無職22日目 思春期とパン屋

今月末に息子の学校の授業参観がある。

妻が「見に行くからね」と言うと、息子は素っ気ない態度で「来なくていい」と答えた。
息子は小学6年生になり、思春期真っ只中。母親が学校に顔を出すのが恥ずかしいようだ。俺にもそういう時期あったなぁ、と懐かしい気持ちになった。
「ママが嫌ならパパが行こうか」
俺が言うと、息子は「うーん」と少し考えてから、「まぁ、ママよりはパパの方がマシかも」と言った。
妻が「なんでよ」と不満そうに言う。
「小学校高学年から中学生の時は母親が嫌になって、高校生になると父親が嫌になるもんなんだよ。仕方ないさ」と俺が言うと、妻は「そりゃそうだろ」と頷いた。「私だって父親が無職だったら嫌だもん」

いやいや、さすがに息子が高校生になる頃には俺だって働いてるだろ(笑)

俺がそう言うと、妻は「どうだか」と肩をすくめた。「だったら、さっさと新しい仕事の目星くらいつけなよ」
俺と妻のやり取りを見て息子が楽しそうに「パパ何の仕事したいの」と訊いてきた。
俺が「パン屋かな」と即答すると、息子は「似合わねぇ!」と言って笑った。

近所にけっこう美味しいパン屋があって、休職中、たびたびそのパン屋で働きたい、と冗談で話していたのだ。
「なんでパン屋なの?」
息子が訊く。
「余ったパンもらえるかもしれないだろ?あのパン屋のカレーパンとメロンパンめちゃくちゃ美味いじゃん」
俺が答えると、息子は「確かに美味い」と頷いた。

そんな感じで、我が家は今のところ平和。

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