しゃべる剣っていうと『転生したら剣でした』を思い出してしまうけど、あれはよくまとまった作品だったのに対してこっちはちょっと散漫かなあ。手順はちゃんと踏んでるんだけど詰め込みすぎてどこにフォーカスして観ればいいのかわからない。タイトルも含めて全部どこかで見た何かの劣化コピーって感じ。

★★

23 ビックリメン

ビックリマンファンは嬉しいのかな。興味がなくて全然わからん。わからんままボーッと観てた。もっと楽しもうとする努力をしろ。すみません。

★★

24 柚木さんちの四兄弟。

ちょいビターな設定のハートフル家族ものっていう感じなんだろうけど、この手の作品の難しさはその前者の部分が、日々アップデートされていく現実の視聴者の倫理観との間に齟齬を起こしやすいことで、これも残念ながらそこをクリアしきれていないように思う。ファンタジーとして受容するにはリアル過ぎ、リアリズムに振るにはファンタジー過ぎる。要するに中途半端。四兄弟の年齢構成が歪なのも、ちょっと「泣かせ」の恣意が透けて見えすぎて嫌だったかな。好きな人は好きだろうっていうのもわかるけどね。

★★

25 冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた

どちらかといえば、娘(早見沙織)より養父であるうらぶれたおじさん(諏訪部順一)が主人公ですよね、これ。それもあってか全体的に落ち着いたトーンでお互いに思い合う父と娘の心情が丁寧に描写され、それがじんわり浸透する味わい深さを生んでいる。非常に堅実な作品だと思う。

★★★★


ここまで6000字超書いてまだ半分……気が遠くなるな。

後編はこちら↓

後編で紹介しているのは以下の24作品。

アンダーニンジャ
盾の勇者の成り上がり Season3
攻略うぉんてっど! ~異世界救います!?~
ゴブリンスレイヤーⅡ
アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】(第2期)
アンデッドアンラック
経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。
はめつのおうこく
キボウノチカラ ~オトナプリキュア'23~
ひきこまり吸血姫の悶々
SPY×FAMILY Season2
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