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【インタビュー】ソーシャルベンチャー・NPOでの複業・転職のリアル~イベントでの出会いから複業開始まで vol1【事業開発編】株式会社Ashirase

「ソーシャルキャリア」
それは、まっすぐ社会の役に立つ仕事を通して、より良い未来を創るキャリア。

より良い社会を実現するために挑戦を続ける企業やNPO50社。
ビジネスの最前線で活躍し、更なる挑戦の場を模索するビジネスパーソン500名。

そんな両者を橋渡しし、「複業・転職」というスタイルで、つながり、本質的な社会課題解決を実現していく。

そんなイベント「ソーシャルキャリアフェス2024」が、3/23にTokyo Innovation Baseで開催されました。

イベントをきっかけに多くの出会いが生まれ、「複業・転職」という形で多くのビジネスパーソンが、その一歩を踏み出し始めました。

今回はその一例として、株式会社Ashiraseの複業事例を紹介します。

株式会社Ashiraseは、センシングとITにより歩行を科学しアップデートしていくテクノロジー企業で、現在は、靴へ取り付ける振動ウェアラブルデバイスを用いた視覚障害者向けの歩行ナビゲーションを開発・販売しています。

視覚障がい者の安全な歩行を実現するナビゲーションシステム「あしらせ」の本格展開に当たり、リード獲得の仕組み構築を複業人材に任せることにしました。

イベントでの出会い・きっかけはどうだったのか?また、複業ではどの様な関わり方をしているのか?

株式会社Ashirase 代表取締役CEOの千野さんと、複業人材の八神さんにお話を伺いました。


【画面右上】株式会社Ashirase 代表取締役CEO 千野歩 氏

  • 青山学院大学理工学部卒業後、本田技術研究所にて、EVモータ制御や自動運転システム開発などの研究開発に従事。

  • 2018年親族の事故をきっかけに本プロジェクトをスタート。名前の通り、人の豊かさを”歩く”で創っていく。

  • 経産省始動2018SV派遣メンバー選抜。内閣府S-Booster2019最優秀賞受賞。

【画面左下】複業人材 大手人材系企業 八神倫治 氏

  • 大手人材系企業で中小企業~大手企業まで法人営業に従事。営業戦術策定、KPI設計、メンバーマネジメントまで幅広い業務を経験。

  • 現在は、営業企画業務に携わり、マーケ領域においてABMツールを用いた最適化に挑戦中。

ソーシャルキャリアフェスでの出会いについて

ー この度は、ソーシャルキャリアフェスに参加頂きありがとうございました。第一回目のソーシャルキャリアフェスに参加した理由を教えてください

千野歩さん(以下、千野さん):
イベントの話を聞いた時は、ソーシャルに対する強い想いと、ビジネススキルを兼ね備えた人材がどの程度参加するのか気になっていましたが、社内でイベントについて話した際、「こういうイベントは、今までなかったし、優秀な人たちも集まる可能性は高いのではないか」という話になり、参加してみようと考えました。

八神倫治さん(以下、八神さん):
イベントに興味を持ったきっかけは、株式会社コテンの深井龍之介さんが、自身のX(旧Twitter)で、本イベントの講演に出演すると投稿していたからです。深井さんのCOTENラジオを昔から好きで聞いていたので、講演をリアルの場で聞いてみたいと思っていました。このイベントの後はしばらく講演等はしなくなるとも話していたので、参加を決めました。

ー ありがとうございます!ソーシャルキャリアフェスの良かった点、改善点など、感想をお聞かせください

千野さん:
良かった点はたくさんありました。横の企業同士の繋がりが、登壇を通じてできましたね。ソーシャルベンチャーは、多様な事業を行っているので、競合等の関係にはなりにくい一方で、悩みは共通しているところはあるので、そういった経営者同士の横の繋がりができるのは非常に有意義だというのがまず一つありました。

