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分散型社会について①

先日宮台真司氏がNews picksで言っていた分散型社会が今後のあるべき姿として適切なのではないかという意見に賛同する。分散型社会とは現在の都市一極集中型の社会とは対照的に、各地域や自治体などの比較的小さなコミュニティが主体的に自治運営管理するものだ。政治だけでなく、エネルギーや食料含めた生産活動、経済活動もできるだけコミュニティで行う。いわゆる地産地消というやつだ。分散型社会のメリットは大きく二つある。
一つ目はエネルギーコストや環境の観点。現在のように大都市に膨大な電力を供給しようとすれば、火力発電や原子力発電が必要になる。ご存知の通り火力発電は今後化石燃料の値上がりによりどんどんコスト高になるだろうし、原子力発電は安全性を担保するため、維持コストが以前に増して高くなる。そして何より安全性の観点から原発を今後も使い続けて良いのかという根本的な議論もある。電気料金が高くなれば、製造業はそれだけ製造コストが上がり、国際競争力を失う。もちろん我々が生活に使う電気の料金が上がれば家計へのインパクトも大きい。電気料金はほぼ食料品やサービスの価格に直結する。このまま所得も伸びず、物価が上がればスタグフレーションになり、私たちの生活はどんどん貧しくなる。まさにエネルギー問題は二重苦、三重苦なのである。
分散型社会では、電力を太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーでまかなうことがポイントだ。現在はIoT、AI、ブロックチェーンなどの技術がより身近になり、自然エネルギーをより容易かつ最適に送電制御できる基盤が整いつつある。こうした再生可能エネルギーをそのコミュニティに必要な分だけ、再生し供給するのだ。もちろん必要量を上回った際は、他のコミュニティや企業に販売して外貨を稼ぐこともできる。再生可能エネルギーは高くて供給不安定という議論があるがこれは一昔前の話だ。別の記事で詳しく述べるが、現在のテクノロジーを利用すれば火力発電や原子力発電よりも、安価に電力を供給できるのが常識だ。各コミュニティが、こうしたエネルギーシステムを構築しエネルギーを地産地消すれば、日本の電力を徐々にクリーンエネルギーに置き換えることができるはずだ。こうしたクリーンエネルギーへの置き換えはヨーロッパでは日本と比較にならないくらい進んでいて、日本はかなりの後進国である。これも別のところで述べたいが、日本の電力事業は既得権益なので政治家も電力会社会社も火力発電・原子力発電を何としても維持したいのだ。
ここでは、コストの観点から分散型社会における再生可能エネルギーのメリットを述べたが、SDGsの観点からも、やはり再生可能エネルギーへのシフトを進めていかなければいけない。SDGsへの対応が遅れた企業はこの10年の間にサプライチェーンから締め出されるような事態も想定されるだろう。これはとてもまずい。
以上、分散型社会の一つ目のメリットであるエネルギーコストについて述べたが、次回は2つ目のメリットを考えてみたい。こちらは民主主義の在り方に関連するものだ。

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