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話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選

sodatschko

昨年は締め切りに間に合わず元旦にTwitterで連続ツイートという形でお茶を濁してしまった「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。今年は早めにやるぞ! と1年間わりと意識しながら観てきたのだけれど、いざ選ぶとなるとやはりいろいろ悩んでしまって結局ギリのギリになってしまいました。言い訳をすると年末に飛び込みでランクインしてくるものがあるかもっていう可能性も考慮して引っ張ったんですけど、実際そうなったので待ってみるもんですね。

ちなみに昨年から、2010年にこの企画を始めて以来ずっと集計を担当されていた新米小僧さんが引退されて、新たにaniadoさんにて引き継がれていて、今年もそのまま継続するとのこと。

「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」って何? という方もここを見るかもしれないので一応概要を引用しておきます。

「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」は、その年に放映されたTVアニメの中から印象的だった話数や優れていると感じた話数を各々のブログなどのWEBサイトにコメントと共に掲載する企画です。

■「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
 ・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
 ・1作品につき上限1話。
 ・順位は付けない。
 ・集計対象は2021年中に公開されたものとします。

https://aninado.com/archives/2021/11/28/864/

まあ読んで字のごとしというかシンプルそのものの企画で、だからこそいいなと思っているので、できればこのまま変わらずに続いていってほしいですね。

さてと。では早速いきましょうか!
一昨年と同様、主に自分の感想ツイートを引用しながらふり返りたいと思います。並びは放送順。


『ウマ娘 プリティーダービー Season2』
 第10話「必ず、きっと」

『ウマ娘』2期から選ぶとなるとおそらく第12話「ふたり」も候補に挙がると思う。っていうか最後まで迷いました。トウカイテイオーとメジロマックイーンのライバル関係という本筋を重視するなら12話なんだ。でも『ウマ娘』ってそれだけではないということがとてもよく表れたエピソードだと思うので10話にしました。アニメでは脇役だとしても、モデルになった馬それぞれに、それぞれが主役の物語があるんですよね。そこをおろそかにせずきちんと描いていくという、競馬関係者や競馬ファンに対して常に誠実であろうとするのが『ウマ娘』で、俺自身長年の競馬ファンでもあるので、希代の逃げ馬ツインターボ一世一代の大逃げオールカマーをこんなにもドラマチックに見せてくれたことに感謝したい。

『のんのんびより のんすとっぷ』
 第11話「酔っ払って思い出した」

これも第10話「寒くなったりあったかくなったりした」と迷いました。1期第4話「夏休みがはじまった」で挨拶ができないまま別れてしまったほのかちんとの再会と、「今度はちゃんとさよならが言えた」というれんちょんの確かな成長が感じられるエピソードですごくよかったのだけれど、第11話でれんげの成長をずっと見守ってきた駄菓子屋こと楓の視点を通して見ることによってさらにその感慨が深まるという、長く続いてきたシリーズだからこそできる重層的な構成になっていることをより重視しました。『のんのんびより』は、現代のTVアニメとしては異例と言っていいくらい意図的にかなり大きく間を取るシリーズで、じんわりと沁みるような感情を視聴者に喚起するその利点が最大限活かされた回でもあると思っている。

『オッドタクシー』
 第11話「あの日に戻れたら」

2021年アニメ界最大のサプライズじゃないですかね、『オッドタクシー』は。事前のPRでは「鬼滅の炭治郎役を演じた花江夏樹の新境地!」みたいなことしか言われてなかった記憶なんですが、それだけ売るほうもどうしたらいいのかわからんというか「とにかく観てもらえればわかる!」みたいな感じだったんじゃないかと思ったりします。
本作では一見無関係そうに見える登場人物がそれぞれ関連し合っていて、それが2つの謎「小戸川の過去と現在」「練馬の女子高生失踪事件」に絡んでくるという物語なのだけれど、特に後者に関してバラバラのピースが一気にハマっていくこのカタルシスは、1週間に1話ずつ放送するTVアニメでこそ得られるものだと思う。もう1つの謎を残したままクライマックスへと向かうターニングポイントでもあって、ストーリー上の重要度も高いエピソードですね。
木下麦監督、脚本の此元和津也はともにP.I.C.S.(ピクス)所属のクリエイターで、この会社はMTV JAPANの流れを汲んでいて本来はCMやMVなどの映像制作会社ということなので、全然アニメ畑じゃないところからこういうものが突然変異のごとく現れ出でたということは驚きでもあり、嬉しくもある。今後どういう作品を作っていくのか注目したいと思う。

