プロDD・M ~その492
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
囚われの状況から抜け出したマルスは、ついにスギコと対峙した。
すぐさま攻撃を開始したマルス。
「DDパンチ!」
「…」
「DDキック!」
「…」
「DDチョップ!」
「…」
「DDエルボー!」
「…」
「DD….ヘットバットォーーー!!」
マルスの連続攻撃がことごとくスギコを捉えた。
しかし、直後、スギコは難なく立っていた。
「何かしたか…?」
「ああ、準備運動だ」
マルスは動じていなかった。だが、それはスギコも同じだった。
「まったく健気に食らいつくカスどもね。あのまま歪みと共に消えていればよかったものを…」
「そうか?俺は助けてもらって嬉しかったぞ」
すると、スギコが鉄扇を構えた。
「……!伏せろ!!」
マルスの声で皆が一斉に伏せた後、スギコの鉄扇が豪快に振るわれた。
その衝撃で建物が割れる。
「これが神器使いの実力よ…あんたらとは生まれもってのレベルが違うのさ…」
「派手なパフォーマンスだな」
「何?」
「建物をぶっ壊さなくても、お前を倒せるぞ」
「……減らず口を……仲間に助けてもらわなければ、今こうして私の前に立つことすら叶わなかった分際で、何をほざくかァ!」
すると、マルスはふらふらと動きながら、トリッキーな攻撃を仕掛けた。
「あれは…六文屋流酔拳!?」
ガリが一瞬驚いたが、その動きは拙く、スギコには全く通用しなかった。
「なんだ、それは。ただ拳を振り回しているようにしか見えないぞ」
「歯ァ食いしばれェ!!」
「…..!?」
「DDパンチ!!」
その一撃も、スギコには通用しない。
「どうした…そんなもんか?」
「俺はガリみたいに六文屋流酔拳を使えねぇんだ、コノヤロー!」
「?」
「サエカピみたいな術も達者じゃねぇし、アネンゴみたいな一撃もねぇ、ブルーハワイみたいな覆面もしてねぇ!」
「おい」
ブルーハワイの突っ込みはスルーされた。
その発言を聞いたスギコは大笑いした。
「アッハッハッハ!自分の不甲斐なさを全肯定とはねぇ!あんたみたいな無能なリーダーを持つ仲間達はさぞ迷惑しているだろうよ!なぜあんたみたいな奴を、仲間達は必死に助けたんだろうねぇ!」
「…….」
「そんなプライドもクソもねぇ野郎が、走馬灯を狙う組織の長かい!あんたに一体何が出来るッ!!」
全てを否定する言葉。だが、マルスはその言葉を聞いて笑った。
「お前に勝てる」
「マルス!」
「マルス様!」
「マルスさん!」
「マルス様!」
仲間達の声が、マルスに力を与える。
「仲間達が繋いでくれた想いを俺は無駄にしない」
「笑止ッ!!」
ばあーっとスギコは両手の鉄扇を広げた。
そこにマルスは走り込んでいく。
「DDパンチ!!」
「まだわからないのかね!そんな拳でこのスギコの鉄扇を抜けるものかよ!…..何!?」
マルスの拳は、スギコの鉄扇を貫いた。
そして、
「はあああああああああああ!!」
「ぐあああああ!」
そのままスギコへとヒットした。
「こ、この私に傷を……」
「どうした?スギコ、まだこんなもんじゃねぇぞ」
「上等……」
「これがマルスか」
ケイが戦いを見て、呟いた。
「だが、スギコもこのまま終わるような女じゃないぜ」
と、コジオが言うと、ライコが警鐘を鳴らした。
「まずい!気を付けろ!」
「何!?」
「3000万円投入……こんなものか」
(なんだ、スギコのオーラが一際強くなった…..はっ!?速い!)
突然、距離を詰めたスギコのスピードは先程までと比にならなかった。
「ちィ!」
鉄扇で殴られ、後退するマルス。
「まだあんたは知らなかったのさ、神器使いの本当のレベルを……!!」
「……」
鉄扇を広げ、回転しながらスギコが突っ込んできた。
「やべぇ!マルスさん!少しでも触れたら切り裂かれちまう!」
ブルーハワイが叫んだ。だが、マルスは逃げずに向かっていった。
「!!?」
「青空モーメント!」
周囲の時が止まった。
「あれはアッキーの青空モーメント!?」
ライコが叫んだ。
「だが、短いんだよぉ。十分な攻撃を与えるのは厳しいんだよぉ」
ナオユの言うことはもっともだった。
ほんの僅かな時間、時を止められたところで……そう皆は思っていた。
「サミング!!」
「ぐぁあっ!」
一瞬時を止めたマルスは、なんとスギコの目を突いた。
「アッキーの技じゃない!オリジナルのコンボだ!」
ブルーハワイも驚いていた。
「どうだ!スギコ!これで…..!」
マルスは一気に攻撃を続けようとした。
だが、スギコは鉄扇を閉じるとそれを真っ直ぐ構える独特のポーズをとった。
「……?」
「みせてやるよ、マルス。本物の神器使いの恐ろしさを…..1億円投入…….ト・マンナヨ!」
次の瞬間、マルスに鉄扇が突き刺さっていた。
「かはっ…..」
「なんだ、ありゃ!鉄扇と一直線になったスギコが、無差別に高速で飛び回っている。まるで人間の弾丸だ!」
コジオが叫んだ。
「とんでもない速さと攻撃の重さ…今は無差別だが、これで目が開いた時こそマルスの終わりだ!」
一撃もらったものの、なんとかその後、致命傷を避け続けていたマルスだったが、遂にスギコの目が開いた。
「ようやく見えるよ…..その面がァね」
「くっ…..」
「あんたは私を怒らせた。その代償は支払ってもらうさァ!…だが、その前に」
そして、観察する4人のビジョンにも亀裂が入った。
「コジオ、お前、見ているなッ!」
「ぐおっ!!」
強い衝撃が起こり、コジオが後ろに吹っ飛んだ。
「ここまで干渉してくるとは…スギコの力はどうなってるんだよぉ」
ナオユは危険を察知して、さっと距離をとった。
それはライコやケイも同じだった。
その後、一瞬だけ見えたビジョンには、マルスめがけて一直線に飛んだスギコの鉄扇が地面に突き刺さっている様子だった。
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