SYVPで学んだこと【3期生】Vol.1
「超える楽しさ」橋本侑介
私がSYVPを通して学んだことは「超える楽しさ」です。
SYVPで一年間活動してきて、能力的な部分で言えば、
例えば人を説得する手法、理論的思考、資料の作り方など
様々なスキルを身に着けることができました。
しかしながらそれらの根底にあったのは常に、
今の状態を超えていく楽しさでした。
今までできなかったことを、理論を学び、実践と修正を繰り返すことで、
できるようになっていくということは困難なことですが、
同時にとても楽しいものだと気づきました。
そして自分自身を超えるには、
常に100%以上を目指さなければならいということにも気づかされ、成長することに妥協なく取り組めたと思います。
自分自身を超えることだけでなく、
直面する様々な問題を乗り越えていくということも、
自身にとっては大きな経験になったと思います。
無理難題のような問題に直面する中で、「それでも」と
挑戦し続けることができたのは、一重に乗り越えるということが
楽しいと思えたからです。特に今年は自分たちだけで
何かを行うことの方が少なく、常に関連団体の皆様との関係や、
できることできないことを考えながら
作り上げていかなければなりませんでした。
常に複数の要望が存在し、それらを満たしていくことを考えることは
簡単なことではないと実感するとともに、
だからこそやりがいがあると感じることができたのです。
関連する団体が多ければ多いほど、皆で構築していくことが難しい分、
何かを達成できたときに生み出される「価値」というものは
より大きくなると思います。
結果として新しい価値を持った企画や概念を生み出すことができましたが、
それらを達成できたのも、たくさんの問題に対して
否定的になるのではなく、むしろ「乗り越えてやろう、
解決できればとても楽しそうだ」と考えることができたからです。
そして「超える楽しさ」を身に着けることができたのは、
常に自分の最高のパフォーマンスを期待されるSYVPで
活動したからこそ学べることができたとも思います。
じぶんを乗り越える、複雑で難解な問題を乗り越える、
そして相手の期待を乗り越える、
こういった楽しさを私は一年間の活動の中で見出すことができました。
困難な状況だからこそ、否定的にならずに楽しまなければならない。
これが私の行動原理として
この一年間で学んだことの根本にあるものだと思います。
「人の想いで人は動く」新井奈那
人の想いで人は変わり、行動する。
こういった瞬間を、私はこの一年間で何度も見てきました。
初めに、私たち学生は、先生の想いによってこの研究に関心を持ち
活動を行ってきたと言えます。
活動当初は当事者意識を持ちきれなかった移植医療や臓器提供啓発ですが、
先生の「移植医療の現状を変えたい」という強い想いを受け取り
気がつけば多くのイベントを実施しました。
イベントを通じ、医療関係者や患者の方々といった当事者の生の声を聞き、
想いを感じることで私たちの活動はさらに意味のあるものへ
成長してきました。また、患者さんの中には企業や周りの方々を巻き込み、
今までにないイベントを企画するなど、想いによって人を動かし
新たな価値を生み出される方もいらっしゃいます。
他方、私はメンバー間でのコミュニケーションにおいても
これを感じてきました。ただ淡々とやるべきことを各自でこなすだけでは、それ以上の相乗効果は生まれません。
「本気でこれを変えたい」「どうにかしたい」という強い想いを持ち、
それを周囲に伝えたメンバーは、周囲の力を引き出し行動を変え、
自身さえ変わっていきました。
想いとは、水が高い所から低い所へ下っていくように、
強い者から低い者へ伝播していくものなのかもしれません。
周囲の想いの低さに愕然とするのではなく、
諦めず伝え続け行動し続けることこそが社会を変えると私は信じています。
「根拠の大切さ」中農未祐
私は一年間の研究活動を通して、根拠を示すことの大切さを学んだ。
意思表示行動をテーマに、人の心を動かし、行動変容を促す研究をする中で
一番難しかったのは目に見えない人の心の変化を
数字など見える形で表すということだ。
この目に見える形で見えないものを表すことも
根拠を示すことに繋がっているのだと感じた。
本研究活動を行うまでは、人の心を動かすのは理論よりも人の情熱だと
心のどこかでずっと思っていた。
しかし、根拠のない想像で学生が話すだけでは
多くの人々は何も興味を示さないし、行動を変えようとしない。
また、研究においてどのような取り組みをして
どのような成果が得られたか、何が足りなかったのかということが
はっきりと見える形で示せなければその場しのぎで終わってしまい、
次につなげることもできない。成長には目に見える形で理解すること、
つまり根拠に基づく行動が大切なのだ。