『かげきしょうじょ!!』
 第5話「選ばれし乙女」

元々原作の中でも一番好きな山田彩子のエピソードは外せないですね。絢爛豪華な紅華歌劇団の次代のスターを養成する音楽学校において、全国から選りすぐられた才能の塊のような生徒たちが咲き乱れる中にひとりぽつんと佇む路傍の花、いかにも普通でミスマッチっぽい山田さんを見た視聴者は(原作未読なら)誰しも「この子なんでここにいるの?」と思ったことでしょう。でもそんなこと本人が一番よくわかってるんだよ!
「みんなと違って私には何もない」と思い込み過食と嘔吐を繰り返し、負のスパイラルへと落ちていく。でも何もかも忘れていい夢だったと思い出にしてしまうにはまだ早すぎる。「あなたがここにいることにはちゃんと理由がある、何もない子はここには入れないのだ」と彼女の才能を信じ、励まし、背中を押してくれる人がいた。そうして喪失した自信と希望とを再び獲得していく過程は、筋がわかっていても心震えるものがあった。野に咲く花には、野に咲く花の美しさが確かにあるのだ。

その山田さんが、プリ☆チャンで虹ノ咲だいあを演じた佐々木李子だっていうのがまた作品を超えてクロスする普遍性を感じさせる。下のツイートでフリスクPさんが仰っている『キラッとプリ☆チャン』第77話については実は2019年の10選で選んでおり、いま読み返してみたんですけど超絶キモエモ長文を書いているのでご興味があればぜひ。

キャストについてもうひとつ言うと、小野寺先生を演じた飛田展男がこのエピソードを1段高いレベルに押し上げてくれたと思う。優しく暖かく、それでいて力強いエール。オネエ言葉を使う中年男性、もっと平たく言ってしまえば古色蒼然とした「オカマ」キャラという、昨今のジェンダーフリー的な流れの中でゆくゆくは消え去ってしまいそうなステレオタイプではあるけれど、しかしそうでなければこれだけの劇的な効果は得られなかったと個人的には思う。原作を尊重して温存してくれたスタッフに、そして最上の演技を聞かせてくれた飛田さんに敬意を表したいです。

最初はもう少しあっさりしたレビューだったんですけど徐々に書き足して結局は一番長くなってしまいましたね。愛が重い。

『小林さんちのメイドラゴンS』
 第10話「カンナの夏休み(二か国語放送です!?)」

これだけ感想ツイートがないな……。正直に言えば、2期に関しては冷静に見られない部分もあって評価が難しいし、個人的にはこの作品の本筋のお話にはさして興味がないのだけれど、だからこそ日常回の輝きが増しているとも思う。全編にわたってカンナちゃんが動くのが見られて、しゃべってるのが聞けるっていうだけで充分じゃないですか? いろいろ辛いこともあるけれど、生きていればいいこともある。ただただ「カワイイ」ものを愛でる30分はそれだけで幸せだよなっていうシンプルさに敵うものはそうそうないんじゃないかとも感じられ、これもまた京アニの凄みの一端だと思うんですよね。

