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【3-14】環境再生型農法とヘルスケアの融合

 私には、年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みの度に帰省する実家があります。そして、私の親名義になっている土地として、10aの畑と、同等の広さの宅地庭園があるほか、水田が70a、筍の採れる山林が1ha、集落周りの雑木林とほぼ自然状態の奥山山林がそれぞれ4haずつあり、いずれ相続する必要に迫られています。
 宅地庭園は、両親が数10年かけて、雑木林を取り込んで拡張し、樹木や草花の種類を少しずつ増やしてきたものです。今では、維持管理していくのが大変になっていて、直近の夏休みの時には、生い茂る草が目に付く状態でした。
 これらの土地を一人で抱え込み、あるいは親族の手だけを借りて維持していかなければと思うと途方に暮れてしまいます。水田は地域の農事組合法人に託して営農を続けてもらうとして、それ以外の土地については、誰もが気兼ねなく立ち入りして、使えるようにできないかと考えています。
 土地の使い方に関して、私には試してみたいコンセプトがあります。それは、不耕起で多種混植を基本とする「環境再生型農法」の実践です。環境再生型農法は、耕耘機や大量の化学肥料・農薬や除草のコストが不要なため経済的負担もありません。多種混植の野菜作は、収穫や播種などを基本的に手作業で行うもので、年間を通して運動が伴います。収穫した野菜を選り好みせずバランスよく食べていれば腸内細菌が健全化し免疫が強化されるでしょう。屋外作業による自然な日光浴で食事から十分な摂取が難しいビタミンDを補充できます。お金をかけずに健康増進できて、良いことずくめです。
 畑は、耕起しない、草は根元から抜かずに刈ってその場に寝かして土を覆う、草刈り跡に季節にあった作物や多年生の種・苗を植え付ける、野菜・花・果樹・鑑賞用樹木を混植することを基本とします。言うほどうまくいかないでしょうけど、結果的に自然なアクセントがつけば良いと思っています。雑草で辟易しそうなところは、あえて雑草と格闘せず低草で覆われた通路・作業スペースとして残しておくようにします。
 美観が求められる宅地庭園も、草刈り機で草を一網打尽にしてしまうのではなく、自然に生えてきた見た目の美しい花や、青々と茂るコケなど背が低く地面を覆ってくれるものを残して、種類が多様化していくよう、刈り取りと植え付けを工夫すると良いのかもしれません。
 その意味で、農地も林地も庭園も管理方法を明確に分けることはありません。居住空間からの距離に応じて、手入れの密度を少しずつ変化させるということだと考えます。様々な種類の植物が混在する中で、時にはそこから食べ物など必要なものを適度に採取し、それ以外の時もオールシーズンで花や景観を愛でることができるよう、状況に応じて柔軟に代謝を進めていけば良いのではないでしょうか。願望を込めて、実家の農林地を活用した、今後の取組計画を構(妄)想してみたいと思います。
 
(1)環境再生型園芸【Regenerative Gardening Design】
 〇不耕起・多種カバークロップ農法の試行
 ・遊休地等の借り受け・生産
 ・農業体験
 ・庭園管理
 ・里山竹林保全(筍採取、簡易作業道整備)
 〇環境再生型景観の設計・公開
 ・家屋周りの庭園
 ・野菜・果樹の混成畑
 ・穀類(米・麦・大豆・ソバ)の間作・混植・輪作
 ・里山林の多目的利用(竹林、花木、山菜、アスレチック広場)
 〇生産者と消費者の協同による農産物ローカル自給
 ・CSA(Community Supported Agriculture)方式による食材の集荷・配達
 ・生協・農協・漁協との双方向サービス連携、情報交流
 ・味噌など発酵保存食、調味料の製造
 ・郷土レストラン・カフェ、民泊
(2)郷コモンズ【Local Commons】
 〇奥山森林の多目的共用
 ・尾根筋を中心に森林作業道整備「パノラマ林道」
 (採石会社や電力会社の協力による開設・管理)
 ・林道に隣接するエリアの共有地化(土地所有者の合意取得)
 ・トレッキング、景観・花木・野鳥鑑賞、キャンプ等に一般開放
 ・森林組合、事業者との連携による森林資源の活用、情報交流
 ・畜産・酪農事業者の誘致による森林高原の牧場利用
 〇農村留学、スポーツトレーニング、創作活動、フィールド研究の誘致
 〇不動産・資機材のリース
 ・中古品(衣類、図書)の再生利用
 ・カーシェアリング、デマンドバスの運営
 ・不在者の土地・家屋、リタイヤ事業者の経営資産の利用仲介
 ・キャンプの食材販売、資機材レンタル
(3)郷百景紀行【Rural Diversity Journal】
 〇衣食住ローカル自給に関する取組の情報発信
 ・地域産木材や土質材料を活用した建築、家具・漆器・建材加工
 ・衣料、ヘルスケア商品(生薬、飲料、化粧品、洗剤等)、日用品の生産
 ・遊休資源(小水力、有機ゴミ・排水、焼却熱)による熱源・電力開発
 ・郷土レストラン・直売所・宿泊滞在施設など食のサイト
 ・景観、公園緑地・遊歩道・水辺空間、体験農園・観光牧場その他アウト 
  ドア活動に適したスポット
 ・多様な生物種・地形・地質の成り立ちなどの学術資源
 〇公共福祉事業の具体的提案
 ・生物多様性の保全・活用事業
 ・ローカル公共交通の充実
 ・基本的人権を保障する社会福祉の仕組み


高木 圭介
E-mail: spk39@outlook.jp

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