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原宿 1980 夏_22

No.22 clock

そんなこんなでチームの仲間も増えてきて責任感みたいなものが有るような無いような感じのある夜、弁天町のアパートで佐川君とギターの練習をしていると夜の8時ぐらいだったろうかドアをドンドンと叩く音。
ん?どちら様〜?
あのー朝日新聞ですけどー
あーいらないいらない!
あのーちょっと開けてもらえませんか。
新聞要らないよ…
あのー違うんです、、
とりあえず開けて下さい〜
ちょっと話しが〜
なんだよしつけぇなー!
  ガチャ
うっ、目の前にはポマードたっぷりがっつりの勝負リーゼントのヤカラが。
な、なんだよ新聞屋さん。
オレ青木といいます。
毎日この辺を新聞配ってまして窓の空きまからヒョウ柄のシャツとか革ジャンが見えてロックンローラーが住んでんだろうな。どんな人なんだろうなとずっと気になっていて
それでもう我慢できなくて、そういう訳なんですハイ。
ロックンロール好きなんだ
てかそのリーゼントでサーファーはないよね!
佐川君も一緒に
 ハハハハハ〜3人で笑った
あのー一緒に酒飲みませんか
 えっいいけど、、、
ここに拡張用のビール券があるんでオレ自転車もあるし取っ換えてきます。
とカバンからビール券の束を出して見せた。
えっだってそれは……
あれ?もういない早!
佐川君と目をあわせ
  ???………
すると10分ぐらいでビールの大ビンワンケースと乾き物のツマミをヤマほど買ってきた。コイツ本気だな、、。 
 飲みましょう!
飲むよ、言われなくても。
 カンパーイ!
グビグビグビグビグビグビ
青木君は長野から山本君とふたりでロックンロールのバンドをやろうと東京に出てきたらしい。それでオレと似たような事情で新聞奨学生をやっているらしい。
ふ〜んそうなんだほぼオレと似たようなもんだね。
そしてロックンロールを熱く語る。そして飲んで語って飲んで語ってそして吐いてさらに飲んで語る。 情熱が止まらない。酒も吐くのもとまらない。夏の夜、蚊にガンガン刺されながらの最高の出合いだった。


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