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スティーブ・ジョブズの名言「ハングリーであれ、愚かであれ」の愚かであれとは? (その2)

前回は、この言葉がジョブズ自身の言葉
ではなく、1970年代半ば学生達のバイブル
『全地球カタログ』最終号に書かれていた
ものであること。

「ハングリー」は分かるが、「愚かであれ」
は、人によっていろいろな意味として取る
ことができ、アメリカ人の多くは、Foolishは
愚かではなく、純粋、pureという意味で捉え
ていると書きました。

ではスティーブ・ジョブズも純粋、pureという
意味で「愚かであれ」と語ったのでしょうか?

晩年、度々京都を訪れ禅寺で座禅を組んで
いたジョブズは、禅の神髄から「愚かであれ」
を捉えていたのではないか?と京都在住で
ノーベル賞(医学・生理学)有力候補者の一人
である杉本八郎博士は、以下のように解説
しています。

五祖法演禅師の語録の中に「愚にかえる」と
書かれています。この意味は、仏になろうと
修行している時は、愚から賢になろう努力する、
仏になったあとは、賢から愚になるのだという
意味です。

禅の修行もまた、禅の修行に入るまでに、積み
重ねてきた学問知識などと、捨て去っていって、
愚かものになる修行といえます。

スティーブ・ジョブズも最後は、この禅の神髄
を悟って、『全地球カタログ』の著者、スチュ
アート・ブラウンの言葉を、さらに昇華させて
語ったのではないかと杉本博士から伺いました。

名言「ハングリーであれ、愚かであれ」は、
いろいろな解説をされていますが、禅と結び付け
て解説されているのは、杉本博士だけで私も
同感しました。

パソコンソフトの業界団体職員だった1998年、
初代iMacの日本発表会の時、6時間、ジョブズ氏
のリハーサルに立ち会ってから何度もジョブズ氏
と身近に接する機会があった者として、人生の
最後に禅の神髄に触れて、愚か者として世を
去ったことは、56歳と短命ではありますが、
素晴らしい人生だったのはないかと思います。

最先端のPC業界で、俺が最も賢い者なんだと
アップル社員元より業界関係者にも振舞って
いた時の尊大なスティーブ・ジョブズが、
とても懐かしく思い出されます。

(2023.2.18 Vol.13)

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