『古見さんは、コミュ症です。』
 第1話「コミュ01「喋りたいんです。」」

今年2つめのサプライズというか、アニメを観ていて「この監督誰? 名前覚えないと!」ってなる瞬間が好きで、それは俺にとってはたとえば松本理恵だったり川面真也だったりするわけですけど、そういう新たな才能を見つけた瞬間の記憶ってやっぱり視聴体験としてはかなり上位のものだと思っている。初監督である川越一生はこの回において絵コンテと演出を1人で担当していて、とにかくやれることは全部やってやるという気概に満ちていて、「これはこういう作品にします!」という高らかな宣言にもなっていて小気味いい。

『シキザクラ』
 第8話「悲願/MOTHER」

キャスト・スタッフともに名古屋を中心にした「オール愛知」で制作しているということに開始当初から好感を持っていたし、ヒーローものとしても戦う理由を明快にしたロジックに一本筋が通っていてこれは思わぬ佳作だなと感心しながら観ていたのだけれど、そんな上から目線に本気の本気をぶつけられて虚を突かれたエピソード。よく練られた脚本に派手さはないが堅実な演出、瑞々しい演技(涼の母親を演じた声優はまだ高校生だというから驚き)ががっちり噛み合っていて、こちらの想像以上にシリアスかつダークな展開にも突飛な印象はなく、作品世界に没入できた。なんだろう、野球にたとえると弾丸ライナーのピッチャー強襲ヒットみたいな感じ? 言ってる意味が自分でもよくわかりませんがそういうことです。

『王様ランキング』
 第9話「王妃と盾」

下の感想ツイートは第3話「新しい国王」に対してのものだけれど、王妃かつ主人公の継母であるという記号に甘んじることなく生身の人間として物語の中で重要な位置を占めるヒリングと、その警護役であるドルーシにスポットを当てた回を選びました。すでにヒリングの主観としては描かれていたことを、ドルーシの客観を以て視聴者にあらためて印象づけていて、よりキャラクターに厚みを与えている。こうした語り口は非常に巧みでありつつ、あたたかみのある絵柄も相まって嫌味がない。作品全体を見ても、それぞれの人物が持っている背景の描写が細やかで、アクションもそれ自体見応えのある出来なのだけれど、それもまたキャラクターの性格や信念と密接に結びついた不可分のものとして扱われていて、そうした作品の特質が非常によく表れた回だったと思う。

余談だけれど『のんのんびより』の駄菓子屋も本作のヒリングも同じ佐藤利奈ですね。後述するけど去年は『とある科学の超電磁砲T』を選んでいて、俺はどんだけ佐藤利奈さんに弱いのか。

『鬼滅の刃 遊郭編』
 第3話「何者?」

10選あらかた選び終わってあとはちょこちょこ寸評書いていくだけだなと思っていたところに年末放送の回が飛び込んでくるパターン。正直これだけのビッグタイトルだし俺が選ばなくても他の人が選ぶでしょと思わないではないのだけれど、さすがに逆らえなかった。陰影を強調しつつそこに差した色が映える緻密な色彩設計には目を奪われる。ツイートでは書かなかったけど、堕姫というキャラクターの存在に大いなる説得力を与えた沢城みゆきの演技に依るところも大きく、人ならざる者の妖艶さと酷薄さ、そして敬慕する無惨の前で見せる卑小さとを同時に表現できる声の確かさに支えられている。

そういえば思い返してみると2019年には1期の神回と言われた第19話「ヒノカミ」をやはり選んでましたね。鬼滅恐るべし。

『プラオレ! ~PRIDE OF ORANGE~』
 第12話「PRIDE OF ORANGE」

年末放送の回が10選に飛び込んでくるパターンPART2。

「かわいい女の子たちがマイナースポーツに熱中する青春もの」ジャンルと言ってしまえばありきたりではあるし、試合のシーンが少なかったりしたことに不満を覚えた向きもあるかもしれないけれど、その楽しさやひたむきさを丁寧に描写することをより重視した作品で全体としても好印象だった。そうして回を重ねて錬成したものの成果がちゃんと最終回に収斂していく様は、シリーズ構成が待田堂子であることを想起すれば納得するしかない。アイドルアニメが実質的にはスポ根であるのと同じく、女の子たちのスポ根はアイドルがスターを目指して駆け上がっていくのと相似形なのだから。昇格を掛けた試合に終了ギリギリの主人公のゴールで逆転勝ちしてビクトリーダンスへ、という大団円は予定調和そのものではあるけれど、それこそが唯一の正解であるという確信に満ちた美しいエンディング。言うことないです。