採用に関しては、「自社のカルチャーに合った優秀な人材を採用出来るのか?」に尽きると思っているので、有力手段の一つだと感じました。次回のソーシャルキャリアフェスも参加したいと思っています。

改善点としては、イベント後の立食形式のネットワーキングにおいて、企業同士のやり取りではなく、候補者の方々と上手く繋がれる場に出来たらよいなと思いました。

八神さん:
イベント自体とても良いものだったと感じています。企業探しという観点でも、今回のように魅力的な事業を行っている会社が、一堂に介する場はそう多くはないと思います。

その様な魅力的な企業に、自分が貢献出来るかもしれない領域を探すことが出来るのは非常に良い機会でした。いろいろ話を聞く事が出来て、本当に良かったと思っています。

ー トークセッションを聞いた後に、気になる企業と話ができる、「カジュアルブース」はどうでしたか?

千野さん:
登壇後に、ブースの方に来ていただいた方が、一定数いらっしゃったので、出会いのきっかけになったと思います。「登壇」では、経営者や会社のマインドやビジョンなど抽象度の高い部分を語り、「カジュアルブース」では、当事者同士で具体的な部分を話すことができたので、上手く設計されているのは、良かったと思います。当事者同士の話し合いの場では、お互いがしっかり意見を言い合うことが出来たので、そこも良かったと思っています。

候補者の方は、色々なスタートアップの方と直接話をすることが出来たと思うので、スタートアップで複業で働くことのイメージがついたのではないかと思います。

八神さん:
今回は企業と話がしたかったので、参加する前に企業一覧を見て、どの企業と話をするかについて、スケジュールを組んで参加しました。

企業に聞きたかった部分は、自分が培ってきた今までの経験を踏まえて、「どの様な部分で貢献できるのか」、ということでした。自分はずっと営業をやってきたのですが、基本的にはコアタイムにクライアントと直接コミュニケーションを取ることで価値発揮をしてきました。複業をする上で、コアタイムは本業があるため稼働ができませんから、自分が貢献できる部分はあるのかというのが不安だったので、「どのような業務を切り出して任せてくれるのか」という部分を聞きました。

ほかには、企業が「どんな想いで事業を行っているのか」という部分が聞きたかったので、今回はそれが聞けて良かったです。

ー 今回、複業を開始するうえで、イベントでの出会いのきっかけについて教えてください

千野さん:
八神さんの奥さんが知り合いなんですが、とても優秀な方で、おのずと、八神さんもとても優秀なんだろうなというのが最初の印象でした。

そのうえで、「ソーシャルに対する考え方」や、「業務への熱量」の部分が、自分や社内のメンバーと合いそうだなと感じたのが大きかったですね。

私の中では、八神さんが複業したいって言ってくれれば、お願いしたいと思っていました。

八神さん:
参加する企業の一覧を見たらAshiraseが参加することになっていたので、妻に言われたというのもありますし、なおかつ事業の内容についても、個人的に興味があったので、話を聞きに行ったのが出会いのきっかけでした。

当日話を聞いて、ソーシャルに対する「熱量の部分」と、ビジネスとして成立させるための「クールな部分」のバランスが凄く良いなと感じました。イベントでは、他の企業の話も聞いたうえで、後日千野さんと連絡を取り、複業を決めました。

ソーシャルベンチャーでの複業について

ー 八神さんにお聞きしますが、本業も忙しい中、複業を行うことに躊躇はなかったんですか?

八神さん:
複業自体は、割と直ぐに意思決定できました。今後のキャリアを考えるうえで、いきなり転職をするということにどうしても躊躇があって、その点複業という形で、自身が合うかどうか、どのくらいコミットしたいと思えるのかを確かめられるのは魅力的だと感じたからです。

家庭もある中で、仕事をする時間を捻出できるか気になりましたが、現状の複業時間である、一日一時間~二時間程度は、捻出できると思い、割と直ぐに決心ができました。

ー Ashiraseでは、過去にも複業人材の受け入れはされていましたか?

