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原宿 1980 夏_29

 

No. 29 oclok

そんなこんなでイロイロあってオレは新宿のアパートを後にした。
大家さん住民の皆さん何かとご迷惑お掛けしました。
そして新天地は埼玉県の西川口の青木公園のそばのアパートに引っ越した。
畳の部屋が2つ風呂トイレもある。ポマードヘアーも今度は共同炊事場じゃなく、風呂場で気兼ねなく洗える。
新宿のアパートのときは炊事場でオレが頭を洗ってる横で
印刷所に務めてるお兄さんが共同鍋でインスタントラーメンを作ってて、水飛ばすなよって怒ってたっけ。トホホ
基準がそんなもんだから風呂場があるだけでセレブルテイな気分になれる。トホホホホ
それと原宿のメンバーが泊まりに来ても今度は普通に寝れる。新宿のときは身体半分が押入れの中なんてこともあった。昭和のスタンダードですけどね。
更にさらになんとテレビも買った。えっ何時代だって?
ハハハ始めて火を見た原始人みたいですハイ。
カーテンの代わりに布団のシーツにロックンロールの絵をマジックで描いて窓に吊るしてしまった。あ〜あ、なんかまたやらかしてるなあ。
キョンキョンの歌的には
いーじゃんいーじゃん〜
見逃してくれよ〜
て感じですか。
人間環境が変わっても持って生まれた人格は変わらない。
青春という名の生活習慣病て感じですかね、ハハハ……
そんなある夜メンバーがうちに来て帰り道、青木公園を抜けてゆくとき、暗闇からロックンロールが聴こえてきた。
何?!
音のほうに目を凝らすとツイストを踊る6人組が。
そっこうで話しかける。
まずは例の握手をワンツースリーホォー!
原宿でバケイションというチームを作って踊っているらしい。トオルにキンヤにウメなどなど。30人くらいのチームでウメがリーダーらしい。
ヤツらはオレたちとちがい
正統派フィフティーズスタイルでリーゼントは刈り上げショートスタイル、シャツもジミな柄だがわかる人はわかる開襟シャツにマンボズボン、そして靴はラバーソール。
踊りも派手さを抑えた正統派アメリカンオールディーズスタイルときてる。
意気投合して原宿で一緒に踊ろうと約束を交わして別れた
人生は偶然とタイミングを大切に、それが面白い!
そしてつぎの日曜日、ホコ天に行くとバケイションのメンバーが待っていた。
お互いのチームに経緯を話し
チームは合体しホコ天で一番の100人を超える大所帯となった。
かける曲とか踊るステップとかを楽しくやれるように話しあった。
バケイションのリーダーのウメはオレのようにヘラヘラしてなくて一本筋の通ったヤツだった。キンヤはアメリカの青春に必ず出てくるような、おっちょこちょいのキャラでみんなを笑わせ盛り上げてくれた。ジェームスブラウンばりにリトルリチャードの曲で
踊りの途中でシビレて感電して震えながら路上にぶっ倒れる。一緒に踊ってる彼女が駆け寄り抱き起こすと突然目を覚まし復活してまた元気に踊りだす。まるで映画のワンシーンのように。
みんな笑い転げて今地球上で一番楽しいのはオレ達だろうなと思った。
ふとつぶやいた〜
  地球は青かった
    オレ達も青かった




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