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感情労働(5)福祉系労務体制

ここ最近はずっと心理や哲学に関する本を読みふけけています。この手の本は幸福を得るための教えが多いですが、ほぼ共通して、精神を満たすのは自分自身の心のあり方だと説いているのが面白い。

幸福になるために私達は生きていますが、他者の労働に支えてもらわないと幸福になれない社会に生きています。ガスも水道も電気も誰かの労働で得ることが出来ています。物質は他者の労働で満たされています。

こういう物質社会では精神が満たされない人が増えるのは必然ですね。誰かの精神を満たす労働、つまりサービス業の必要性は増していると思います。

それならば感情労働を健全に発展させていきたい。労働者の善意を犠牲にしたり、高い能力を粗末にしたりせず、労働者の安全を保証する。そういう当たり前の労務のあり方が感情労働の業種に置いても必要なのだと思います。

福祉系国家資格の有資格者を対象としたアンケートの結果が、その考えを裏付けました。

公財)社会福祉振興・試験センター実施による『就労状況調査』によると、回答した介護福祉士(582,319人)の21%が、現在、医療福祉”以外”に従事しているか無職であり、その9割が医療福祉の経験があり、医療福祉を辞めた理由の1位はダントツで「心身の健康状態の不調」だと。

優秀な専門職を使い捨てない、健全な労務体制を開発できないだろうか?いまのところ、その解やヒントはまだ得られていません。

他の国ではどうしているのだろう。世界一幸福な国、デンマークは福祉国家として世界でも突出している。福祉も感情労働である以上、当然、接遇のあり方にも多くのヒントがあるだろうし、感情労働従事者のメンタルヘルスを気遣う労務のあり方があるのではないだろうか?

そんな動機で海外視察、特にヨーロッパに思いを馳せています。

<参考文献>

管理される心:感情が商品になるとき
 (出典:石川准先生 ウェブページ@静岡県立大学)

ホックシールド『管理される心─感情が商品になるとき』(PDF:656KB)
 (出典:日本労働研究雑誌 2016年4月号(No.669) より)

トーク内容「非社交と脱社交から医療・福祉を考える」
 (出典:ゆき.えにしネット)

「ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか」(武井 麻子 著)

「令和2年度 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の『就労状況調査』(速報版)」(出典:公財)社会福祉振興・試験センター実施)


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