プロDD・M ~その560

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 向かい合うかつての同志…….ニシとコイケ。
 今は互いに己の組織を率いて戦っていた。いや、灰かぶりは既に壊滅していた。
 コイケは共に灰かぶりを盛り上げていた頃を思い出していた。
「スパイとして潜り込んだ中でも、あなた方のその情熱は本物だと信じて疑いませんでしたよ」
「俺もそうだ、だからこそ利用価値があると思った」
「ニシ…..どうしてこんな事を」
「貴様に言われる筋合いはないな」
「ならば……」
「殺し合うまで……」
 2人はほぼ同時に踏み出した。


 ツムギが意識を取り戻すと、そこにはセルーがいた。
「気が付いたか、ツムギ」
「セルー……私は」
「だいぶんボロボロだな。もう少し休んでいろ、警戒は俺がする」
「うっ……」
 ほっとしたのか、ツムギの眼からは涙がこぼれていた。
「お前を死なせたら、マルスに怒られちまうよ。もう勝手にどこかへ行くのはやめてくれ」
「はい……」


 ライコは急いでいた。
「まさか….こんなことが….早く、早く管弦楽団本部に戻って報告しなくては!」
「逃がさねぇぞ、ライコ」
「ちっ!」
 ケイの召喚儀式により、アッキーを贄とし、新たな遊戯機構のヲタクが召喚された。
 その姿、そして、その力を目の当たりにしたライコは、危機を感じていた。
 しかし、情報を漏らすまいとする遊戯機構の追手は、ライコに迫っていた。
「お前はまだ俺の能力を負かしてはいない」
「イマセン……!」
 先程苦しめられたイマセン、さらに、もう1人の強力な追手が、ライコを簡単に逃がしてはくれなかった。
「こいつは……!この能力は!」
引用RP……俺は強大な女神の力を純粋に放つ事が出来る。俺と戦えば、骨も残らねぇよぃ!」
「これが、遊戯機構副会長……カシワギ!」

 戻ったエーケーの前に広がっていたのは、無数の屍。残酷な光景であった。
「な…..なにィーーーー!俺の軍隊が!だ、誰が!」
 そんな中、返り血を浴びて立つ男がいた。
「禍根は断つ。それが新しい俺の生き方だ」
「お前がやったのか!ジャスティススミオは何をしている!」
「それはそこの奴か?」
 その男、ツバサが指した先に、ジャスティススミオの残骸が転がっていた。
「兄弟~~~!なんて無惨な姿にィィィ!!」
 それを見たフリーダムスミオが悲しみの叫びをあげた。
「お前もスミオか」
「……ツバサだな」
「俺はスミオをこの世に1つも残す気はない」
「奇遇だな。今、俺もおめぇをブッ殺してやりたい…と思ったところだ」
「来い…お前の全てを否定してやる」
「ほざけェェェェ!!スミオジェット!!からのォ!!スミオサーベル2刀乱れ斬り!どりゃどりゃどりゃぁ!!」
 荒々しいその剣筋は怒涛の勢いでツバサに襲いかかる。
 だが、その攻撃は僅かにかすることもなかった。
「バカな…..あの男、あの攻撃を全て見切っているとでも言うのか!」
 この光景にエーケーも戸惑いを隠せなかった。
「あの能力は….ラプラス…..全てを見通す力…..」
 その横でNDKが呟いた。
「クソッ!なんで当たらねぇんだァ!」
「最強の剣とは何か知っているか?」
「あぁ!?それは俺のように力強く素早く押し切る事ッ!」
「違うよ、スミオ、そんなんじゃあない」
 スミオの剣はさらに激しさを増していた。
 だが、それがツバサに到達することはなかった。
「まるで流れるよう…..星を泳ぐ……」
 NDKは、ツバサの動きをじっと観察していた。
 そして、ついにスミオは痺れを切らした。
「うるせぇ!!!こいつを喰らってあの世に行きやがれ!!」
 スミオが大きく振りかぶった瞬間、すっとツバサはその懐に詰めよった。
「最強の剣とは、全てを見極め、一太刀で決める剣の事…..パワーもスピードもそこでは意味をなさない」
「はぁ…くぅ!!」
ペイルブルードット0.12ピクセルの刺突!!
 至近距離から放たれたそれは、圧倒的な破壊力をもって、スミオのボディを完全に粉砕した。
「かつてとある剣豪は、相手の攻撃を全て見切り、一太刀も受けずに相手を負かしたという..…そこからついた異名が、音無しの剣……さすがね…..」
 NDKはそう呟くと、ソバシに目で合図を送った。
「わかったよ、NDK」
 それを感じ取ったソバシは、ゆっくりとツバサに近づいていった。


「どうした?なぜそんな顔をする?」
 戦いの最中、悲しげな表情をするコイケに、ニシは問いかけた。
「さっきから、ずっと….戦いながら感じていた事があるのです」
「…….」
 ニシとコイケは手を止めて、向かい合った。
「…..肉体も、ヲタクエネルギーも、この眼に映る情報はお前をニシだと言っている…だが、私の魂がそれを否定しいるのですよ…さっさと答えろ!お前は誰だ!
 その言葉を聞いたニシは、妖しげな笑みを浮かべると、その手を自身の頭に当てた。
 そして、その手を上げると、ニシの頭がパカッと取れた。
 その中から、何者かの脳みそが顔を覗かせていた。
キッショ、なんで分かるんだよ」

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