また、広報として活動の話をするときも「提供する・しないを問わず、
臓器提供の意思表示をする」ということがなぜ大切で
何のためにやっているのかという根拠を聞かれることが多かった。
広報は特に人の想いやキャッチ―な言葉で人にアピールするものという
勝手なイメージがあった私にとっては新しい発見であった。
確かに人が物事に興味を示すきっかけは周りの人の些細な一言や
人の想いに触れた時かもしれない。
しかし、多くの人は自分の中でやらなければならないという理由を
見つけない限り、新しいことを始めたり、行動を変えたりしようという
大きな行動にはつながらない。
私自身の今までの行動を振り返っても長く続けていることや
尽力したことは自分の中で何かしらの理由があってやっていることが多い。だからこそ、私はこれからも根拠を大切にしていきたい。
「思考の積み重ね」前井厚毅
あらゆる活動や企画が思考の積み重ねによって成り立っていることを、
1年間を通して実感しました。
1年間ソーシャルマーケティングの理論というものに
人一倍手を焼いてきました。
ただその中で、様々な事例について学んだりSYVPの活動に触れることで、
突拍子もない発想や独りよがりな考えではなく、目標の達成のために必要なプロセスを、論理的思考を少しずつ積み重ねることによって進め、
1つのプロジェクトやイベントを完成させているのだということを
納得することができました。こうした研究活動で培った思考は、
日々何かしらの課題を解決しようとする中で
非常に心強い武器となってきました。
これを意識し始めると研究などとは関係ないことであっても、
例えば「人を感動させる、心揺さぶるものをつくる」という
一見ロジックとは対極にあるような企画に対してでも、
一貫した論理的思考をもってアプローチすることで
バランスのとれたものとして成立していると
実感することが非常に多くなりました。
強烈なメッセージや人の行動を変えてしまうようなイベント、そういった人の心の動きや行動のトリガーになっているものは、本研究活動で学んだ論理的な思考、そしてその積み重ねに基づいた戦略が根底にあるのだと思います。
「自分を知ったこと」高木麻衣
SYVPを通して学んだことは協同して働くことの大切さである。
活動を振り返ると、活動を完全に一人で成し遂げたことが
なかったなと感じる。何事を行うにしても相談等人に手伝ってもらい、
また自ら手伝いという持ちつ持たれつの関係であった。
今までは人に相談しつつもある程度一人で出来るだろうと
自分の能力を過信していたが、この一年の活動を通して
一人では出来ることは限られていて、協働を行い助け合うことを行う方が
自分にはなかったアイデアや知識を得ることが出来ると実感した。
なので、これからは組織から求められている自分の役割を理解し、
また人に相談して協働していき、互いに高めあっていき、
組織として最高の結果を残すことが出来るように努めたい。
「続けることの大切さ」栗栖崇
私は一年間理論チームとして活動をしてきました。
その中で、「続けることの大切さ」と「理論とは何か」を
学ぶことが出来ました。人の行動変容を促す取り組みを
外部の活動でもしていますが、
人の行動を変容させることは容易ではないです。
その人にはその人のバックグラウンドがあって染み付いた
価値観があるからです。変容を促すために画一的な介入を行ったとしても、
予測通りに変容するのは一部でしょう。
もし、より多くの人の行動変容を促したいのであれば、
それぞれに最適化した介入を行う必要があると思います。
一様に人を分類することは出来ず、対象とする一人ひとりの
背景までを理解して介入方法を模索する必要があるのです。
こうだろうと信じていたことが覆されるかもしれません。
ただ、模索し続ければ違った視点で物事が見えてきて、
新たな仮説を立て検証を繰り返すことにより、
より多くの行動変容を促す方法を見つけることが出来るのです。
仮説を立てて、何度も検証実験を行うSYVPの研究を通して、
仮説と検証を繰り返すことの大切さと難しさ、
実行をし続けることの大切さを学びました。
また、理論チームとして活動をする中で
「理論とは何か」を理解することが出来ました。
当初、理論を活用するという認識はありませんでした。
理論は理論、研究は研究と割り切っていたのです。
しかし、理論を学んでいくと研究に応用できるものも多く、
研究のスピード感を高める重要な役割を担うという認識に変わりました。
理論を学ぶことで、仮説をより精度の高いものに出来るし、
検証方法も全部1から考える必要はなくなる。
目の前の事実を見ているだけでは、見えてこないものもあります。
事実の中には、概念があり理論があるはずなので、
理論を通して整理をすることは
理想の実現に近づく大きな力になると感じました。
今後ともこれらの学びを活かし行動を続けたいと思っています。
Vol.2へ続く