プロDD・M ~その555

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「お前らは…遊戯機構……!」
 アッキーとライコの前に現れたのは、遊戯機構の会長ケイだった。
「手荒なことをしてすまなかったな、すぐに解放してやろう。だが、私の話を聞いて欲しい」
 かつてその力で悪逆の限りを尽くしたその男は、見る影もなくやつれていた。
「君達は気付いているか…?この世界に終わりが近づいているのを」
「何だって?」
「今、この世界からは女神の力が次々と失われている。強力な女神……何者かの力が及びにくい者達はまだ残ってはいるが」
 アッキーにも思い当たる節はあった。だが、気付いているようで、理解しようとはしていなかった。
「君はユイの欠片を探しているのだろう?無駄だよ、そんなことをしても」
「何だと?」
群青の力は、もうこの世界には残っていない
「…….!!」
「わかっていたんだろう?」
「だが…それでも…俺は……ユイを!!」
 地面に手をつき嘆くアッキーを見て、ケイは静かに言葉をかけた。
「私はこの世界を壊そうと思っている」
「……?!」
「そして作り直すのだ。新たな世界!新たな遊戯機構を!走馬灯の力があればそれが可能だ」
「お前は……」
「力を貸せ、群青の戦士達よ。悪いようにはしない。私は、私の力で、離ればなれになった遊戯機構のメンバーを召喚することが出来る。今こそ立ち上がる時だ」
 その表情は、かつて敵の血を浴び、真っ赤に染まった服を纏っていた赤い服のケイ、そのものになっていた。
(厄介なことになった…急ぎ管弦楽団に報告せねば…)
 ライコの目は険しかった。


 包帯の封印を解いたツムギは涙を止めた。
「カエル、あんただけは許さない……」
「なら僕だって貴様を許さないさ、兄さんを堕落させた、貴様を!!」
 カエルが舌を出しながら、ツムギに飛びかかった。
「べ~~~ろァ!!」
「はぁっぁぁああああ!!」
「ぷぎゃっ!!」
 そのカエルの腹にツムギの拳が刺さる。
「あんたは、私の一番大切なものを奪ったッ」
「ごほっごほっ…思ったより威力あるじゃん…クソ女ァ!!」
 カエルは、体勢を立て直すと、地獄の力を練り始めた。
 ツムギは、それに怯むことなく、踏み出す。
「あんたは、私の大切な人を飲み込んだその術で、大きく消耗している」
「…!」
「見誤ったわね」
 カエルは見た。包帯が取れた時、膨れ上がったツムギの呪いの力を。
「バカな…なぜこの世界に呪いの力がこんなにも残っている…!」
「あんたの両生類並みの頭脳でよく考えてみたらいいわ!!」
 ツムギの拳がカエルに襲いかかる。
 カエルはそれをガードしようとするが、その上から思いきり弾き飛ばされた。
「ぶへぁあああ!!」
「まだまだッ!!」
「ぐっ… かはっ!…そうかッ!貴様はずっとその呪われた包帯の中に力を封じ込めていたのだなッ!失われぬように!それを今ッ!ここでッ!…判断ミスだ!ここで使っても走馬灯へは近づけぬぞ」
「もうそんなものどうだっていい…あんたは….奪ってしまったからッ!!」
 ツムギの拳がカエルの顎をかちあげた。
「ぐへぇええああああ!!…..ま、待て!話せばわかる、待て!今、俺を殺せば永遠にマルスは戻ってこないぞ!」
「もう後戻りなんて出来ないわ…巻き方を忘れちゃったから」
「ぼふぼふぽぅあ!!」
 ツムギのラッシュをもろに受け、カエルはふらふらと倒れた。
「なぁ…待ってくれ!マルスを、兄さんを助ける方法があるんだ!!」
「……」
 ツムギは無言で拳を下ろした。
 その隙をカエルは見逃さなかった。
「ばぁかぁめっ!!そんな方法、ねぇーーーよッ!!吸血鬼純…..
 カエルの牙が迫ったその時、カエルの顔は横からぐしゃりと潰された。
「ゲコッ……?」
見せてあげるわ、極めた余談エルボーをね
「げ、ゲコーーーーー!!」
 そして、反対側からもう1発飛んできたエルボーでカエルの顔は完全に潰された。
「マルス……仇は取ったわ……」
 ツムギは膝からその場に崩れ落ちた。その瞳は再び涙に濡れていた。


 その頃、オーハシは叫んでいた。
「お、おおおおおお、パイセン…..!!!カエルの野郎、やられたのか…..?封印が……解けるッ!!


「ツバサァァァァァ!!」
「スミオォォォォォ!!」
 スミオが突進し繰り出したパンチの腕に、ツバサがするりと剣を沿わせてその首を狙う。
「ちィ!!」
 スミオは体勢を強引に変えて、首を反らすと、回転して裏拳を打ち込んだ。
「かっ!!」
 しかし、ツバサもそれを読んだかのように剣の鍔で受け、かちあげた。
 バランスを崩すも空中で体勢を変え、スミオは着地に成功した。
スミオ百八式武器術・スミオハンマーーー!!
 スミオが振りかぶったその時には、ツバサは既にその懐に入り込んでいた。
「変わってないのな。状況に困ると、すぐにパワーに頼ろうとするの」
「!!」
ペイルブルードット0.12ピクセルの刺突!!
 ツバサの突きがスミオの身体を後ろに飛ばした。
 そして、その場所には、化様の籠があった。
「何?何が起こっているの?」
迎えに来ましたよ
「その声は…….ツバサ」
 化様の声には涙が混じっていた。

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