プロDD・M ~その505

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 先を急ぐマルス達の前に、1人の男が現れた。
「ナンバー10…?」
 マルスとセルーはすぐに迎撃体制に入った。
「俺はナンバーズの1人、モリシ。貴様らを…..排除する!」
 モリシは飛びかかり、その豪腕は大地を割った。しかし、本来の狙いであるマルスには躱されていた。
(マルス…こいつ、以前とは比べ物にならない戦闘能力。戦いの中で常に成長を続けているな)
 感心しているセルーの前でマルスは強烈なカウンターを決めた。
DDパンチ!」
「ぐあっ!」
 後退するモリシ。その前に流れるようにセルーが入る。
「オラッ!!」
 セルーのパンチにモリシが吹き飛ばされた。
「ぐっ…..」
「ナンバーズの数字は強さを表す。ナンバー2まで倒した俺達の相手ではないな」
「てめぇら……」
 殴られた箇所を押さえながら、モリシがセルーを睨み付けた。
「随分と苦戦しているな。代わってやろうか?」
 その時、どこからか声が聞こえてきた。
「!!?」
 気がつくと、セルーとマルスは左右に飛ばされていた。
 その間には、いつのまにか男がいた。男は左右に手を伸ばしながら、回転を止めた。
「くるくる愛して」
 そして、その顔を見たモリシが男の名を呼んだ。
「邪魔をするな、ナンビー」
「貴様もそのままでは耐えきれないんじゃないのか」
「うるせぇよ」
 その名を聞いたセルーの表情も変わる。
ナンバー1……ナンビー……
 2対2、互いの視線がぶつかり合い、先に仕掛けたのは、マルスだった。
DDパンチ!」
「ふっ…」
DDラッシュ!!」
 マルスは目にも止まらぬ速さで拳を繰り出していった。
「マルス!あいつ!この戦いの中でも凄まじいスピードで成長を遂げてやがる!!」
 セルーの声は喜びが混じっていた。
 マルスはわかりかけていた。この時代へと来た意味が、そして、そこで培われた戦闘技術、古代のヲタク達の力を吸収して、マルスは大きく成長を遂げたのだ。
「それにここは…より濃い女神の力に満ち溢れてやがる……」
 だが、そのマルスの拳は、ナンビーには当たっていなかった。
「…..!!!?」
「なかなか良いラッシュだったぞ」
「なん…だと!」
オーバーセンシティブ…数倍の過敏性を持った俺に、攻撃は当たらない。つまり……」
「ぐあっ…..!!」
白祭……!!お前に勝ちはない」
 ナンビーの踊るようなラッシュにマルスは地面を転がった。
「マルス!!」
「おっと、戦いの最中によそ見とは余裕だな」
「…てめぇ!ナンバー10ごときが調子に乗ってんじゃねぇぞ…瞬殺して、すぐに助けに向かってやるさ」
「出来るかな、お前に…」
 モリシが振りかぶった瞬間、既にセルーは通り抜けていた。
「ああ…出来るさ」
「ごぼっっっ!!」
 セルーの拳の直撃した胸が大きく凹み、モリシはその場に仰向けに倒れ込んだ。
 すると、そこへラルクマやスペ達もやって来た。
「セルーさん!マルス!今、駆けつけたぜ!」
「よし、これで一気にナンビーを倒すぞ!」

「お前からは何か掴めそうだったんだが…」
 そう言って立ち上がるマルスは少し残念そうだった。
「まるで勝ったような口ぶりだな。地面を這いずり回ったばかりだというのに」
「あちらの戦いは終わったし、仲間達も駆けつけた。多勢に無勢ってやつさ」
「ふっ……ははははは」
「何がおかしい!」
「元より、全員を相手にするつもりでいた…だが、その必要もないがな」
「…..?」
「モリシは……」
 その時、マルスは、膨大なヲタクエネルギーを感じて後ろを振り返った。

「何だ…どういうことだよ…こりゃあ!!?」
 ラルクマが目の前の強大なヲタクエネルギーの塊を見て、思わず叫んだ。
 そして、その主、モリシに刻まれたナンバー10の…1の文字が消えていく。
「10人のナンバーズの持つ数字が…1から10だと誰か言ったか?」
 モリシが足を踏み鳴らした途端に、力のない者から衝撃で吹き飛ばされた。
 その場に止まれたのはセルー、ラルクマ、スペの3人のみ。
「こいつ…身体がでかく…..!」
ナンバーズの数字は0から9だ
 そして、振り下ろされた拳は、3人をガードの上から弾き飛ばした。
「俺は力を溜めて完全解放することで数字の変わる唯一のナンバーズ…ナンバー0、モリシだ
 続けざまの一撃が、振り下ろされた。
 倒れたままのラルクマとスペは、ガードの構えもとれなかった。
「死ね」
 強烈な音が響き渡り、モリシは、その相手を見下ろしていた。
 スペとラルクマの前に、セルーはガードもせずに仁王立ちしていた。
 その視線は、モリシから崩さず、拳を受け止めた額からは血が流れ落ちていた。
「……..上等だよ。やってやらァ」

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