千野さん:
過去にも複業人材の受け入れ経験はあります。スタートアップでは、雇用形態は多様で、色々なバックグラウンドの人材が働いている環境ですので、柔軟に対応できるかなと思っていました。

稼働時間に合わせて、「何をアウトプットしてもらうのか?」の定義はしっかりする体制が構築できているので、割とすぐに入っていけるような環境だと思っています。

ー 実際にはどのような業務の任せ方をしていて、時間などはどのようにしているのですか?

千野さん:
前提として、複業人材によってスキルセットも違えば、コミュニケーションスキルも違うので、人材によって異なるケースが多いです。
八神さんの場合だと、依頼が抽象的で、自由度が高いような任せ方をしても、次の日には、期待通りのアウトプットが上がって来るので、1日1~2時間程度の複業でも十分上手く回っています。

ー 最後に、「大企業人材」が「ソーシャルベンチャー」に「複業」で関わることの可能性について、お考えを率直にお願いします

八神さん:
私は複業について、できる人はみんなやった方がいいんじゃないかなと思っています。今まで大企業で行ってきた仕事の内、自分の中でポータブルスキルとして培ってきたものがどの程度あるのかという部分が、違う場所で仕事をすることで見えてきました。

複業を始める前は、「本業で得たものをスタートアップに還元する」というイメージだったのですが、実際は「逆の場合の事も多くある」と思いました。スタートアップだと、役職やスキルが高い方が素早く意思決定する中で一緒に仕事ができるので、「どうすればもっと良くなるか」を思考しアウトプットすることに関しては、特に学びが多いです。

お金の面でも、昇給する速度よりも、複業で稼ぐ方が速いと思います。なので、「お金を稼ぎたい」、「ソーシャルなことをしたい」、「成長したい」、「何が自分の強みか分からない」など色々な軸も含めて、複業してみたら良いのではないかと思っています。

将来的には複業でいくつかの仕事を掛け持ちし、ポートフォリオとして仕事を持つような生き方ができたらいいなと思っているので、その第一歩だと思っています。

千野さん:
Ashiraseには、別のスタートアップで、IoTデバイスの会社に勤めながら複業でカスタマーサクセスをやっている方もいますが、IoTデバイスを取り扱っているからこそ気づく事、分かる事もあると思いますし、競合ではないので、双方にメリットがあると感じています。

勿論、リソースの観点ではフルコミットして欲しいというのはありますが、経営者の立場としては、必要なときに必要なリソースが確保出来ていることが重要で、その内訳は必ずしもフルコミットでなくても良いと思います。

最後に抽象的な話になりますが、私は企業は飲食店と同じだと思っていて、凄いお気に入りの店があったら、週5で通う時もあるけど、週2は別のお店に通うこともあっても良いのではないかと思っています。それが企業のニーズにマッチしてるかどうかは別問題だとは思うんですけど、自分の好きな割合で働いていればいいんじゃないかなっていう気はしています。


【編集後記】

「ソーシャルに対する『熱量の部分』と、ビジネスに対する『クールな部分』のバランス」

イベントでの出会いのきっかけと、複業開始の決め手について聞いた際に、から出た言葉でした。

この言葉を聞いて、正に「社会性」と「経済性」を目指す、ソーシャルビジネスの事業創りの考え方に通じるものだなと感じました。

「こんな世界を創りたい」という起業家の「ビジョン≒熱量」
「その世界を実現するための具体的な方法」を考える「スキル≒クール」の部分。

この2つが合致して
本当の意味での「社会をより良くする事業創り」を行うことが出来る。

そんな事業創りに関わるうえで、良い複業マッチングを実現するには「ビジョン≒熱量」「スキル≒クール」の両面がバランスよくすり合っていること。

ソーシャルベンチャーでの複業を本当の意味で成功させるには?

そんなことを改めて考えさせられるインタビューでした。

最後までお読み頂きありがとうございました!


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