選外になってしまった作品

10本選ぶってなると5本くらいはすぐに決まるんですよね。そこからリストアップしていくと10本からあふれていって絞り込むのが大変。さらに今年は終わってみると10~12月クールに半数が固まってしまって、かつ年末に2本飛び込んできたんでいつも以上に悩ましかった。そんなわけで10選からは最終的には抜けてしまったものを以下列挙しておきます。

『SK∞ エスケーエイト』第2話「はじめてのサイコー!」

『ワンダーエッグ・プライオリティ』第9話「誰も知らない物語」

『ミュークルドリーミー』第39話「ロック・ペブル&ストーンズ」

『Re:ゼロから始める異世界生活』第49話「俺を選べ」

『ゾンビランドサガ リベンジ』第2話「ぶっ壊れかけのレディオ SAGA」/第5話「リトルパラッポ SAGA」

『不滅のあなたへ』第5話「共にゆく人」

『Vivy -Flourite Eye's Song-』第10話「Vivy Score -心を込めて歌うということ-」

『Sonny Boy -サニーボーイ-』第8話「笑い犬」

『ルパン三世 PART6』第10話「ダーウィンの鳥」

参考までにどれくらいの本数を観ているのかですが、毎クール作成している視聴リストを参照すると、
1~3月 48本(完走30本)
4~6月 43本(完走22本)
7~9月 40本(完走19本)
10~12月 45本(完走21本)
といった感じ(継続クールものはそれぞれでカウントしているので延べ本数)。合計すると1年間で176本、うち完走したのが92本ですね。基本的には最後まで観た作品の中から選んでます。


2020年補遺

締め切りに間に合わなかった去年(2020年)の10選は以下の通り。

『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』第6話「ヒロメネス」
『22/7』第7話「ハッピー☆ジェット☆コースター」
『映像研には手を出すな!』第8話「大芝浜祭!」
『とある科学の超電磁砲T』第15話「やくそく」
『四月一日さん家と』第11話「四月一日さん家と長谷川くん」
『デカダンス』第1話「ignition」
『第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』第2話「結成ストライクウィッチーズ」
『アサルトリリィ Bouquet』第5話「ヒスイカズラ」
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第6話「笑顔のカタチ(〃>▿<〃)」
『キラッとプリ☆チャン シーズン3』第132話「おしゃまトリックス! ついにライブデビュー!? ッチュ!」

『四月一日さん家と』は公式には“Vtuberドラマ”と銘打ってるけど自分としてはアニメとして受容したので入れています。

また、全体の集計で『22/7』第7話「ハッピー☆ジェット☆コースター」が1位になったことは、自分も選んでいたというだけでなくすごく嬉しく感じたのを覚えていますね。というのは、TVアニメとしての『22/7』は作品的にはそこまで優れているとは言えなかったにもかかわらず、その中で突出してよかったエピソードがちゃんと掬い上げられたという点ですごく意義のあることだから。

言ってしまえば、売れてて評価の高いアニメから選ばれるのは当たり前なんですよ。もちろんいざ選ぶってなると抗いきれないんだけど、たまにそうじゃないことが起きるから価値がある。

あと、1年経ってみるとさらに感慨深いのは、アイドルアニメにおけるいわゆる「当番回」という観点で言えばこのエピソードは「戸田ジュン」というキャラクターを掘り下げた回で、彼女を演じていた海乃るりさんは先日ナナニジを卒業してしまったので、それを踏まえた上でいま観るとたぶんさらに泣けます。っていうか俺が泣いた。

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